ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒/クリス・バトラー監督
探検家で金持ちの男は、「貴族クラブ」へ入会する条件として、人類への進化の鍵を握る存在と考えられる(いわゆるミッシング・リンク。理論上あるとされるが、現実には見つかっていない化石などの証拠)ビッグフット(いわゆる雪男など、目撃情報はあるが、確認はされていない)を探しに北米へ赴く。そうして見つけるが、この大男の原人は、仲間がいなくて孤独に苦しんでいた。そこで別の地にいる雪男を探しにヒマラヤの奥へ探検に出かけるのだったが……。
ストップモーション・アニメで撮られた映画。主要キャラはそういう人形のような原型を用いているようで、それにCGなどを駆使して描かれているという事か。立体感があり自然であるし、アニメとしてのはっきりした映像美が広がる。そうしたものは実に素晴らしいと思うが、興行的には大コケし、1億ドル以上の赤字を出したとされる。そういう事もあって興味を持ったというのは、あるかもしれない。
しかしながら、面白い内容であることは確かだが、やはりなんとなく今一つなのである。実に惜しいというか。アニメチックな人物造形とお話の壮大さが、今一つ合っていない感じがするのだ。スリルあるアクションも多いのだが、やはりアニメだからか、ちょっと緊迫感に欠けてしまうのだ。撃たれたら死ぬとか、落ちたら死ぬ、という場面において、大変なことになっているはずなのに、ちょっと余裕を感じさせるものがある。彼らは落ちても死なないのではないか。そんな気がしてしまうのだ。どうしてだろう?
設定も大人すぎるというか、しかし不条理なところが随所にあって、そういうものには、ちゃんと納得させられなくてはならない。だからなんだかアンバランスというか。よく出来ていて感心するのだが、感心するところで終わってしまう、ということかもしれない。あえて危機がそこに仕組まれている感じで、単なる貴族クラブの駆け引きなのに、敵も味方も騒ぎすぎである。そうであるのに、そもそも貴族クラブなんてどうでもよくなったりする。人類のミステリが解き明かされているのにもかかわらず、やっぱり感動できない。そういう事なのかもしれない。一億ドル(今は円安だから150億以上か!)も損することは無いと思うが、それだけ意気込んで作ったのに、誠に残念なことだった。まあ、話のネタに僕のように観る者がいる、というのが、情け深い話ということになろうか。やっぱり酷評されているので、観る人は伸びないのだろうけれど……。