ディス・ウィッシュ/イーライ・ロイ監督
当時はチャールズ・ブロンソン主演の邦題は「狼よさらば」で有名な作品のリメイクを、主演がブルース・ウィリスで作られた作品。設定も微妙に違って、設計士から医者になっている。ブルース・ウィリスが医者? っと思わず突っ込みたくなるが、まあ、愛嬌はあってもいいかもしれない。
犯罪都市シカゴにあって、不条理に暴力の犠牲になる一般市民がありながら、チンピラまがいの人間の命を、救急医療の医師である自分は助けている。そんな中、強盗団が自宅に押し入り妻は殺され、娘は意識不明の重体に陥る。警察の捜査は進まず、家族を守れなかった自責の念に苦しめられる医者は、自警的に銃をとるアメリカの思想に共感を抱くようになる。そして、ある時重体で担ぎ込まれたチンピラのポケットからこぼれ落ちた銃をくすねて、街を徘徊する。そうやって偶然遭遇した犯罪者を、自ら銃殺処刑するのだった。
ここで処刑現場を見ていた一般女性がおり、彼女は映像をネットにあげていた。たちまち話題になって、私刑を行う「死神」として名をはせるようになるのだった。
家族の復讐劇として、別の犯罪者を私刑にすることにより、段々と精神衛生上改善していく姿が、この映画の一番の面白いところかもしれない。最初はぎこちないながらもなんとか銃殺を成功させるのだったが、段々と殺人に慣れていき、運も味方はするが、死神として成長していくのが、ブラックに爽快感を伴うようになる。実際に殺し方は残酷であるにもかかわらず、悪を倒すカタルシスに満ちていくのである。まあ、水戸黄門みたいなものだろうか。
もっとも、苦悩という点と、映画的な出来栄えは、オリジナルが当然いい。オリジナルがいいからこそ、新たに作られたわけだが、そういうところで比較をすると、やはりまだまだなのかもしれない。もちろんこの機会に、見比べることをお勧めする。まあ、暴力ばかりだから、食傷するかもしれないけれど。