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2012年1月29日。 日光の天然氷、四代目徳次郎さんの氷池で行われた氷の切り出し風景をご紹介いたします。
前回のエントリーでも書きましたが、いくら日光が寒くても、氷池があってもこの氷池で氷を作れるのはシーズン中2回です。 徳次郎さんでは氷池を2つ持っていますが、合計4回しか切り出しを見るチャンスはありません。 そして自然相手のお仕事です。 氷の切り出しは氷のでき具合を見て直前まで日にちが確定しません。 日曜日に切り出しが重なることはとてもラッキーなことでした。 貴重な一回を拝見出来たということです。
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こちらが氷を切る機械です。 氷は約15センチくらいの厚さになると切り出されます。 氷は一晩で約1センチずつ、底の方に向かって成長します。 なので、氷が張り始めてから切り出しまで約2週間かかるということです。
張り始めの氷を見ていい具合の結晶が出来ていないと、全て割って池から取り出し、また始めから作り直し、ということもあるそうです。
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左の写真では氷を機械で切っています。 右手で持ったレバーを上げ下げすることで刃を上下させ、機械を後ろに引いて移動しながら切ってゆきます。 下書きの線は前日に引かれました。 氷は5センチの厚みで乗れるようになるそうですが、足もとの氷を切断しながら移動するのはちょっと怖そうです。
右の写真では機械で切ることのできない端の部分を手作業で切っています。
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平たい金属の着いた棒で切った氷を離したり、上に付いている切りかすの氷を取り除いたりしています。 右の写真では氷の断面が見えますね。 そして池の底が見えます。 池の底は田んぼのような泥状です。 氷は先ほど言った通り下に向かって成長します。 すると、氷池の底をコンクリートで固めてしまうと圧力がかかるような感じで具合が悪いのだそうです。
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切られた氷は夏を越して秋まで貯蔵する氷室へ運ぶため、池の端へ集めます。 竿の先に鉤が着いたもので氷をひっかけ流して行きます。 はい。 私もお手伝いしていますね。w 右の写真は師匠のふぃふぁさんです。w
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池の端まで来た氷は「よいしょっ!」と池から出され、木材や竹で作られたレールの上に乗せられ、氷室までジェットコースターのように流されてゆきます。
見ている分にはどうと言うことなく見えますがこの氷1枚長さ約800mm、幅450mm、厚150mm、重さが40kg です。 池からあげるのに二人掛かり。 そして一つの池で約1,000枚、40トン!!(2,000枚、80トンかも?) これはやはり重労働です。
そして重労働はこの切り出しの日だけではありません。 夏から池の清掃、氷を流すレールの組み立てなど。 そして氷が張れば日々の管理。 特に雪は氷の製造にはとても悪く、雪が降る日は一日中、昼も夜中も氷の表面に積もる雪をホウキなどで取り除く作業が続くのだそうです。
それでなくとも天然氷は山影の一日中陽の当らない冷たい場所で作られるのですから、それだけでも十分つらい作業です。
暑い夏に天然氷のかき氷をいっぱいいただく時。 そのおいしさの中にこのご苦労があるのだと、ありがたみが増すでしょうか? 雪のようになったふわふわのかき氷はあっという間に夏の暑さに溶けてしまうか、お腹の中に入ってしまうのですが、そこに掛けるこの情熱は何でしょうねぇ。
さて、次は池から上がった氷が氷室に保管されるまでの様子をお伝えします。