いまから14年まえ。
父が他界したその年、
高校時代の旧友たちと
同窓会の運営をしました。
私の卒業した高校では
順繰りに同窓会を
当番することになっていて
ちょうどその年が
当番年だったのです。
その友人たちは
みんな頭がよくて
仕事の進め方もカッコよくて
ずいぶんと刺激を受けました。
ある日、その同窓会の一環で
OB座談会を企画しました。
私は企画部長だったのです。
その年は高校の創立90周年で
そちらの企画も任されていました。
興味深いお話を聞いた後
ご出席なさった大先輩から
小冊子をいただいたので、
何気なくパラパラとページを
めくると、見たことのない
四文字熟語が目に留まりました。
見賢思斉
どんな意味だろう?
家に帰ったら調べてみよう。
座談会が終わってのち
私は、用があって
父の旧い友人のお宅を訪ねました。
呼び鈴を鳴らして玄関に入る。
下駄箱の上にある碑文をみて
私は飛び上がるほど驚きました。
そこにあったのは、またしても
見賢思斉 の文字。
聞くと、
私の父が書いて、その友人に
贈ったものだということでした。
父は書の達人でもあったのです。
家に帰って着替えももどかしく
熟語事典を調べました。
見賢思斉
賢を見ては
斉しからんことを思う。
けんをみては、
ひとしからんことをおもう。
大先輩から教わった言葉。
父が友だちに贈った言葉。
生まれて初めて聞く言葉を
一日のうちで二度も聞きました。
それは、まさにその時の
自分の気持ちを表した言葉でした。
僕も高校の旧友たちのように
カッコよく仕事がしたい。
父の死で塞ぎこんでいた私。
同窓会の当番どころではない。
そんな気持ちを父と先輩が
振り払ってくれたてくれたような。
不思議な気持ちになりました。
前を向け。友と交われと。
見賢思斉
賢人を見習って自分も
その人のようになれるよう努力する。
いま私が
座右の銘としている言葉です。kyokukenzo
以前書いた文章に
加筆して投稿しました。