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共同体の夢・八王子
先週末に、東京郊外の八王子市にある、1960年代に開設された二つの施設を訪ねました。
40年前はまさに人里離れた、という感じだったかと思いますが、
現在は周辺の宅地化も進んでいて、秘境という感じはしません(笑)。
とはいえ、施設内には現在も豊かな自然が残されており、
スプロール化しつつある丘陵地帯に残された、ちょっとした「異空間」です。
さて、一つめは「大学セミナーハウス」。
公立・私立を問わない大学間の共同利用施設として1965年に開設されたこの施設は、
丘陵地の敷地の特性と共同生活の意味への問いかけから導き出された
独特の形状と配置を持つ建築群によって、建築家・吉阪隆正の代表作となりました。
ユニットハウスと呼ばれる宿泊ユニットにより構成された宿泊施設。独特の屋根の集合風景。
もう一つは「新制作座文化センター」。
劇団「新制作座」の拠点として、稽古場、劇団員の住まい、劇場までをも持った複合的な施設として
建築家・山口文象の設計により1963年に竣工しました。
以降も住居棟の増設など、施設を拡充しながら、
最盛期には180人を超える劇団員が共同生活を送りながら、
全国で行われる上演活動に取り組むための場として機能してきました。
山の斜面に沿って配置された住居群。センター中心部の明るく開けた雰囲気とは対照的な落ち着いた佇まい
吉阪、山口の両者の目指していた建築にはもちろん違いがありますが、
「共同体」に何かの可能性を見、そこから建築を導き出した、
という点ではこの二つの建築群にはなにがしかの共通性があるように思いますし、また、
作風の違いを超えた「同時代的な匂い」といえるような何かが確かに感じられました。
現在、どちらの施設もいろいろな理由でなかなか厳しい状況になってきているようです。
大学セミナーハウスは減り続ける利用者数に歯止めをかけるべく新しい宿泊棟の建設を始めましたが、
残念ながらセミナーハウスの理念の具象化したとも言える既存の建築群の意味を
全く理解していない、と言わざるを得ない破壊的な計画です。
新制作座も、現在このセンターで生活しているのは30人弱で、
大規模な施設群を維持管理していくことが困難な状況になって来ているとの事でした。
時代の変化で40年前に掲げられた共同体の可能性への夢が壊れつつあるのかもしれません。
しかし、その夢・理念が今日持つ可能性について、形がなくなる前に検証し、
次世代に引き継ぐ何かを発見することが必要なのではないでしょうか?
過去の夢を次々と消費するばかりでは、未来もおぼつかないのではないか、と思うのです。
余談;
山口文象さんといえばプロレタリアート、叩き上げから建築家になり、
グロピウスと一緒にナチから逃れるためにドイツから脱出、戦後の作品には朝鮮大学校などもあり・・・
(戦前で有名なのは黒部ダムの上屋)と言う感じで左翼っぽい印象の強い人なのですが、
作品リストには石原慎太郎邸なんていうのも載っていました・・・。
新制作座の集合住宅、なかなか(あとの方のものなんかは特に)リッチな感じで、
大学セミナーハウスみたいなスパルタンな感じは一切しません。
新制作座の創設者の眞山美保さんは歌舞伎関係の方に囲まれて育った方で、
演劇=貧乏、という感覚は一切持っていらっしゃらなかったとか。
空想的社会主義者(=リッチな企業家)のユートピアみたいなところだったのかも。
大学セミナーハウスの創設者・飯田宗一郎氏はクエーカー教徒、
なので清貧の美、みたいな感覚は強いのかな~と思たっりもしました。
*060119 一部内容訂正し、文章を改めました。
40年前はまさに人里離れた、という感じだったかと思いますが、
現在は周辺の宅地化も進んでいて、秘境という感じはしません(笑)。
とはいえ、施設内には現在も豊かな自然が残されており、
スプロール化しつつある丘陵地帯に残された、ちょっとした「異空間」です。
さて、一つめは「大学セミナーハウス」。
公立・私立を問わない大学間の共同利用施設として1965年に開設されたこの施設は、
丘陵地の敷地の特性と共同生活の意味への問いかけから導き出された
独特の形状と配置を持つ建築群によって、建築家・吉阪隆正の代表作となりました。
ユニットハウスと呼ばれる宿泊ユニットにより構成された宿泊施設。独特の屋根の集合風景。
もう一つは「新制作座文化センター」。
劇団「新制作座」の拠点として、稽古場、劇団員の住まい、劇場までをも持った複合的な施設として
建築家・山口文象の設計により1963年に竣工しました。
以降も住居棟の増設など、施設を拡充しながら、
最盛期には180人を超える劇団員が共同生活を送りながら、
全国で行われる上演活動に取り組むための場として機能してきました。
山の斜面に沿って配置された住居群。センター中心部の明るく開けた雰囲気とは対照的な落ち着いた佇まい
吉阪、山口の両者の目指していた建築にはもちろん違いがありますが、
「共同体」に何かの可能性を見、そこから建築を導き出した、
という点ではこの二つの建築群にはなにがしかの共通性があるように思いますし、また、
作風の違いを超えた「同時代的な匂い」といえるような何かが確かに感じられました。
現在、どちらの施設もいろいろな理由でなかなか厳しい状況になってきているようです。
大学セミナーハウスは減り続ける利用者数に歯止めをかけるべく新しい宿泊棟の建設を始めましたが、
残念ながらセミナーハウスの理念の具象化したとも言える既存の建築群の意味を
全く理解していない、と言わざるを得ない破壊的な計画です。
新制作座も、現在このセンターで生活しているのは30人弱で、
大規模な施設群を維持管理していくことが困難な状況になって来ているとの事でした。
時代の変化で40年前に掲げられた共同体の可能性への夢が壊れつつあるのかもしれません。
しかし、その夢・理念が今日持つ可能性について、形がなくなる前に検証し、
次世代に引き継ぐ何かを発見することが必要なのではないでしょうか?
過去の夢を次々と消費するばかりでは、未来もおぼつかないのではないか、と思うのです。
余談;
山口文象さんといえばプロレタリアート、叩き上げから建築家になり、
グロピウスと一緒にナチから逃れるためにドイツから脱出、戦後の作品には朝鮮大学校などもあり・・・
(戦前で有名なのは黒部ダムの上屋)と言う感じで左翼っぽい印象の強い人なのですが、
作品リストには石原慎太郎邸なんていうのも載っていました・・・。
新制作座の集合住宅、なかなか(あとの方のものなんかは特に)リッチな感じで、
大学セミナーハウスみたいなスパルタンな感じは一切しません。
新制作座の創設者の眞山美保さんは歌舞伎関係の方に囲まれて育った方で、
演劇=貧乏、という感覚は一切持っていらっしゃらなかったとか。
空想的社会主義者(=リッチな企業家)のユートピアみたいなところだったのかも。
大学セミナーハウスの創設者・飯田宗一郎氏はクエーカー教徒、
なので清貧の美、みたいな感覚は強いのかな~と思たっりもしました。
*060119 一部内容訂正し、文章を改めました。
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