電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

截拳鷹爪功

2010-11-12 02:22:48 | 七十年代作品【1979】


      ジエ チュエン イン ジュア ゴン
原題    截拳鷹爪功  Jeet kune the claws and the supreme kung fu
                  香港欣欣電影公司作品
公開日 1979/5/4(金)    327,543HK$ 1979年度第95位

スタッフ&キャスト
監督 杜魯波 (ドゥ・ルーボー)

出演
      何宗道(ホー・チョンドー)
      唐炎燦(トン・インチャン)
      谷峰(グー・フェン)
      米雪(ミシェル・イム)

解説
ブルース・リーそっくりさんで有名な何宗道はブルース・ライ名義で数々の模倣作品に出演した。日本では劇場未公開が殆どだが、「新死亡遊戯」(75)「ブルース・リーを探せ!」(76)が劇場公開、ウー・スーユエン監督の「ブルース・リー物語」がテレビでオンエアされている(ビデオ、DVD化済み)。 その彼が本名の何宗道に再び戻った後、79年に出演した作品になる。ストーリーは「ドラゴン怒りの鉄拳」の後日談となっており何宗道はブルース・リーが演じた陳眞の弟役に扮した。 共演はショウブラザーズで活躍した俳優グー・フェン、同じく「ヤングマスター」では見せ場の獅子舞い合戦でジャッキー・チェンの相棒を演じ、その後も成家班の中心人物として活躍したトン・インチャンほか。

ストーリー
20世紀初頭の澳門。兄・陳眞の遺骨を携えて陳善(何宗道)は実家へ里帰りすると目の不自由な母親(王莱)と弟・小三(韓國材)が待っていた。小さな雑貨店を営んでいた一家は陳善が戻ってきたことで平穏な生活になったかに見えた。ところが組織を壊滅させた陳善を追って上海から来た日本人・佐々木(方野)が部下の山本(山怪)、藤田(米奇)らを引き連れこの地にやって来ていたのだ。日本人と手を組んで町を牛耳っている狡賢い中国人翻訳官・周通(魏平澳)は佐々木ら日本人の秘書となりカジノを経営しようと領事から開設の許可を得る。ある日、陳善は叔父のいる南精武門道場を訪ね萬坤(劉鶴年)が出迎えた。師範代の左宗棠(唐炎燦)が門下生に功夫を教えているところに師範の娘・茜如(蔡瓊輝)は訪ねてきた陳善を紹介するが彼を受け入れようとはしないのだった。道端で周通が横暴を振るっていると小三が食ってかかり町は物騒となる一方。周通と佐々木は何とかして陳家を破滅させようと考える。すると周通は、萬師範が娘を宗棠に嫁がるつもりが実のところ娘は陳善に気がある事を利用しようと計画を企てる。まずは片思いの宗棠にワナを仕掛けるべく行動を開始する。宗棠は茜如との口喧嘩でふられて酒に酔い町で大道芸人の親娘に絡むが陳善が割って入り退けた。娘の于小倩(米雪)と父親(周小來)は陳家を訪れ一家に歓迎される。日頃、陳善に思いを寄せていた茜如は新しい衣服をプレゼントするが宗棠に目撃されてしまう。自棄酒している宗棠のところに周通が現れて善からぬ事を吹き込む。深夜、茜如に襲いかかった宗棠は師範に見つかり破門されてしまった。その宗棠をうまく仲間に引き入れた周通と佐々木は領事の娘を宗棠に殺害させ、萬師範もその手に…。現場にいた茜如は顔こそ見えなかったが犯人が着ていた服を見て驚く。それはまさしく陳善に贈った服だった。茜如は警察に犯人が陳善であると証言し陳善は逮捕される。そんな頃、日本人道場主・如虎太郎(谷峰)が港に到着し佐々木、宗棠らが出迎えていた。その場にいた于親娘は萬殺害が宗棠の犯行だと知り茜如に真実を話すが宗棠も現れ困惑した茜如は自ら命を絶ってしまう。翌日。稲妻が鳴り響く晩、于親娘に助け出された陳善は母の姿を一目見ようと家に戻る…。しかし、家には周通に殺害され哀れな姿の母と小三が倒れていたのだった。怒りが最高潮に達した陳善は、すぐさまカジノへ向かい怒りの鉄拳を振るってその場にいた手下どもを次々となぎ倒してゆく。佐々木も陳善の拳にはかなわなかった。逃げ出した周通はボスのいる道場へ行き、助けを求めるがミスを冒した周通を殺してしまう。雷雨の中、周通を追って道場の外までやって来ていた陳善は中へ入ると見知らぬ男の前に横たわる周通の死体が目に入った。陳善は驚きもせずその場を去ろうとした。憎き周通が死んでしまったとあってはこれも仕方がない。だが男が陳善を呼び止めた。男はボスの虎太郎だった。陳善を侮辱し二人は対決することに。そこへ窓を突き破って入り込んできた宗棠は陳善の代わりとなってボスに挑む。しかし宗棠は日本刀を突き刺され無惨な姿に。何もかも無くした宗棠は「すまない。全てヤツの仕業だ…。」とだけ言い残してその場に倒れた。今までの悪事はすべて虎太郎が仕組んだ謀略だったのだ。陳善は復讐に燃え鉄拳を炸裂させる。虎太郎はついに観念しその場で腹を切って最期を遂げるのだった…。

