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伝建だって木密だ

「木造密集市街地」、略して木密というコトバがあります。
まあこれは読んで字のごとく、
主として住宅用途の木造建築がびっしり立ち並んでいる市街地のことで、
ビルばっかりというイメージを持たれがちな東京だって
この「木密」が地として連綿と続いて形成されている都市だったりする。
で、この木密は今までの、と言うより、今でも都市計画においては
防災上問題ありの、常に改良(=更新)されるべき地帯とされているのだ。

さて、世の中には「伝統的建造物群保存地区」というものもあります。
いわゆる伝建地区ですね。
で、ここ主として住宅用途(店舗併用だったりしますが)の
木造建築がびっしり立ち並んで街並み(=市街地)を形成しているので、
見方を変えればここだって立派な「木密」と言える訳です。

改良されるべき木密と残すべき伝建

この違いはどこから来るのか?
いや、木密にだってコミュニティとか一杯飲み屋とか良いものがあるじゃあないですか。
下北だって高円寺だって木密だ、しかも残したい木密だぞ、どんどん。

という問題意識から、木密の防災問題に伝建地区での手法等を応用して取り組もう、
と4人の専門家が(木密の飲み屋に)集結して書かれたのがこの本なのだ、たぶん。

それでも、「木密」に住み続けたい!―路地裏で安全に暮らすための防災まちづくりの極意それでも、「木密」に住み続けたい!
―路地裏で安全に暮らすための防災まちづくりの極意

後藤 治 三浦 卓也 村上 正浩 関澤 愛

彰国社 2009-09
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副題の「路地裏で安全に暮らすための防災まちづくりの極意」というよりは
まだまだ色んなことが入り口なんだなぁ、ということが実感されてしまう本ですが、
厄介な問題を上手に整理していて読みやすいし、
今後の研究や制度の進展に(既存の計画手法への批判込みで)期待させると共に、
コミュニティで防災力を高める意味を改めて考えさる好箸、
と言えるのではないでしょうか、と言うことで
木密で呑み続けたい人々にお勧めしておきたいと思いま~す。
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