舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

The Duchess: ある公爵夫人の生涯

2009-04-06 22:54:24 | 徒然話
1月に乗った飛行機の中で観て以来、ずっとご紹介したかった映画がついに日本で公開される時がやってまいりました。
『ある公爵夫人の生涯(原題The Duchess)』です。

舞台は18世紀の英国、つまり服装や建築物(って英国は当時のものを今でも使っている素晴らしい国ですが)、小道具に至るまで、時代背景が私の理想にドンピシャです。
特にこの映画のヒロインである公爵夫人=ジョージアナさんはこの時代のファッショニスタ、流行を生み出す女性として民衆から慕われていた人物です。
だから第一に、この映画の魅力はそのファッションであると言えます。
マミちゃんなど最近流れている短いCMを観ただけで「この映画いい! いい!!」とコーフンしております。

しかし、もちろん私が気に入ったのはこの点だけではありません。
この映画、ストーリーがとにかく私好みだったのです。
ただしオチは除く、という条件付きではありますが。
なんでそんな条件がついてしまうか説明するために、物語をさらっとご紹介しましょう。
以下オチまで容赦なく書きますので、ネタバレがお嫌な方は、どうぞ読み飛ばしてくださいまし。


18世紀の良家の子女ジョージアナのもとに、公爵との縁談話が持ち上がります。
公爵はかなり年上であるとはいえ、願ってもない良縁です。喜んで申し出を受け入れ結婚した...のはよかったのですが、結婚当初から公爵はどうもジョージアナに興味が薄い様子。
にしても、胸がないと言ってもあんなに綺麗なジョージアナ(つーかキーラさん)に愛を感じない公爵、完全に莫迦です。
何年経っても女の子しか生まれない(=世継ぎが出来ない)ことも、公爵の愛をさらに遠ざける結果になってしまいました。
公爵は飼っているワンちゃんにばかり愛を注ぎ、あまつさえ、他の女性と浮気までする始末。
そんな心の隙間を満たすためか、ジョージアナがハマったのがファッションでした。
彼女の独創的でハイセンスな装いは社交界の注目の的となり、多くの人の支持を得るようになっていきます。皮肉にも「彼女の夫以外の全英国人が彼女を愛している」とまで言われるようになりました。

そんなおりに出会ったのが新進気鋭の政治家・グレイです。
いえ、「出会った」というのは正しくありません。彼はもともと独身時代のジョージアナの遊び友達の一人で、数年ぶりに再会したのです。
これから政治の世界をわたっていこうとするグレイのために、ジョージアナは自らへの民衆の支持を用い、グレイの応援演説に立つことによって、彼はめでたく選挙に当選しました。

しかし、そんな華やかな表舞台での活躍とは裏腹に、彼女のプライベートは悪化の一途をたどります。
なんと莫迦公爵が今度はジョージアナの大切な女友達に手を出してしまったのです。
更に悪いことに、その女友達が産んだ公爵の子供は男の子でした。
公爵は息子をかわいがり、女友達を公然と家に住まわせ、家庭でのジョージアナの場所はほとんどなくなってしまいました。

そんな彼女の傍らにいた男性こそ、そう、グレイです。
ジョージアナの独身時代からずっと彼女のことが好きだったグレイと、莫迦公爵との結婚生活に絶望していたジョージアナは、瞬く間に恋に落ちるのでした。

じゃあこのままくっついちゃえよ!という当然の意見の前に立ちはだかったのが、そもそもの元凶である莫迦公爵です。
莫迦公爵は二人がくっつくことを断じて許さず、ジョージアナの産んだ娘達をカサに、二人を無理やり引き離します。
もちろん、自分が囲ったジョージアナの女友達はそのままにしといて、です。
グレイは公爵邸まで乗り込んでジョージアナを追いますが、ついに報われることはありませんでした。

ほどなくしてジョージアナが産んだグレイの子は、グレイの姪ということで彼の家に引き取られ、ジョージアナは公爵とヨリを戻しました。
もちろん、自分が囲ったジョージアナの女友達はそのままにしといて、です。

けっきょくジョージアナは莫迦公爵と女友達の3人で暮らし、彼女自身の遺言によって、ジョージアナの死後はその女友達が妻の座におさまりました。


何じゃそのオチはぁぁぁ!?!?!?


