読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

蛍の行方-お鳥見女房-2 諸井玲子 新潮文庫

2006-11-03 21:45:45 | 読んだ
お鳥見女房の第2巻である。

主人公「珠世」は、幕府お鳥見役矢島伴之助の妻女である。もっとも伴之助は婿養子である。

幕府お鳥見役は時に「隠密」の役目も勤める。というのが設定である。
珠世の祖父も父も隠密の役目を勤めた。その内容はわからないが相当の苦労があり、祖父は死んで帰ってきている。

第1巻で伴之助がその隠密の役目を受け沼津へ赴いた。父の役目が心配な次男久之助が後を追った。
そして、矢島家の居候である源太夫も沼津へ・・・

第2巻では、矢島家の留守を守る珠世、長男の久太郎、父の久右衛門、次女君江、そして、源太夫の5人の子供たちと源太夫の許嫁の多津の暮らしと、沼津にいる伴之助、久之助、源太夫について描かれている。

今回は8つの話が掲載されているが、後半は、沼津での隠密の任務を終えた伴之助が、久之助、源太夫、そして多津の力を借りて、江戸へ戻る、必死の旅の模様が描かれている。

1話1話が、主人公珠世の暖かい人柄による結末があり、ほっとした気分にさせてくれる。

心落ち着くというか、まっすぐに人を恨まずうらやまず生きていれば、確かなものが得られるという考え方になってくる。
世の中、いいことも悪いこともあるが、悪いこともいいほうへと解釈することが、幸せな生き方なのかもしれない。

現在も、小説新潮でシリーズとして年4回ほど掲載されている。
すでに単行本は4巻まででている。文庫本が追いつくのはいつのことだろう。待ち遠しいのである。
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