NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#150 ジョン・レノン「ROCK 'N' ROLL」(CAPITOL 4N-16069)

2022-04-13 05:01:00 | Weblog

2003年4月27日(日)



ジョン・レノン「ROCK 'N' ROLL」(CAPITOL 4N-16069)

ジョン・レノン、75年リリースのアルバム。タイトル通り、全曲ロックン・ロール、R&Bのカヴァーである。

プロデュースは、フィル・スペクター、レコーディング・メンバーはレオン・ラッセル、スティーヴ・クロッパー、クラウス・ヴーアマン、ジム・ケルトナーといった、おなじみの面々。

トップの「BE-BOP-A -LULA」は白人ロッカー、ジーン・ヴィンセント、57年の大ヒット。

独特の唱法を、ジョンも上手く真似て、ヴィンセントの不良っぽい雰囲気を出すことに成功している。スティーヴ・クロッパーのソリッドなギター・プレイもカッコいい。

「STAND BY ME」は、いうまでもなくR&Bシンガー、ベン・E・キングのスーパー・ヒット。キングとリーバー&ストーラー・コンビの共作。

このジョンのカヴァーののち、オリジナルも同題の映画の主題歌として86年にリヴァイヴァル・ヒットしているから、皆さんおなじみだろう。

アコギの響き、そして、ジョンの少し鼻にかかったような高い歌声がなんとも印象的な名演だ。

続くはメドレーで「RIP IT UP/READY TEDDY」。前半はリトル・リチャード、バンプス・ブラックウェルの作品。

リチャード自身のほか、ビル・ヘイリー、エヴァリー・ブラザーズ等の演奏でおなじみのこの曲を、ジョンもまたノリノリで歌いまくっている。

後半もリチャード=ブラックウェルの作品だが、エルヴィス・プレスリー、バディ・ホリーのカヴァー版もまた、オリジナルと同じくらい有名だろう。もちろん、ジョンのシャウトも、彼らに負けじと熱い!

チャック・ベリー作の「YOU CAN'T CATCH ME」は、ちょっと因縁含みの曲。

ビートルズは何曲かベリーにインスパイアされた曲(平たくいえばパクり)を書いていたが、ことに「COME TOGETHER」はこの「YOU CAN'T CATCH ME」にクリソツということで、作者からクレームがついていたのだ。

今回の選曲は、そのフォローともいえそう。なるほど、聴いてみると前半がとくに良く似てますな(笑)。ホーンがなかなかの迫力。

「AIN'T THAT A SHAME」はファッツ・ドミノのカヴァー。チープ・トリックなんぞもやっていましたな。ここではレオン・ラッセルのピアノが大活躍。

「DO YOU WANT TO DANCE」は黒人シンガー、ボビー・フリーマン、58年の作品。というよりは、クリフ・リチャード、デル・シャノン、ビーチ・ボーイズらの持ち歌といったほうが、通りがよさそう。

いかにも軽快でネアカなメロディをレゲエ風ビートに乗せて、ジョンも楽しんで歌っております。

「SWEET LITTLE SIXTEEN」は、これもまたチャック・ベリーのナンバー。にぎやかなホーン・アレンジに乗せて、ジョンがシャウト&シャウト。

「SLIPPIN' AND SLIDIN'」も、リトル・リチャードのナンバー(「のっぽのサリー」のB面)。レオン・ラッセルのスピーディなピアノ、そしてボビー・キーズのサックス・ブロウが、実にR&R気分な一曲。

「PEGGY SUE」はバディ・ホリーの代表的ヒットのカヴァー。ホリー、ジェリー・アリスン、ノーマン・ペティの共作。

陽気なことこの上ないロックン・ロールを、高らかに歌うジョン。コード奏法によるギター・ソロも実にごキゲンだ。

お次はメドレーで「BRING IT ON HOME TO ME/SEND ME SOME LOVIN'」。前半はサム・クックの代表的ヒット。彼自身の作品。

後半はリトル・リチャードの作品で、サム・クックも取上げているナンバー。このふたりは、リチャードが「BRING IT ON HOME TO ME」をカヴァーしていたりと、意外につながりが深いのだ。

ジョンも、ゆったりとしたテンポで、リラックスして歌っている。「ソウルフル」というのとはちょっと違う歌い方だが、なかなか和み系でいい感じだ。

「BONNIE MORONIE」はN.O.出身のシンガー、ラリー・ウィリアムズがオリジナル。ロック・ファンにはジョニー・ウィンターのカヴァーが有名だろう。

ミディアム・テンポの南部風サウンドをバックに、粘っこく歌うジョン。うーん、ファンキー!

「YA YA」も「南部」な一曲。N.O.の代表的シンガー、リー・ドーシーの作品。

ジョンはこれをデビュー前のビートルズ時代(ビート・ブラザーズと名乗っていたころ)にも取上げており、再演ということになる。

いかにもノリのよい快演。ジョンのやや上ずり気味の高音のヴォーカルが印象的だ。

ラストはロイド・プライスの代表的ヒット、「JUST BECAUSE」

プライスもおもにN.O.で活躍したR&Bシンガーで、「LAWDY MISS CLAWDY」等を黒人のみならず白人マーケットでもヒットさせた、先駆者的存在でもある。

ロックン・ロールというよりはN.O.の地方色豊かな、バラード・ナンバー。ジョンものどかな雰囲気をかもしだす歌いぶりを見せている。

以上、ひたすら往年のロックン・ロールをトリビュートしているジョンの姿は、社会運動家としての彼とはだいぶん違ったおもむきだ。

後代の研究では、70年代の名作「IMAGINE」なども、そのコンセプトはもっぱらヨーコ夫人によるものだということがわかってきており、こういう「永遠のロックン・ロール少年」像こそが、ジョンの本来の姿なのかもしれない。

筆者にとっても、70年代のヒーローは、やはりジョン・レノンにほかならなかった。

彼の「原点」を知る意味でもこの一枚、必聴だと思うよ。



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