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景気足踏み リーマン級? 消費税10%の前提 株価・雇用は改善も消費停滞で見えにくく

2016年04月25日 | 経済
【エコノフォーカス】景気足踏み リーマン級?
消費税10%の前提 株価・雇用は改善も消費停滞で見えにくく 日本経済新聞 朝刊 総合・経済 (3ページ) 2016/4/25 3:30


 今の景気のもたつきは2008年9月のリーマン・ショック級なのか。17年4月の消費税率10%への引き上げを巡り景気の判断に関心が高まっている。株価や雇用改善をみれば今は需要が「蒸発」したリーマン時より良いが、消費の長期停滞への不安が増税の是非を見えにくくしている。(川手伊織)





 安倍晋三首相は消費増税を巡り「リーマン・ショックや大震災のような事態が起きない限り予定通りだ」と繰り返してきた。菅義偉官房長官は20日の記者会見で、熊本県を中心に相次ぐ地震が東日本大震災級かと問われ「そうした状況にない」と答えた。

 リーマン級かどうかについては、与党の増税慎重派から「消費が底割れしたのはリーマン・ショック以来だ」(自民党の山本幸三衆院議員)と延期を求める声も出る。だが、菅長官はリーマン級の事態とも「思っていない」と否定している。

目の置き所次第

 リーマン級かどうかは目の置き所で変わる。円高といっても最近は1ドル=111円台と製造業の採算レート(102円台)を大きく下回る。107円台から3カ月で87円台まで急伸したリーマン危機時は企業業績が総崩れ。当時は7100円台に急落した株価も、今は1万7500円台だ。

 企業収益は過去最高水準で、有効求人倍率も1.28倍でバブル経済期以来、約24年ぶりの高さ。完全失業率も3%台前半で低位安定する。働く意思と能力がある人が全員職に就ける「完全雇用」がほぼ実現している。

 一方、足元の景気もたつきはリーマン級の「長さ」になる恐れがある。5月18日発表の1~3月期実質経済成長率は昨年10~12月期に続き、2四半期連続マイナスに落ち込むとの予測も多い。

 さらに今回の地震で自動車などの部品供給網が寸断され、生産を下押ししている。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「4~6月期もマイナス成長が避けられない」と指摘する。4期連続のマイナス成長を記録したリーマン危機前後に匹敵するとみることもできる。

 消費に限れば、停滞期間はすでにリーマン危機時より長い。当時は09年4月に国費ベースで15兆4千億円、事業費ベースで56兆8千億円に達する経済対策をまとめた。6兆円減った実質個人消費は、車の購入支援策など景気刺激策でV字回復。09年10~12月期には危機前の水準に戻した。

 一方、15年10~12月期の実質個人消費は季節調整済みの年率換算で304兆円。消費増税の駆け込み需要が強まる前の13年10~12月期をおよそ10兆円下回ったままだ。増税で家計の所得が減ったことが響いている。

 完全雇用なのに賃金と消費の伸びが鈍い背景に、労働市場の構造変化もある。人手不足に悩む企業は非正規社員を正社員に転換している。正社員の職がないため非正規となった労働者は13年1~3月に348万人いたが、15年10~12月には302万人まで減った。

 「正社員化で必要な労働力を確保できれば、企業はすでに雇っている正社員の賃上げに動く誘因が薄れる」(内閣府)

延期にもリスク

 こうした中での再増税は消費腰折れのリスクも伴う。首相や菅長官に近い経済ブレーンの一人も「消費停滞の長期化という新たな課題が、増税再延期に踏み切る決め手になりうる」と語る。

 社会保障の安定こそが節約志向を和らげるとの意見も多い。日本総合研究所の西沢和彦上席主任研究員は「現役世代の将来不安を少しでも払拭できれば、財布のひもを緩め、消費回復効果が期待できる」と指摘する。

 増税延期はアベノミクスの失敗を認めたとの批判を受けかねず、政治的なリスクを伴う。消費の先行きに不安が残るなかで「リーマン級」と判定するかは首相の裁量に最終的には委ねられる。


年金債務、企業を圧迫

2016年04月25日 | 年金
年金債務、企業を圧迫
日清食品など、関連費用膨らむ マイナス金利が影響
日本経済新聞 朝刊 1面 2016/4/25 3:30

 日銀のマイナス金利政策の影響が、年金の負担増を通じ企業収益を圧迫し始めた。長期金利の利回りがマイナス圏に下がったことで、企業が将来の年金の支払いに備えて用意する必要のある金額が増えるためだ。関連費用は判明分だけで1000億円を超えた。日清食品ホールディングスや住友不動産などで今期の関連費用が膨らむ見通しで今後、上場企業に同様の処理が広がりそうだ。



 円安の一服や海外景気の減速など、企業収益を押し上げてきた追い風が弱まっている。年金負担は帳簿上の処理のため企業から現金が流出するわけではないが、日本企業の新たな重荷となる。資金調達を容易にして企業活動の活発化を狙ったマイナス金利の副作用といえそうだ。

 あらかじめ将来の給付額を決める確定給付型の年金の場合、企業は従業員の将来の退職金や年金の支払いに備えて現時点で必要な金額(退職給付債務)を準備する。その際、「割引率」と呼ばれる利率を使って債務額を計算する。

 適用する割引率は長期国債の利回りなどを基に決めており、市場金利が下がると割引率も低下する。割引率を下げると退職給付債務が増えるため、不足分を決算に反映する必要がある。反映させる時期や期間は企業ごとに異なる。

 日清食品ホールディングスは2017年3月期に数十億円規模で関連費用が膨らみ、利益水準をその分押し下げそう。住友不動産では17年3月期に費用が数億円増加し、三井金属でも数十億円の費用が生じる可能性がある。システム開発のオービックは2億円前後の費用を計上する見通しだ。

 既に業績に反映させた企業もある。LIXILグループは16年3月期に国内の年金関連費用が約100億円増えたことなどで、連結最終損益が200億円の赤字(前の期は220億円の黒字)に転落した。大和ハウス工業も16年3月期に関連費用849億円を特別損失に計上した。

 住友林業は割引率を1.2%から0.5%程度に下げたため関連費用が115億円増えた。モスフードサービスは割引率を0.86%から0.45%に引き下げ、関連費用を1億3000万円程度計上したもようだ。

 割引率の低下に加え、企業は運用する年金資産の利回り悪化にも直面している。格付投資情報センター(R&I)の集計によると、主要企業の15年度の運用利回りは5年ぶりにマイナスとなった。金利の低下は債務と資産の両方で企業業績を圧迫する可能性がある。