公務員は人の金で飲食するな
「週刊文春」に、東北新社に勤める菅首相の長男らに接待を受けていたことをスクープされた総務省の秋本局長らは「放送業界の話が出た記憶はない」とごまかしてきた。
しかし、文春の音声データが公開されると一転「今となっては発言があったのだろうと受け止めている」と、結局最初の答弁は虚偽だったことを認めた。
タクシー代やお土産付きで何万円もの接待受けておきながら、「記憶にない」「話の内容も覚えてない」。これがわが国の高級官僚といわれる人達の答弁である。
またNHKに圧力かけたとも言われている山田真貴子内閣広報官、ダントツの7万円を超える会食をしながら、これまた「記憶にありません」という。
菅首相の長男は首相が総務相時代に政務秘書官に起用され、その後、総務省が主管する放送関連業界に転じた。秋本局長らが接待の席に誘われて断れなかった事情はわからないでもない。
しかし、なぜこのような虚偽答弁を続けたのか、権力中枢に長く座る首相への忖度か、国会を甘く見ているのか、いずれにしても許されない行為である。
総務省は24日、倫理規程に違反した谷脇康彦、吉田真人両総務審議官ら7人を懲戒処分の減給にするなど11人の処分を発表した。武田総務大臣は閣僚給与3か月分を自主返納した。
国家公務員倫理規程では利害関係者から金銭や物品の贈与を受けた場合は免職や停職もあり得るとしているが、タクシーチケットや手土産を受け取っも減給にとどまっている。
このように国民の感覚からかけ離れた接待を受け、世間の一般常識では考えられない処分では、放送行政がゆがめられた疑惑は解消されず批判は収まりそうにない。
それは「ノーパンしゃぶしゃぶ」という銀行と大蔵省の癒着問題があった。大蔵省の官僚が逮捕され、大蔵大臣や日銀総裁まで辞任することになったのを知っているからだ。
また、1回7万4千円分の接待を受けた山田真貴子内閣広報官の処分が加藤官房長官から1か月分の給与6割を自主返納し3か月給与の2割カットすると発表された。
一方「東北新社」は役職員の行動に起因して重大な事態を招いたとし、極めて重く受け止めお詫びするとコメントし関係者の処分に関し厳正に対処すると発表した。
さて菅総理は先日謝罪したことで済まされるのか、今後の国会での議論を見極めたい。
国会は国権の最高機関です。政府側が正しい情報を示して議員の質問には真摯に答えなければならない義務がある。平気で虚偽答弁は決して許すことができない。