マリーのアトリエ

札幌時計台近くのハンドメイドショップ、マリヤ手芸店のスタッフブログです。

物語の中の手仕事~1

2009-04-30 09:34:39 | 物語の中の手仕事


エンマはエレガントな仕草でシャルルを魅惑した。新しいやり方で紙細工の
蝋燭の受け皿をこしらえたかと思えば、スカートのひだ飾りをつけ変えたりし
た。ごくありふれた料理を女中が作りそこねても、それにたいそうな名前を
つけると、シャルルは喜んできれいに食べた。
エンマはルーマンで女たちが懐中時計の鎖の先に飾りをつけているの
を見ると、さっそくそれと同じ飾りを買った。マントルピースの上に青ガラス
の大きな花瓶を二つ欲しがったかと思うと、次には象牙の裁縫箱と金メッキ
した銀の指抜きをほしがった。シャルルは、こういうしゃれた好みがぴんとこない
がゆえに、いっそう魅力を感じるのだった。
それらはシャルルの感覚の喜びや家庭での楽しみに何かをつけ加えた。
それらは彼の生活の狭苦しい小道に敷き詰めた黄金の砂のようなものだった。

                       フローベル「ボヴァリー夫人」より




            「VICTORIAN CRAFTS REVIVED」より

物語の中の手仕事~第1回目はフランスの小説「ボヴァリー夫人」
19世紀半ばの、ヴィクトリア朝時代のお話です

この時代の女性の使命は、「家を守ること」でした。
家を居心地よく、家族が快適に過ごせるよう采配を振るうのが主婦の役目。
家の中は、主婦のセンスの見せ所でした
今のように物が豊富な時代ではなくても、様々な工夫で
ささやかな喜びにあふれた、暖かい家庭を築いていたのでしょう。
でも、この小説の主人公エンマは、ささやかな幸せには満足できませんでした。


若く美しいエンマは、年上の開業医シャルルと結婚します。
上の文章は、シャルルとの新婚生活の様子です
美しく、センスの良いエンマにシャルルはベタ惚れですね
しかし、エンマは平凡な夫が物足りず、さらにセレブな生活に憧れて、
若い男性との情事と、借金のために身を破滅させてしまうのです
まあ、現代にもありがちな話ですね



               「THE STORY OF THE THIMBLE」」より

第1回目が不倫の古典小説っていうのもなんですが・・・(^^ゞ

調度「サジューのお裁縫箱」に載っていた、銀の指抜きや裁縫箱のことが
書かれていたので
この時代は、どんな上流階級の女性でも「お針上手」が良き妻の絶対条件。
裁縫道具は女性にとって大切なものでした
エンマが憧れた銀の指抜きは、セレブな女性の証しだったのかもしれませんね。



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物語の中の手仕事

2009-04-28 07:50:20 | 物語の中の手仕事
世の中、ゴールデンウィーク真っ只中ですね~
でも、マリーは毎年何も予定がないのよね
どこへ行っても混んでるし、長いお休みも取れないし
今年は新型インフルエンザも心配だから、
お家でのんびりしているのもいいんじゃないかしら
お休みの時こそ、普段は忙しくてできない読書や手仕事を
じっくりやってみてはいかが?

って訳で、前からやってみたかった企画なんだけど、
「物語の中に出てくる手仕事」といテーマをやってみます
マリーが読んだことのある本の中から、手芸や手仕事が出てくる場面を
紹介しますねでも、マリーの趣味ってちょっとマニアックなのよね

手芸が出てくる本で、日本でもとっても人気があるのって、
やっぱり「赤毛のアン」シリーズでしょう。パッチワークや編み物、
手作りのお菓子など、女の子の憧れがいっぱい出てきますものね
マリーも第一巻目の「赤毛のアン」は読みました。
でもちょっとマセた子供だったので、中学生になったら
「赤毛のアン」2巻目以降はフッ飛ばして、もう、世界文学全集を読んでたの
母が文学少女だったので、買ってくれたのよね。



緑の箱に入ったこれです。
主に19世紀~20世紀初頭の、欧米の文学作品を集めたシリーズです。
今もお持ちの方、いらっしゃるでしょうか?
ビニールのかかった箱に入って、本もハードカバーで立派なものでした
これで980円、時代を感じるな~今はもう売っていませんね

