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庭園・桂・写真

建築家・吉田鉄郎さんがドイツ語で執筆し、
1957年に出版された「日本の庭園」の翻訳が出ました。
もともとは外国人向けにサクッと日本の庭園の歴史や特徴を解説した写真中心の本で、
あちらでは英語版も出たロングセラーなのだそうです。

著者は文章のみならず、掲載写真の構図やトリミングにも意を尽くし、
病床から(超人的な記憶力で)細かく指示を出したそうですが、
今回の出版にあたり、その時に撮影されたと思われるネガが発見され、
照合の結果、約1/3が新たにネガから起こしなおされたそうです。
やはり綺麗な写真というのは説得力が違いますね。
(複写複写のボケボケの写真というのはどうもね・・・)

ところでこの本に登場する写真は、何故か桂離宮のものが多いのですが、
桂と言えばブルーノ・タウトの「ニッポン―ヨーロッパ人の眼で見た」。
タウトはこの本を、自分が撮影した写真を多数フィチャーした
図版中心の本としたかったらしいのですが、予算の関係もあって、
あまり写真の入っていない本になってしまったのだそうです。
・・・それに、タウト撮影の写真、着眼点はなかなか興味深いものの、
ボケボケで構図もイマイチな写真が多く(当時の技術的な制約でしょうか?)、
これは一寸使えないな~という感じが、しないでもない。

そして版元や訳者が変わるたびに、もともと数少なかったタウト自身の写真も
どんどん差し替えられていき・・・。ということで、
「今出ている「ニッポン」って本当のタウトの眼差しなの?
 桂とか、タウトが見たものとは違う状態の写真じゃない??」
といった検証も必要なのかな~、という事を昨年開催された
「タウトが見たもうひとつのニッポン」 展を見て感じた事を思い出しました。

余談;
「日本の庭園」に、訳者後記として「近代建築家による日本庭園研究の系譜」
という文章が掲載されているのですが、これがなかなかわかり易くて良いです~。
造園サイドからの文章でさっくっと読めるもの、ないか知らん。
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