----------------------------------------------------------------------------
読書の秋だなんて言われたりもしますけど最近読んだ小説では「女剣三国志・貂蝉」。これは久々におもしろい小説だったなぁ。『三国志演義』をベースとして連環の計により猛将呂布が覇者董卓を倒していく過程をメインに細かい部分を脚色した小説ですが、読みやすいですし登場人物の内面的な描写もとっても分かり易くて(人物や情景が自然に脳裏に浮かんで来るような感じです)董卓打倒後の展開も秀逸な読み物で三国志ファンでなくともきっと引き込まれてしまう内容ではないかと思います。この小説は以前東スポに連載されていたものですが(爆、満州で生まれた著者が貂蝉という女性に焦点を当てて一冊の本に仕上げています。(昨年、徳間から文庫本が出ました)皆さんは何か面白い本などありましたか?

さて今回の『截拳鷹爪功』について。オリジナル『精武門』から7年後の79年。この映画の公開当時香港ではどのような評判だったのでしょうか。この手の映画なら人気も高かったはずなのですが詳細は不明です。ちなみに英語版では“Fist of FuryⅢ”のタイトルとなっていて続きものであることが強調されていました。(確かに内容的にはそうなりますね)オリジナル版ではFist of Furyの名前は使われず全く別のタイトルが付けられています。はじめに何宗道と”鷹爪功”唐炎燦によるカンフー演舞があって、この二人がどんな展開をみせてくれるのか期待させられます。
感想は「怒りの鉄拳」のような大立ち回りは残念ながら無くて小規模になってはいましたが、何宗道の顔の表情から仕草、セリフ、一つ一つの蹴りや突きなどの細かいアクションに至るまでブルースを丁寧に真似ているのでまるで魂が乗り移ったかのようでした。まぁこの映画の場合は銀幕でのブルース再来を望む制作者を含めた人たちの執念によるものだったりして。唐炎燦が鷹爪功を使ったのに対して何宗道の拳はまさにジークンドーでありました。
(随分と久々に見ました!)

今回は陳眞の弟になった設定ということでフィクションをさらに発展させた展開になっていますが、主人公が陳眞のように変装したりする少々奇抜な演出はありませんでしたけど、徹底的に陳眞=ブルース・リーという出来上がった当時の図式をまるまるコピーしたシリアス功夫劇はほぼ『精武門』と同じであると言えます。ストーリーはどうあれ観客はブルースのアクションが見たいだけと何宗道は最後の意地を見せたのだと思います。
私の好きなユアン・ウーピンの82年版『霍元甲』が数年後に製作されますが、同時期の“精武門モノ”であるのでシリアスではあるけれどやっぱりこうなるのかと妙に納得し、また雰囲気的には近いものがありましたね。(BGMも同じものが使われています。)しかし、香港での結果は惨敗。確かに終盤、暗い雨の夜の場面で物語が進行するという設定でした。これに関してはこれはこれで異論はないです。しかし、ちょっと全体が暗すぎたのではないでしょうか。ジメジメとしてしまい、スカっとする爽快感が無かったんですね。。。

あと、70年代当時のいわゆる精武門のストーリーは中国人の視点で描かれていますよね。日本での今後の動向に期待しても仕方がないけれどもメディアは問わないので日本人の視点で霍元甲をテーマにして映画or劇画化とかしてもらいたいものです。(ヒーロー不在の今の世の中、例えばあっちのヒーローを描いた漫画があってもいいと思うのですが。)
ところで何宗道って私の好きな俳優と言えるかも知れない。なぜかと言えばニセモノにはとても魅力を感じてしまうからなのですね。(但し、ブルース・レの方は大の苦手なんですけども。。。) 機会があれば彼の主演作品なども鑑賞していきたいと思います。

最後にこの映画で登場している武具に関してですが、日本刀vsサイを見ることが出来ます。ジャッキーの『新精武門』では日本人役の陳星がサイを使っていましたが、この作品では逆に中国人の唐炎燦が使っていましたね。サイという武器も日本人と中国人が対決するような映画には効果的なアイテムなのかも知れません。しかし、ヌンチャクも出てこなくて何かの小道具がストーリーに何ら絡んでこなかったのが大変残念でありました。ヌンチャクを登場させて何か意味を持たせていると案外良かったのかも知れません。(『新精武門』でもヌンチャクはちゃんと意味のあるものでしたね。)終 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 酔拳オンエア | トップ | 邵氏影片と未だ見ぬ作品群 »

コメントを投稿

七十年代作品【1979】」カテゴリの最新記事