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スメラも登場。。

千葉伸夫氏の「原節子―伝説の女優」を読む。

原節子―伝説の女優 (平凡社ライブラリー)原節子―伝説の女優 (平凡社ライブラリー)
千葉 伸夫

平凡社 2001-04
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原節子と言えば昭和を代表する美人女優である、と
漆原教授@動物のお医者さん、もおっしゃっておりますが(笑)、
日独合作映画である「新しき土」(1937)に出演している女優さんでもあるのです。
古本屋でパラパラと読んでみたらなかなか面白そうだったので購入。

本書は原節子のブレイクのきっかけであるこの映画から項を起しているのですが、
そこでは原節子が抜擢された理由のみならず、合作映画の作られた背景、
ドイツで行ったプロモーションの様子、アーノルド・ファンク(監督、ナチ映画史における重要人物)、
そして日中映画前史の重要登場人物でもある川喜多長政(プロデューサー?)、
についても詳細に触れられているので非常に参考になりました。

また、女優としての大切な時期に戦争が激しくなっていき、
結果彼女も多くの国策映画に出演している訳ですが、
その時代に映画のおかれた状況についても詳しく書かれているのも興味深し。
原節子に関して言えば女優・アーチストとしての成長と絡めて論じられていますが、
併せて義兄で国策映画に突っ走った映画監督の熊谷久虎のことなど、
(彼の参加していたのは「皇塾(スメラ)」という右翼団体で解説も有、
 建築家の坂倉準三もメンバーだったはずなので興味深し。)
戦時下の映画人の様子にも触れられていて、考えさせられること多し、です。

戦中の国策映画絡みで手に取った本でしたが、伝記・評伝としても
ドキュメントの積み重ねにより何事かを浮き彫りにしようという手法に説得力のある、
なかなか良い本でありました。
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