古典の文学作品だけど、けっこうメロドラマっぽい話も多くて、
今思うと中学生じゃ、よくわかっていなかった内容もあったかも・・・

でも、多くの作品の時代背景が、マリーの大好きな
19世紀後半のヴィクトリア朝時代なんです
スカートが広がった美しいドレスやボンネット、豪華な銀の食器や舞踏会
などが出てきて、マリーの憧れの世界だったの。

そう、まさに「サジューのお裁縫箱」の時代ですよ~
手の込んだレースや、貴婦人が午後のお茶と共に刺す刺しゅう、
暮らしを彩る美しいインテリアなどが物語の中に出てきて、
こういう部分を読むだけでも楽しかったように思います

今の若い女の子は、こんな古典文学なんて読まないのかな~
(マリーの時代も読んでる子は少なかったけど・・)
今は若い人向けの文学作品も、おもしろいのがたくさんあるしね
でも、写真の「ジェイン・エア」や「風と共に去りぬ」など、映画になった作品は
見たことあるかもしれませんね


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DMCのモチーフ集

2009-04-27 11:23:57 | 刺しゅう・レース編み

モチーフがたくさん載った洋書を、もう1種類紹介します
こちらはフランスの刺しゅうメーカーDMCの本です。

「POINT DE MARQUE Ⅰ~Ⅵ」 各1260円

題名の「POINT DE MARQUE」って、フランス語のクロスステッチの、
昔の言い方なんだそうです。
6種類あって、それぞれに、モチーフ、ボーダー柄、アルファベット、動物など、
たくさんの図案が載っています



アンティークのサンプラーをもとにしたと思われる、
クラシックなモチーフが素敵
オールカラーで、色合いの参考にもなります。
(色番号は載っていないので、自分で好きな色を選んでくださいね)
バインダー式になっているので、見開きが見やいです。

後ろの方にはDMCの歴史なども書かれていて、(フランス語ですが)
小型の本ながら、充実した内容になっています
ヨーロッパで限定発売された本なので、刺しゅうのお好きな方には
たまらないシリーズではないでしょうか


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クロスステッチモチーフの本

2009-04-26 10:18:39 | 刺しゅう・レース編み

クロスステッチのモチーフが、た~~っくさん載った洋書を
紹介します
「Repertoire des FRISES」(6300円)
FRISESの手帳っていう題名の本です。
FRISESって、壁紙や家具のボーダー柄のことなんですって。
題名どおり、ボーダー柄やコーナー柄、センターのモチーフなどが、
1100種類も載っている、大容量の内容です
箱に入っていて、中身は・・



2色刷りの分厚い図案集と、大判の方眼紙に図案が載っているものが
6枚ついています



方眼紙の方は大きいので見やすいし、
なんか、付録が付いているみたいで楽しいですね
裏は白紙の方眼紙になっていて、自分で図案を書いて使えるすぐれもの



マリーが作った麻布のトートバッグも、この本の図案を参考にしました
本当にたくさんのモチーフが載っていて、選ぶのに迷ってしまうほどです。
マリーも図案を決めるのに、30分くらいこの本を眺めていました
クロスステッチだけでなく、ビーズ織りなどにも使えそうです
様々なジャンルのデザインの参考にもなると思いますよ。


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今月のマリー~7

2009-04-25 03:47:28 | クラフト全般

今月のマリーは、鮮やかな赤と青の衣装で、
チロルの女の子風に
調度、麻布のミニバッグも赤と青だったのでバックにおいてみました



チロリアンテープをスカーフに見立ててます
チロリアンテープって可愛いですよね。
チロルの民族衣装に使われてるものが、もとになってるのでしょう。
すっかり日本の手芸アイテムとしておなじみですね



若い女の子のお洋服でも、チロリアンテープを使ったフォークロア調のチュニック
とかが流行っているみたい。
若い女の子じゃないけど、マリーも好きです
クロステッチ図案にも、フォークロアの可愛いものがたくさんあるので、
また、みなさんにもご紹介しますね


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