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1/4世紀前の提言

ちょっとしたきっかけがあって力石定一著「都市環境の条件」(日本評論社・1980)を読む。
1980年、つまり今から1/4世紀以上前に書かれた本書、
著者は経済学者ということらしいのだけれども、今で言う「公共政策論」的な内容になっています。
雑誌連載を纏めた本と言うことで、やや個別的な話題もあり、
中には古くなってしまっている内容もありますが、本書で述べられている
「東京への一極集中の是正」
「公共政策決定プロセスにおける複数案の提示・市民参加による決定」
「経済至上主義の弊害を緩和するための公共による誘導措置」
「公害問題と社会的費用負担」
など、全体を通してみれば「サスティナブルな社会実現への提言」ともなっていて、
オイルショック→ローマクラブ、という流れはあったにせよ、著者の先見性に驚かされます。
*サスティナビリティは1987年に発表された国連のブルントランド委員会報告書(邦訳:地球の未来を守るために)により有名になった言葉。

敢えて弱点を挙げるとすれば、著者は「碩学」ではあるのだけれども
実践的(実戦というべきか)な研究・論考が弱いように感じること、
どうしても学者さんが安全圏から批評しているように見えてしまうこと。
実際には地元の中学校改築問題へのコミットなども書かれているのですが。

それにしてもこのようなある意味「高尚」な連載が
週刊誌の「サラリーマンのための経済学」という題でされていたことに驚きますね。
今、経済と言ったら金儲け資本主義の解説みたいなものが期待されてるんじゃない?
竿竹屋がどうしたとか、ベンツはどうだとか、スタバでは何とかを買えとか。
なんだか日本人って、退化してるのか?と思わされてしまいました・・・。
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