仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

どこでどうして、何のために10

2011年08月18日 17時01分26秒 | Weblog
 彼は長距離射撃用のライフルのスコープから目を離し、その銃口を十階建てのビルの屋上の床に向けた。その至近距離で発射すれば、床を貫通するかもしれない。とかれは思った。
 しばらく、床を狙っていた。
 彼は銃を肩にかけ、座った。先ほどまで、足を掛け、狙いを定めていたコンクリートの部分を背もたれにして、空を見た。雲の流れる速さに驚いた。

 もう、いいか

彼は長い銃口を口にくわえ、靴を脱ぎ、足の親指で引き金を引いた。

 彼の番は終わった。

彼は何人も殺した。何人も脅した。だから、それでよかった。