英語圏の生徒(日本語勉強中)の話を聞いていると、ときどき あれっと思うところで「働かない」という日本語を使う。例えば「僕の国にも自動販売機はあるけどいつも働かない」。
なぜかな~と考えてみた。まず生徒に「働かない」をどういうときに使いたいのか聞いてみた。
①この薬は、彼には働くが私には働かない。✕
②このエアコンは働かない。✕
③このプロジェクトは働かない。✕
…などなど、おかしな日本語が続出したので、ゼッタイこれは doesn't work を頭に浮かべて直訳しているに違いないと思った。
日本語の「働かない」にも「機能しない」という意味はあるのが、せっかく労働するという意味を表すために「人」と「動」をくっつけて「働く」という漢字を作ったのだから、メインの意味は「人間が仕事をする/労働する」だと思う。上記の三例には「働く」以外の動詞をそれぞれ充てていかなきゃならない。
①この薬は、彼には効くが私には 効かない。
②このエアコンは 動かない / 風が出ない / 故障している。
③このプロジェクトはうまくいかない。
試しに doesn't work の例文をネットで探したら、山ほどの例文の和訳それぞれに違う動詞が充てられていて驚いた。これほどとは思わなかった。電気なら「つかない」だし、ラジオなら「音が出ない」、シャワーなら「壊れている」「水が出ない」。では、冒頭の例はどういう日本語に直したらいいだろうか?
僕の国にも自動販売機はあるけどいつもはたらかない。⇒ 壊れている / 商品が出てこない / 故障中だ 色々考えられる?
幸いスペイン語には、trabajar(働く)のほかに funcionar(機能する)という動詞もあるので、上記の三例などは funcionar でまかなえる。だからと言って良いのか、スペイン語圏の生徒から「自動販売機がはたらきません!」というたぐいの間違いは聞いたことがない。
最後に、「故障中」の張り紙はどう書かかれるのか辞書で調べると…
■スペイン語【小学館和西辞典】 No funciona. または Fuera de servicio
■英語【ジーニアス6】 Out of order
あれっ doesn't work じゃないんだ~!?
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