う~、うう~、オチに対して言いたい事があり過ぎるッ。
しかし、この最低なオチのことだけ喋ってたんじゃこの映画のどこがいいか一つも説明できないから、とりあえずツボな点から話していきましょう。

言うまでもなく私のツボはグレイ氏です。
素敵だ、素敵すぎるよグレイ。もろ私の好みのタイプだよ。
何が好きって、「長年思いを秘めていたくせに、いざとなったら掌を返したように情熱的」な人が私は大好きなのだッ。(※ツンデレとは若干違)

そもそも私は安直に告白するのが好きじゃありません(ましてや無理くり手を出すなんざ論外だ、源氏!!!)。静かに、しかし一途に炎を燃やしつづけるのが美しいのです。
ましてやジョージアナみたいに愛する人が結婚してしまったのなら尚更です。
あ、でも本当は彼、一度はジョージアナに告白しようとしていたみたいなんですよね。「ゲームに勝ったら好きなものをあげるわ」とか言ったジョージアナに対し、彼が何か答えようとした矢先、ドンピシャの最悪なタイミングで縁談話が来てしまったのです。
それっきり思いを胸に秘め、でも彼女を忘れられなくて、彼女に熱い眼差しを注ぐグレイさん、やるやる~~~。

本当に好きなら、相手の気持や立場を慮っておいそれと口に出さずにおくべきだし、ましてや本命の相手が手に入らないなら第二希望で...などもってのほかです。
これ、ほぼ源氏の君に対する個人攻撃ですね(笑)。

それで、いろんなことに傷ついてボロボロになったジョージアナを深い愛情で受け入れ、そうなったらもう彼女への迸る情熱を隠そうともしなくなるところが最高に好きです。
ってか、いいタイミングだったねグレイ(笑)。確かに、愛する人が失意の時こそ一番ゲットできるチャンスですよね。まぁ、それもひとえに一途に思い続けたおかげってことで、役得も当然です。


そ、れ、な、の、にッ!!!!
こんな情熱的に恋に落ちた二人が、こ~んなあっさりとバカ公爵に引き裂かれておとなしくしているなんて、私にはシンジラレナーイッ!!!!!


まぁジョージアナはいいでしょう。「おお、ジョージアナもついに運命の相手に気づいたか」と期待した私の思惑は裏切るけど、最初から心の隙間を埋めるための恋だったのかもしれません。
しかし、あんなに長きにわたって思い続けていたグレイが、なぜもっと抵抗しない!?
いえ、抵抗はしました。彼は十分に頑張った。ジョージアナの家まで乗り込んでいって思いの丈を訴えましたものね。

だが、引き裂かれてすぐ他の女性と結婚するなんて絶対許せない~~~!!!!!

そう、なんと彼はけっこうあっさり他の女性と結婚してしまうのです。
嘘でしょグレイ。そこはアンタ、ジョージアナを思って一生独身を貫くとこでしょー!?!?

...ううぅぅ、つらいけれど、何たってジョージアナもグレイも歴史上実在した人物だから、彼らが莫迦公爵とヨリを戻した/さっさと他の女と結婚したという事実がある以上、美化したら嘘になってしまうものな。
そういうとこが歴史物の作品のつらいとこですよね。
新選組がどんなに好きでも、新選組が勝った日本を描いたら最早歴史物とは呼べなくなってしまいます。

だからこの酷いオチには進んで目を瞑り、ジョージアナに情熱的な片思いを捧げていたグレイの姿だけを思って、私はこの作品を「好き」と言っております。
CMではスキャンダラスな話だと言って煽っているようですが、私は少なくともあのグレイの思い方はそんな浮ついたものではなかったと、今でも信じておりますわよ。
...信じるためにも、オチは豪快に無視ッッ!!!

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