NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#296 メイヴィス・ステイプルズ「THE VOICE」(Paisley Park/Warner Bros. 9 25049-2)

2022-09-06 05:02:00 | Weblog

2005年11月27日(日)



#296 メイヴィス・ステイプルズ「THE VOICE」(Paisley Park/Warner Bros. 9 25049-2)

メイヴィス・ステイプルズのアルバム、93年リリース。リッキー・ピータースン、プリンスほかによるプロデュース。

40年シカゴ生まれ。ステイプル・シンガーズの看板シンガーだったメイヴィスも、現在65才。ソロ・デビューしてからもすでに36年。押しも押されもしない大ベテランである。

そんな彼女の、50代に入ってからの最初のアルバムがこれ。メインのプロデューサーに、プリンスのバックバンドでの活動で知られる実力派キーボーディスト、リッキー・ピータースンを迎えて制作。一曲のみではあるが、プリンスもプロデュースで参加している。

ソウル系のシンガーは年齢とともに、アクが抜けてジャズっぽい方向に向かうひとが多いものだが、メイヴィスの場合は全然そういうことはなく、この一枚の彼女もいまだギンギラなソウルである。

曲のラインナップとしては、プロデューサーがらみで12曲中8曲はプリンスの作品。ノリのいいファンクな曲が大半だ。

とても五十路を迎えたとは思えない、パワフル&エモーショナルな歌いぶりに、圧倒される。といっても、リキみっぱなし、シャウト一辺倒でなく、抑えるべきところはきちんと抑えた、これぞ名人芸というべき歌唱。亀の甲より年の功とは、よくいったもんだと思う。

一方、メイヴィスといえば、ホトケさんも言っておられるように、バラードでも卓越した巧さを見せてくれる人。本盤でもプリンス作の「BLOOD IS THICKER THAN TIME」、あるいはダニー・マッデン作の「ALL BECAUSE OF YOU」「WHY」といった曲で、変わることのない深い味わいのあるヴォーカルを聴かせてくれる。すべてを包み込む母性のようなものを、メイヴィスの歌に感じるね。

いくつになっても新しいサウンドに挑戦し、過去とは違う境地を切り開いて行く、進取のスピリット、それがメイヴィスには感じられる。自分の息子のような年齢のピータースンやプリンスと一緒に仕事をしても、なんら違和感がない。これはスゴいことだと思う。

個人的には「THE VOICE」「HOUSE IN ORDER」「THE UNDERTAKER」「MELODY COOL」「KAIN'T TURN BACK」といったファンキーで粘っこいナンバーが好み。名盤といえるようなアルバムではないけど、歌といい演奏といい、まさにリアル・ミュージックな一枚だと思う。

<独断評価>★★★


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