ひねもすのたりにて

阿蘇に過ごす日々は良きかな。
旅の空の下にて過ごす日々もまた良きかな。

京極夏彦の本 Ⅱシリーズ

2024年10月09日 | 最近読んだ本
もう30年前になるか、「姑獲鳥の夏」でデビューした京極夏彦の本に驚愕したのは。
それまでのミステリーとは全く異なる設定は非常に新鮮だった。
この作品で一躍ミステリー界の寵児となった作家だが、一つだけ欠点があった。
本が分厚いのである。
分厚いということは、作品が長いということであり、読むのに時間がかかるということでもある。
時には読み疲れの状態にもなる。
ということもあって、ここ20年程は彼の作品からは遠離っていた。

しかし、因果なことに又京極夏彦に出会ったのである。
その出会いの本は、「書楼弔堂 そのⅠ 破暁」
何故因果な出会いなのか、やはり本がやたらと分厚いのである。
最近寝転がって本を読むことが多く、寝転がって読むために本を支える腕が疲れて、時に本を読んだ後で手が震えたりするのだ。
書楼弔堂は3部作で、その2が「炎昼」その3が「待宵」で、本の厚さはほぼ同じの持ち応江あり。

普通、3冊の本だと1週間から10日で読み上げるのだが、2週間以上かかってしまった。
書楼弔堂シリーズは明治初期が舞台の弔堂という本屋が舞台である。
1部は高遠という日々無為に過ごしている、裕福な家庭の謂わば現在のプー太郎、
2部では、塔子という良家の女学生、
3部では、幕末に暗殺者として坂本龍馬を切ったという世捨て人となった老人、
これらが舞台の狂言回しとなって、
泉鏡花、田山花袋、平塚らいてう、徳富蘇峰、岡本綺堂、竹久夢二、柳田国男、そして勝海舟等が登場する。
柳田国男は学生時代の旧姓松岡国男で2部に登場し、塔子と共に狂言回しの一躍を担っている。



これらの登場人物はそれぞれに面白いのだが、勝海舟はいかにもという感じで、思わず頬が緩む。
作者は、弔堂の主人の言葉を借りて、南方熊楠のことを博覧強記の傑物という表現をしているが、
私に言わせれば、作者こそが博覧強記であることを弔堂の主人の語りに覗かせている。
本の分厚さと重さに負けず、是非一度読んで頂きたい。

もう一つは「巷説百物語」シリーズで、これは7部作となっている。
いわゆる百物語なので、妖怪や化け物が出るオカルト本かと思われるかも知れないが、
なんのなんの、とんでもない仕掛けをされたシリーズである。
一作目を読んだら続きを読まずにはいられない程面白い。
「巷説百物語」「続(つづきの)巷説百物語」「後(のちの)巷説百物語」、
「前(さきの)巷説百物語」「西(にしの)巷説百物語」「遠(とおくの)巷説百物語」
そして今年6月に発行された「了(おわりの)巷説百物語」
現在、「了巷説百物語」に取りかかったばかりである。
これはそれまでの1~6部までより1.2倍程分厚い。さて何日で読み上げるのか、支える腕は大丈夫か。



京極夏彦氏は結構な多作家で、これからも読み残した本を楽しめるなぁ、しかし分厚いよなぁ、
と読書の秋に思うのである。
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