読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

生命徴候(バイタルサイン)あり 久間十義 週刊朝日連載(終了)

2006-11-23 17:10:58 | 読んだ
週間小説に連載されていた「生命徴候(バイタルサイン)あり」が第52回で最終回となった。

題名から想像できるように、この物語は医師の鶴見耀子が主人公である。
大学の付属病院で医局の麻酔医として勤務していた耀子は、医療事故の責任を取らされる。本来の責任は別の医師にあるのだが、新米医師の耀子が被せられたのである。

耀子は別の病院へ左遷させられたが、医療事故の審査のときにかばってくれた医師と親密な関係に陥る。
そして、耀子は一転してアメリカに留学をし「心カテーテル術」のエキスパートとなる。

その頃知り合ったのがIT起業家ミッキー(日本人)
そして、日本の病院に望まれて帰国。
帰国すると、ミッキーとの関係、昔の大学との関係も良好になり上り坂となる。
そして一人息子も将来性有望な野球選手。

幸福の絶頂のときに、さまざま事故・事件が起きて・・・・

というのがあらすじ。

医療小説だろうと思って読んでいると、IT関係の出来事がおきるので、医療関係の用語と、IT関係の用語が交錯して、アレアレ?という感じに陥ったりする。

医療とITとの話を融合するというのは無理があるんではないか?
と思わされる部分もあり、力づくでまとめたという印象も否めない。
なんというか医療に関しては現実的というか「生命」という感じであり、ITに関していえば実体のない「バーチャル」な感じがするので、それを物語としてまとめる、というのはいい発想ではあると思う、しかし「こなれていない」という感じなのである。

また、ラストが思っていたとおりというか予想がついたというのが、嬉しいようなザンネンなような感じであった。

とはいいながら、なかなかに面白い小説であった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする