2006年11月18日、善通寺や丸亀での映画ロケ地巡りの後に
向かったのは、今回の旅の目的のひとつである鳥瞰図絵師・
前田虹映の「讃岐志度寺図絵」の肉筆絹本原画の確認である。
前田画伯の長男・稀(まれし)氏に情報をいただき、さぬき
市の担当者へ連絡後にさぬき市志度音楽ホールに求める原画
がある事が判って、現地へ向かった。
普段ホールが未使用の折は見学ができないとの事だったが、
この日はイベントがあっていたため、運良く中へ入ることが
できた。原画は瀬戸内海を一望できる展望ロビーの一角にあ
った。持参した印刷折本(昭和11年)と比較する。まさに求
める原画であった。しかも目立つ退色も剥落も少なく、状態
も思っていたより良好である。
虹映は昭和11年に初三郎から独立後、まず高松市に本拠を置
いた景勝宣伝社(のち福山市へ移転)の専属画家として活動
を始める。そのため、この時期は香川県の図が多く「観音寺
図絵」「善通寺図絵」「南国土佐博覧会」など四国関係の作
品が集中している。
志度寺を中心に当時の志度町の様子が詳細に描かれており、
やはり目をひくのか、ロビーに座った人が原画に近づいて見
入る方も多い。しかし残念なことに、この図絵の解説は無く
地元の方もどういう絵なのか知る術が無いのが実情である。
願わくば、前田虹映の作品であることや、彼が初三郎代理と
して実際に描いた「神奈川県観光図」が時価5~600万と
いう値がついている事などを伝えたい。本来は時価がどうと
かは不毛な事であるが、虹映という人物にスポットが当たれ
ばと思うばかりである。歴史史料としての価値、日本画の手
法を基礎から学んだ虹映ならではの濃淡やぼかし技法が存分
に活かされたこの図は必見である。
12月初旬、所用で名古屋を訪れ、虹映の長男・稀さんのお宅
を尋ねた。約3年ぶりの訪問で、今回は念願の墓参りもさせ
ていただいた。稀氏は熱海市教育委員会が最近発行した本の
表紙に虹映「熱海市鳥瞰図」が使われている事を教えてくれ
た。児童が見ても一目瞭然の郷土の絵地図は、70年近くが
経ってもその輝きを失っていない。
初三郎や虹映が描いた各地の都市は、その多くが戦災に合い
当時の面影を失っている。福岡市博物館にある虹映の「福岡
市」2種の原画は、保存状態も良く度々近代史や博多湾の企
画展に活用されている。もちろん博物館の名品図録にも師匠
である初三郎の作品「博多観光鳥瞰図」「博多湾鉄道」と一
緒に掲載されている。
その虹映の「尾道市鳥瞰図(昭和13年)」原画の所在が判り
そうである。2007年も作品や原画の掘り起こしの楽しみは
続く。
向かったのは、今回の旅の目的のひとつである鳥瞰図絵師・
前田虹映の「讃岐志度寺図絵」の肉筆絹本原画の確認である。
前田画伯の長男・稀(まれし)氏に情報をいただき、さぬき
市の担当者へ連絡後にさぬき市志度音楽ホールに求める原画
がある事が判って、現地へ向かった。
普段ホールが未使用の折は見学ができないとの事だったが、
この日はイベントがあっていたため、運良く中へ入ることが
できた。原画は瀬戸内海を一望できる展望ロビーの一角にあ
った。持参した印刷折本(昭和11年)と比較する。まさに求
める原画であった。しかも目立つ退色も剥落も少なく、状態
も思っていたより良好である。
虹映は昭和11年に初三郎から独立後、まず高松市に本拠を置
いた景勝宣伝社(のち福山市へ移転)の専属画家として活動
を始める。そのため、この時期は香川県の図が多く「観音寺
図絵」「善通寺図絵」「南国土佐博覧会」など四国関係の作
品が集中している。
志度寺を中心に当時の志度町の様子が詳細に描かれており、
やはり目をひくのか、ロビーに座った人が原画に近づいて見
入る方も多い。しかし残念なことに、この図絵の解説は無く
地元の方もどういう絵なのか知る術が無いのが実情である。
願わくば、前田虹映の作品であることや、彼が初三郎代理と
して実際に描いた「神奈川県観光図」が時価5~600万と
いう値がついている事などを伝えたい。本来は時価がどうと
かは不毛な事であるが、虹映という人物にスポットが当たれ
ばと思うばかりである。歴史史料としての価値、日本画の手
法を基礎から学んだ虹映ならではの濃淡やぼかし技法が存分
に活かされたこの図は必見である。
12月初旬、所用で名古屋を訪れ、虹映の長男・稀さんのお宅
を尋ねた。約3年ぶりの訪問で、今回は念願の墓参りもさせ
ていただいた。稀氏は熱海市教育委員会が最近発行した本の
表紙に虹映「熱海市鳥瞰図」が使われている事を教えてくれ
た。児童が見ても一目瞭然の郷土の絵地図は、70年近くが
経ってもその輝きを失っていない。
初三郎や虹映が描いた各地の都市は、その多くが戦災に合い
当時の面影を失っている。福岡市博物館にある虹映の「福岡
市」2種の原画は、保存状態も良く度々近代史や博多湾の企
画展に活用されている。もちろん博物館の名品図録にも師匠
である初三郎の作品「博多観光鳥瞰図」「博多湾鉄道」と一
緒に掲載されている。
その虹映の「尾道市鳥瞰図(昭和13年)」原画の所在が判り
そうである。2007年も作品や原画の掘り起こしの楽しみは
続く。