桃太郎の話

地元で発行されている新聞に元小学校の先生をしていた
渡辺貞之さんが「桃太郎の話」を投稿していましたので
転載します。
「昔あるところにおじいさんとおばあさんがいました。ある日おじいさんは
山に芝刈りに・・・」
「先生芝刈りってなあに」
「芝っていうのは、枯れ草や木の枝のこと」
「ふーん、そんなもん、何に使うんかな」
「今は石油ストーブだけど、昔は木を燃やしてたんだ」
「へー」
「それでおばあさんは川で洗濯していました」
「きったねー。川で洗濯なんかしたってきれいにならんべさ」
「昔は川の水きれいだったんだよ」
「だけど水道の水の方がきれいだよ」
「そうか分かった。貧乏で洗濯機買えなかったんだ」
「だけどリサイクルショップに行けば安く買えるべさ」
「ジャパネットで買えば月ずき払いで買えるよ」
「そんなことでなくてつまり昔は洗濯機もなくてみんな川で洗ったの」
「へー、変なの」
「それでさ。おばあさんが洗濯していると、川の上の方から、ドンブラゴッコ、ドンブラコと・・・」
「せんせ、川の上って、空からのこと」
「いや、川の上ってのは、水の流れてくる方のこと」
「なんで水が流れてくる方が上なの」
「水は上の方から下の方に流れるだろ。だから川の上の方って言うんだ」
「そうかぁ・・・」
「それでドンブラコッコ、ドンブラコッコって大きな桃が流れてきました」
「変な音、なんで、ドンブラコッコって音がするんだろう」
「何でももが流れてきたんだ・・・?」
「だれか、投げたんだぞ、きっと」
「だれが・・・」
「落としたんでなくて桃の木からころげ落ちたかもしれん」
「何いってんだ。北海道で桃の木はならんぞ」
「どうしてよ」
「寒いからよ」
「どうして寒いとならんのよ」
「お前らいい加減にしろーこれじゃさっぱり話が進まんぞー」
もう桃太郎の話とか浦島太郎の話は、私たちの話し方では通じなくなってきたようです。
考えてみれば私たちが聞いてきた話も、時代とともに少しずつ変わってきたのでしょう。
それにしても時代は物凄い勢いで変化しています。
とてもそれに追いつく桃太郎の話はできなくなりました。
渡辺貞之さん~深川市児童福祉審議会会長
深川市駅前アートホール東州館館長