まず、伊坂幸太郎の「サブマリン」。
主人公の陣内という家裁調査官のキャラが際立っていて、
ユーモア小説と取り違えんばかりに笑ってしまいます。
しかしそこは伊坂幸太郎です。
伏線も巧妙に張って、立派なミステリーに仕上げています。
この小説についてのインタビュー記事を読むと、
特にキャラを決めてから書くことはしないようなことを本人は言っています。
この小説の前身(同じ登場人物の小説)は、「チルドレン」という題の小説です。
それからずいぶん年月が過ぎてからの続編で、
シリーズ化する意図は全くなかったのだけれど、とインタビューの中で言っています。
つまりこのあとの続編はないと言うことです。とっても残念ですが・・・・。
伊坂さんの独特のユーモア感覚というのがあって、
陣内とワトソン君的役割の武藤という家裁調査官の絡みは抱腹絶倒です。
陣内の破天荒な言動と、それでいながら調査相手の子どもに慕われる性格は際立っています。
あまりに面白かったので、図書館に行って早速「チルドレン」を借りて読みました。
これは連作短編で、脇役は数人いますが、武藤ではありません。
最初の短編、「バンク」では陣内はまだ学生でした。
「サブマリン」ほどには陣内のキャラは際立っていなくて、
それでも破天荒さは随所に見られるのです。
是非これも合わせてお読み下さい。
もう1冊。
これは小説ではなく、一種の紀行文でしょうか。
前川仁之の「韓国 反日街道を行く」。
釜山から自転車で韓国を一周する1,500キロの旅の記録です。
独学で習得したハングルを駆使して、いろんな人との出会いの中で、
歴史や近代史を身近に捉え感じていく旅です。
独特の感性を持った青年で、あぁそうだよなぁと思う部分がたくさんありました。
何より、彼が行く先々で何度も遭遇する軍事独裁者の時代というのが、
私にはリアルタイムに過ごした時代でもあるのです。
朴正煕政権時代の金大中拉致事件を始め、全斗煥、盧泰愚という軍人出身大統領の時代もよく知っています。
全斗煥時代の光州事件もニュースで息を詰めてみたものです。
しかし、その詳細については、この本を読んで初めて知ったような有様です。
民主主義のために戦った民衆への苛烈な弾圧も、
所詮自分にとっては他人事でしかなかったんだということです。
私が初めて訪韓したのは、1971年の夏、朴正煕が大統領の時です。
釜山に船で着いたのですが、当時戒厳令が敷かれており、夜10時以降だったか、外出禁止でした。
朴正煕は、現大統領の朴槿恵の父親です。
あの父親の背中を見て育った娘の中に育まれた政治の芽はどんなものだったのでしょう。
作者よりまだ若い時代に私は現大統領の父親が大統領をしている時代を生きていたのです。
韓国の民主化の道程を、作者の文をたどりながら、当時を思い出しつつ、
ちょっとだけ韓国に行きたくなったのです。
そのほとんどはソウルですが、韓国には7~8回行っています。
今まで接した人には反日の香りもありませんでしたが、
当時でも、私は作者と同様、韓国の人々に対して、
過去の何もかにも忘れ、自分が日本人であることを、他人事のようにノー天気に振る舞ってはならないとは感じていたように思います。
韓国もソウルと釜山、あとは慶州しか知らないのですが、
できるなら光州に行ってみたい、そう思わせてくれる本です。
いつものことですが、阿蘇市図書館の皆さん、ありがとうございます。
この図書館では、利用者の何が読みたいというリクエストに応えてくれます。
実は「韓国 反日街道を行く」は私のリクエスト本です。
そのほかに、ネットで探して予約すると、閉架にある本も探して貸してくれます。
これからもよろしくお願いします。
主人公の陣内という家裁調査官のキャラが際立っていて、
ユーモア小説と取り違えんばかりに笑ってしまいます。
しかしそこは伊坂幸太郎です。
伏線も巧妙に張って、立派なミステリーに仕上げています。
この小説についてのインタビュー記事を読むと、
特にキャラを決めてから書くことはしないようなことを本人は言っています。
この小説の前身(同じ登場人物の小説)は、「チルドレン」という題の小説です。
それからずいぶん年月が過ぎてからの続編で、
シリーズ化する意図は全くなかったのだけれど、とインタビューの中で言っています。
つまりこのあとの続編はないと言うことです。とっても残念ですが・・・・。
伊坂さんの独特のユーモア感覚というのがあって、
陣内とワトソン君的役割の武藤という家裁調査官の絡みは抱腹絶倒です。
陣内の破天荒な言動と、それでいながら調査相手の子どもに慕われる性格は際立っています。
あまりに面白かったので、図書館に行って早速「チルドレン」を借りて読みました。
これは連作短編で、脇役は数人いますが、武藤ではありません。
最初の短編、「バンク」では陣内はまだ学生でした。
「サブマリン」ほどには陣内のキャラは際立っていなくて、
それでも破天荒さは随所に見られるのです。
是非これも合わせてお読み下さい。
もう1冊。
これは小説ではなく、一種の紀行文でしょうか。
前川仁之の「韓国 反日街道を行く」。
釜山から自転車で韓国を一周する1,500キロの旅の記録です。
独学で習得したハングルを駆使して、いろんな人との出会いの中で、
歴史や近代史を身近に捉え感じていく旅です。
独特の感性を持った青年で、あぁそうだよなぁと思う部分がたくさんありました。
何より、彼が行く先々で何度も遭遇する軍事独裁者の時代というのが、
私にはリアルタイムに過ごした時代でもあるのです。
朴正煕政権時代の金大中拉致事件を始め、全斗煥、盧泰愚という軍人出身大統領の時代もよく知っています。
全斗煥時代の光州事件もニュースで息を詰めてみたものです。
しかし、その詳細については、この本を読んで初めて知ったような有様です。
民主主義のために戦った民衆への苛烈な弾圧も、
所詮自分にとっては他人事でしかなかったんだということです。
私が初めて訪韓したのは、1971年の夏、朴正煕が大統領の時です。
釜山に船で着いたのですが、当時戒厳令が敷かれており、夜10時以降だったか、外出禁止でした。
朴正煕は、現大統領の朴槿恵の父親です。
あの父親の背中を見て育った娘の中に育まれた政治の芽はどんなものだったのでしょう。
作者よりまだ若い時代に私は現大統領の父親が大統領をしている時代を生きていたのです。
韓国の民主化の道程を、作者の文をたどりながら、当時を思い出しつつ、
ちょっとだけ韓国に行きたくなったのです。
そのほとんどはソウルですが、韓国には7~8回行っています。
今まで接した人には反日の香りもありませんでしたが、
当時でも、私は作者と同様、韓国の人々に対して、
過去の何もかにも忘れ、自分が日本人であることを、他人事のようにノー天気に振る舞ってはならないとは感じていたように思います。
韓国もソウルと釜山、あとは慶州しか知らないのですが、
できるなら光州に行ってみたい、そう思わせてくれる本です。
いつものことですが、阿蘇市図書館の皆さん、ありがとうございます。
この図書館では、利用者の何が読みたいというリクエストに応えてくれます。
実は「韓国 反日街道を行く」は私のリクエスト本です。
そのほかに、ネットで探して予約すると、閉架にある本も探して貸してくれます。
これからもよろしくお願いします。
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