福博近代史の「生き証人」的建造物の解体に思う。

　東福岡高校の本館が先日から解体され、またひとつ歴史的建造物が姿を消した。
昭和５年、福岡商業の校舎として建設された建物は、同校が現在地（福岡市南区
野多目）へ移転した跡へ東福岡高校が入居していたもの。校舎は席田飛行場（現
福岡空港）建設を急ぐ軍が、地権者である農民を呼び出し強制的に用地取得調印
を行った建物。それから僅か１週間で飛行場用地の地主たちは追い出された。

　戦前からの近代建造物の少ない福岡市。同校舎から巣立った福博の商業人は多
く、中牟田家（岩田屋）や田中丸家（玉屋）など商業界を牽引した方々の多くが
ここを巣だち、商都博多の躍進を支えた。福商（福翔）の校舎のままであれば、
ひょっとしたら部分保存などの運動も起きたかもしれないが、残念である。

　ヨドバシカメラのポイントが貯まると、いつも映画のDVDをポイントで買う。
今回は田中絹代生誕１００年キャンペーン中だったので、木下恵介監督「陸軍」
「楢山節考」の２枚をポイントで買った。火野葦平原作「陸軍」は、昭和19年
博多ロケ。戦災で消失する前の、情緒あふれる博多の町並みが、クライマックス
の出征行進シーン（城内の師団から旧博多駅まで）を中心に、鮮明な映像で記録
されている。

　大通りだけでなく、路地裏や当時の町家の雰囲気もよく描かれ、話の筋以上に
魅入ってしまった。なにせずっと未DVD化だった作品で、今回が初DVD化。福岡
市総合図書館のライブラリー公開時しか観ることができなかった作品である。買
うなら今は2,800円でお買い得だ。

　冷泉公民館に保管されていた昭和35年の「第３回冷泉体育祭」と、昭和42年
に行われた冷泉地区や博多駅界隈のウォーキング大会の模様を納めた「あるけ
あるけ」、同年の交通安全教室の様子を納めた８ミリ３本がA-HAプロジェクト
によってDVDに変換され、DVDを借りて内容をチェックさせてもらった。予想以
上に映像の状態も良く、今後貴重な資料になりそう。まだ何本も８ミリがある
ので、計画的にDVD化をすることになりそうだ。

今日の写真は、25日の解体の様子。すでに白い玄関のみが遺った状態。
後方の茶色の建物は新校舎。


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