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101番目のDOCOMOMO?


もう一年近く前のことになるでしょうか。

とある方が教えてくださったとある建築探訪系のサイト内のBBSで、
富山県にある、さる中学校校舎の解体に関する投稿を読みました。
主旨は;

豪雪地帯なのに廊下に屋根がなく、
雪かきしなければ教室に入れない凄まじい校舎だったけど、
中庭をぐるっと囲む形のその廊下がなかなか良かった、
その建物の解体が決まりちょっと寂しい、


といったことかと思います。
それがこの写真の「呉羽中学校」で、設計は故・吉阪隆正さんです。

私からこの話を聞いた、とある建築家の方が、見学会を企画して下さいました。
この写真はその際に撮影したものです。
痛みも、改変も著しいこの建築は、それでも何か特別な力を感じさせ、
建築の持つ可能性について、改めて考えさせられる貴重な経験でした。
と同時に、案内くださった先生方の校舎に関する思い出の数々は、
この建築の問題点にいかに苦労させられたかに尽きたように思われ、
そのある種の饒舌さから、やはり、解体・建替が決まり、安心しておられるのだな、
という印象を強く持ちました。

現在、建築界を中心に、この校舎の保存を求める声が挙がりつつあります。
しかし、残念ながら、この建築には未熟な部分もまた、非常に多く、
使い続けるには相当色々な問題をクリアーしなければなりません。
そして、その問題は、吉阪さんの建築固有の問題ともいえますが、
その先鋭的な部分を通じて、同時代のモダニズム建築とも共通します。
そして、その事にきちんと向き合えば、それはそのまま、
我々が建築家として如何に建築に取り組むかを厳しく問いかける、
ある意味抜き差しならない問題として起ち現れてくると思います。

その事を考え続ける事が、吉阪先生の意志を継ぐ事だと感じます。
多くの建築家が、覚悟を持って発言していく事を期待しています。
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