仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

その場所が「ベース」ということ10

2009年12月04日 16時59分24秒 | Weblog
「仁は、あ、ゴメン、仁さんはヤマノモノなの。」
ハルが聞いた。
「仁は純血に近いのだと思います。」
「純血って。」
「私たちはその血を、本来の力を絶やさぬために、戸籍のない人を作ったと聞きました。たぶん、それが仁だと思います。」
「仁は他の血の混入が少ない人だと思います。ですから、仁には知恵の遅れがあるのだと・・・。」
「どういうこと。」
「仁はたぶん、その判断も、思考も小学校五年生くらいだと、そこから先には進んでないと思うんです。その力と感性は、ヤマノモノに間違いありません。」
「何かわかんなくなってきた。」
マーが唸った。
「そうですね。おかしな話をしていますよね。」
「違うよ。キヨミさん。僕らは仁のことを感覚で知っていて、言葉で理解していないんだ。仁はすごいと思うし、あれ、ゴメン、僕も仁って言ってるね。」
「いいんだよ。仁は仁なんだから。」
マサルを元気付けるようにヒデオが言った。
「そうね。ヒデオ、私たちがここを選んだのは、もしかしたら・・。」
「そうなんだ。はは、仁、くすぐったいよ。」
仁がヒデオの脇をくすぐっていた。
「話に疲れちゃったのかな。」
「キヨミさん、仁と二人でいるときに今みたいな話をしたの。」
「キヨミさんってえ。年上ですけど、キーちゃんでいいですか。」
「え。」
「ハル、なんでもいいようなかんじになってるよ。もう。」