こんにちは。曲@札幌です。
連日、拙文にお付き合いいただきありがとうございます。昨日のつづきです。
「来月の餃子」(つづき)
歩きながら考えた。女将はなぜ私のことを「いい人だ」と言ったのだろう。私は
といえば、ただ話を聞き、たまに相槌を打ち、餃子を食べて「うまい」と言ってい
ただけだ。そうか、それだけで気持ちって伝わるのだ。余計な言葉は要らない。少
し営業の秘訣がわかったような気がした。
あくる月、小走りで店を訪ねた。シャッターが半分閉まっている。中をのぞくと
カウンターに少年がひとり、うつむいて座っていた。「今日は休みなの?」「・・・」
「おばあちゃん、いる?」「・・・きのう・・・」と言ったきり、少年は泣き出した。私
は言葉を失った。
私は、女将の言葉で元気をもらい、その後、営業の仕事に自信をもってのぞむこと
ができた。「来月の餃子」は残念ながら食べられなかったけれど、あの失敗作は私
にとって忘れられない餃子だ。そして、私の「うまい」という言葉で見せてくれた
あの笑顔は、淡々とした日常で忘れかけていた彼女の「思い」の凝縮」だったのかも
知れない。今ごろになってそう思うのである。
(おわり)
連日、拙文にお付き合いいただきありがとうございます。昨日のつづきです。
「来月の餃子」(つづき)
歩きながら考えた。女将はなぜ私のことを「いい人だ」と言ったのだろう。私は
といえば、ただ話を聞き、たまに相槌を打ち、餃子を食べて「うまい」と言ってい
ただけだ。そうか、それだけで気持ちって伝わるのだ。余計な言葉は要らない。少
し営業の秘訣がわかったような気がした。
あくる月、小走りで店を訪ねた。シャッターが半分閉まっている。中をのぞくと
カウンターに少年がひとり、うつむいて座っていた。「今日は休みなの?」「・・・」
「おばあちゃん、いる?」「・・・きのう・・・」と言ったきり、少年は泣き出した。私
は言葉を失った。
私は、女将の言葉で元気をもらい、その後、営業の仕事に自信をもってのぞむこと
ができた。「来月の餃子」は残念ながら食べられなかったけれど、あの失敗作は私
にとって忘れられない餃子だ。そして、私の「うまい」という言葉で見せてくれた
あの笑顔は、淡々とした日常で忘れかけていた彼女の「思い」の凝縮」だったのかも
知れない。今ごろになってそう思うのである。
(おわり)