日本語学習者が、入門の段階で遭遇する動詞のひとつに「わかります」があります。レッスンのとき先生に「わかりますか?」と聞かれて「はい、わかります」「いいえ、わかりません」と答えるためです。そのときから英語圏の生徒には「わかります=understand」だとインプットされるわけですね。
ところが、初級文法も後半になって(『みんなの日本語』では40課)、「どうやって行くか わかりません」のような例文に遭遇して、生徒は「わからない」がわからなくなります。これはどうも「I don't understand」ではなく「I don't know」らしいと気づき「先生、どうして 知りません と言いませんか?」と質問します。「I don't know=知りません」というのもインプット済みだからです。
例文:電話があるかどうか わかりません
EX:I don't know if there is a phone
日本語の1単語が他の言語の1単語と100%同じ意味、ということはそんなに多くないと思うのですが、いまの学生はスマホで調べて一番上に出てきた意味しか見てないことが多く、それぞれの単語の守備範囲が違うこと、他の意味もあるということを色々な例文を交えて教えないとなかなか納得してくれません。
だいたい『みんなの日本語』でも、「わかります」の他の意味を改めて語彙導入するってこともないので、40課で講師は突然「先生、わかります と 知ります の違いは何ですか?」という質問に遭遇してしまうのではないでしょうか。
この質問は…相当難しいんです(汗)。これまでスペイン語圏の生徒にはこの質問を受けたことがなかったのですが、英語圏の生徒に対してはまず、インプットされている「わかります=understand」の ”=” を頭の中から削除してもらうことから始めました。
日本人でも、英語の辞書をひけば わかります には色々な意味が含まれていることに気づかされるでしょう。
わかる:理解する, 知る, 気づく, 識別する, 判明する, 了解する
参照した「ジーニアス6」という辞書アプリでは、それぞれの意味合いを多様な英語を使った例文で説明しています。日本語って、なんて複雑なんでしょうか。
>佐藤さんの電話番号知ってる?
>>うん。知ってる。でも、今わからない。家に帰ればわかるよ。
ところでこの会話文、英語に訳したらどうなると思いますか? まずわかりやすい日本語に意訳してみたんですが、ちょっと長いんですよ。
>>うん、データーとしては持ってるよ。でも暗記してるわけじゃないから今は言えない。家に帰ったら調べようか。
で、英語訳はというと、万年ビギナーのワタシにはやはり無理でした( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
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