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ジャズエイジのジャズ(その4)

流線型でスイング!

アールデコはギザギザで鉱物質!という見方はもちろん正しい。
ただですね、流線型デコっていうのもあるんですよっ!(と声を大にする)

ニューヨークの摩天楼の建設時期はアールデコの流行とピッタリ重なっていて、
ギザギザで鉱物質なアールデコで溢れたこれらの建築は、
大恐慌にちょっと遅れて、1930年代初期まで建てられています。
(建設業の常で恐慌の影響は遅れて現れ、結果空家だらけの摩天楼になったとか。)
で、ロスアンジェルスなんかにもこの手の鉱物質アールデコはあるらしいんですが、
1930年代からは、ストリームライン(流線型)デコ、といわれる
意味も無く曲線で包まれたデザインの流行が始まるのです。
この流線型フェチっていうのはどちらかと言うとインダストリアル・デザイン、
つまり、口紅とか機関車に主に現れた様なのですが、建築にもあるんですよ。
(ライトのジョンソンワックスだって、この気が・・・。)

この時代、アメリカもニューディール政策というある種国家主義的な体制にシフトしていたので、
このやや陰鬱な雰囲気と楽しげな流線型デコ、なんだか相性が悪い様な気もする。
でも、昔何かで(う~ん、思いだせん・・・)
「1930年代に青春時代をすごしたさる地方都市在住のご婦人が
 若い頃はいろいろ遊んで楽しかった、というのを聞いて結構驚いたが、
 考えてみれば地方都市にまで都会のナイトライフ、エンターティメント文化が流れ込んできたのが
 その時代だった、ということなのだろう。」
というような主旨の文章を読んだ記憶があって、灰色の1930年代というイメージだけでは語れない、
もう少し多様な文化状況があった、という事だけは確かなんだと思うんだけど。
(大恐慌の影響は地方都市の経済には殆ど無かった、という事もあるのかな?)

で、この時期にアメリカでブレイクしていたのが「スイング・ジャズ」!
あの、ロブスター食べたくなったりする奴ですね。
普通「ジャズ」と言った時にはあまり連想しない気もするのですが、
・・・例えばこじゃれたバーでジャズを聴きながら、といった場合のジャズ・・・
スイングもジャズだよ、と言われれば、あ、そうだよね、と言う事で、ストンと納得されるように思います。
もっとも当時の一般の白人は、ジャズというのは黒人の音楽で、スイングはそれとは別の音楽、
(つまりジャズじゃないと思っていた)、という話もあるみたいなんですけどね。

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どーでもいいですが流線型LOVE!なウィリアム・ギブソンのSF短編「ガーンズバック連続体」のBGMとしては
スイングジャズ、っていうのはちょっと違うような気もするな。
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田町建築散歩

昨日、最終日になってしまった「清家清図面展」を見に、
建築博物館のある、建築学会の総本山、田町の建築会館に行ってきました。

さて、せっかく田町に行くのだから、ということで、まずは最近一部で話題の
西原衛生工業所の本社ビル(前川國男設計・1955年竣工・下左)も見てきました。
残っているの知りませんでした。
いや、もしかしたら教えてもらっていたかもしれませんが、すっぽり抜けてました。
日本火薬とかABCとか気にしている場合じゃないだろう!って感じですね。
無理やり同じ形のプレキャストコンクリート(工場で作ったコンクリート製品)で外壁を構成して、
必要なところには窓を付け、その他のところは塞いでおく、と言う手法に時代性を感じます。
  
西原衛生の後は慶応に寄って、新萬来舎のレプリカ(上右)を見てきました。
詳しい感想はいずれ別項に記すことにして、慶応のキャンパスはなかなか雰囲気がありますね。
塾監舎の建物(上中)にはセンチュリーがお似合いです。
さて、お散歩の続き、慶応の山食のところにある門から出て、
綱町三井倶楽部(コンドルだよ!)の塀を眺めつつ簡易保険局(下左)へ。
いつかは中に入ってみたいです。
そこからイタリ大使館を経て、ぐるっと廻って田町へ。
気になっている看板建築は健在でした(下中)。
   
当時としては画期的だった部分保存の成果(上右)を写真に収めつつ、清家展へ。
汐留での清家展にも行かなきゃね。
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