熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

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川柳のアンソロジーについて

2020-11-09 09:07:07 | 川柳一般

個人が川柳句集にして残していくことも尊いことですが、川柳文芸として体系的なものを形にして後世に伝えていくにはアンソロジー(選集)の存在がなくてはなりません。下記にいくつかあげていますが、取り組んでこられた編者の多大なご尽力には敬服するばかりです。古川柳では『誹風柳多留』『誹諧武玉川』などがあり、明治からの歴史的川柳家のものも篤志によりかなりまとめられています。それらとともにいま現代の川柳アンソロジーが必要なのです。(ここでは定義があいまいな〈現代川柳〉ではなく、より広い意味の〈現代の川柳〉という表現にしました)

そうしなければいま私たちが詠んでいる川柳は文芸のなかのジャンルに存在しえないでしょう。興行的傾向のある一般的な川柳大会は川柳の始まりに鑑みれば肯定されるものです。しかしそれだけではなく、もう一つの柱として体系としての保存収集が大切だと感じています。表現されたものは研究されたり論じられたりして存在が確かなものになります。そして研究には広く収集されたものの塊が土台として欠かせません。間口の広い川柳を、流行の言葉で言えば総合的俯瞰的に編集されたアンソロジーは100年後も川柳の歴史として残っていくことでしょう。一番下に紹介したものは編者の主張がはっきりとした編集で、これからの川柳のゆくえにも焦点をあてたものになっています。冊数はこれくらいしか把握していませんが、まだあるかもしれません。(文責 いわさき楊子) 

『現代川柳の精鋭たち28人集』 編集協力・樋口由紀子 大井恒行 北宋社 2000年発行 (2800句)

『現代川柳必携』 田口麦彦 編 三省堂 2001年発行 (約7000句)

『現代女流川柳鑑賞事典』 田口麦彦 編 三省堂 2006年発行 (約2500句)

『現代川柳のバイブル』 黒川孤遊 編著 飯塚書店 2014年発行 (1000句)

『新現代川柳必携』 田口麦彦 編 三省堂 2014年発行 (約5000句)

『金曜日の川柳』 樋口由紀子 編著 左右社 2020年発行 (333句)

『はじめまして現代川柳』 小池正博 編著 書肆侃侃房 2020年発行 (2660句)

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追加

『大人になるまでに読みたい15歳の短歌・俳句・川柳』 (ゆまに書房)全3巻