ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

寺山ダム

2016-12-17 14:40:00 | 栃木県
2015年10月31日 寺山ダム
2016年12月11日 
 
寺山ダムは栃木県矢板市長井の那珂川水系内川右支流宮川上流部にある栃木県県土整備部が管理する多目的ロックフィルダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、宮川および内川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、矢板市への上水道用水の供給を目的としています。
また2013年(平成25年)には河川維持放流を利用した日本工営傘下の工営エナジー寺山ダム発電所が稼働し、最大190キロワットの小水力発電を行っています。
この発電施設は20年後の2033年に栃木県に無償譲渡される契約です。
 
県道272号を県民の森方面に進むと左手に寺山ダムが見えてきます。
 
左岸の横越流式洪水吐
右手は管理事務所(2016年12月11日)。
 
洪水吐導流部
背の高い導流壁が特徴(2016年12月11日)。
 
天端からの眺め
左手の施設は放流設備で、緑色の建屋は2013年(平成25年)に稼働を始めた工営エナジー寺山ダム発電所です。
(2016年12月11日)。
 
洪水吐横の斜樋。
 
総貯水容量255万立米のダム湖
上流には県民の森が広がり、天気が良ければ高原山の姿も見えるのですが・・・
(2016年12月11日)。

この浮島は水質保全のための循環装置。
 
天端は歩行者のみ開放(2016年12月11日)。
 
下流面(2016年12月11日)。
 
背の高い独特なデザインの導流壁(2016年12月11日)。
 
上流面
管理事務所の左手に斜樋があります(2016年12月11日)。
 
追記
寺山ダムには165万5000立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに最大34万6000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0574 寺山ダム(0030)
栃木県矢板市長井
那珂川水系宮川
FNW
62.2メートル
260メートル
2550㎥/2155㎥
栃木県県土整備部
1984年
◎治水協定が締結されたダム

塩原ダム

2016-12-16 15:50:00 | 栃木県
2015年10月31日 塩原ダム
2016年12月11日 
 
塩原ダムは栃木県那須塩原市関谷の那珂川水系箒川上流部にある栃木県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、箒川および那珂川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、塩那台地地区1452ヘクタールへの灌漑用水の供給を目的として1978年(昭和53年)に竣工しました。
さらに2015年(平成27年)には河川維持放流を利用した日本工営傘下の工営エナジー塩原ダム発電所が稼働し、最大195キロワットの小水力発電を行っています。
なお、箒川には塩原ダムを跨ぐ形で東京電力箒川ダムと箒川発電所があり、通常は東京電力の発電用水は塩原ダムをバイパスする形で放流されています。しかし箒川ダムには洪水調節能力はないため、洪水時には同ダムは全門開放し塩原ダムが洪水調節を行います。
 
下図参照(塩原ダムパンフレットより)
 
 
県道30号から箒川沿いを遡上すれば塩原ダムに到着します。
観光名所の『もみじ谷大吊橋』がダム湖に架かっており、祝日などはダムサイトは吊橋を渡ってきた観光客で賑わうそうです。
右岸から(2016年12月11日)。
 
天端は途中から通行止め。
 
天端から。
紅葉の見ごろでなかなかの眺め、吊橋は残念ながら管理用で通行できません。
 
2度目の訪問時は東京電力箒川発電所が停止中で、箒川ダムの取水が行われていなかったことから、塩原ダムで河川維持用のバルブ放流が行われていました。
(2016年12月11日)。
 
インクラインとダム湖(2016年12月11日)。

下流からのビューポイントはなくゲートが見えるのは上流からのみ
クレストはラジアルゲートが1門
ラジアルゲートを挟んでコンジットの予備ゲートが2門あります。

ダムカードがバージョンアップされたので再訪しましたが、見学ポイントが乏しい塩原ダムです。
もりみず旬間の見学会ではダム下も解放されるそうなので、機会があれば参加してみたいと思います。

(追記)塩原ダムには576万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに最大147万8000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。

0570 塩原ダム(0031)
栃木県那須塩原市関谷
那珂川水系箒川
FNA
60メートル
240メートル
8760㎥/5760㎥
栃木県県土整備部
1978年
◎治水協定が締結されたダム

箒川ダム

2016-12-15 18:27:24 | 栃木県
2016年12月11日 箒川ダム
 
箒川ダムは栃木県那須塩原市の那珂川水系箒川にある東京電力の発電用重力式コンクリートダムで、1943年(昭和18年)に日本発送電傘下の関東配電によって建設され、戦後の電力分割民営化により東京電力が事業を継承しました。
ここで取水された水は導水路で箒川発電所に送られ最大4800キロワットの発電を行っています。
箒川ダムの堤高は11.1メートルで河川法上のダムではありませんが、ダム便覧に参考掲載されているため今回訪問しました。
なお2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により箒川ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
塩原温泉から国道400号を東進すると右手に箒川ダムへ通じる遊歩道の標識と駐車場があります。
 
駐車場に車を置いて歩くこと2~3分、箒川ダムに到着します。
 
ダムへは立ち入り禁止。
こちらは沈砂池。
 
ダムをまたぐ形で遊歩道が設置されています。
 
ダムの直上を歩けますが眺めはフェンス越し。
 
真上から沈砂池。
 
取水口のスクリーン。
 
ダムを真上から見ることができますが、すべてフェンス越しです。
訪問時は取水は行われていませんでした。
 
S004 箒川ダム(0733)
栃木県那須塩原市塩原
北緯度分秒,東経度分秒
那珂川水系箒川
11.1メートル
59.5メートル
㎥/㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1943年

湯西川ダム

2016-12-14 09:30:00 | 栃木県
2015年10月04日 湯西川ダム
2016年12月11日 
 
湯西川ダムは栃木県日光市西川の利根川水系湯西川にある多目的重力式コンクリートダムです。
利根川水系最大支流の鬼怒川は『鬼が怒る』という名が示すように、有史以来多数の洪水被害をもたらしその治水は長年にわたる課題となっていました。
鬼怒川水系では1956年(昭和31年)に五十里ダム、1966年(昭和41年)に川俣ダム、1983年(昭和58年)に川治ダムが完成し治水・利水能力は大きく向上しました。
これら3ダムに次いで1982年(昭和57年)に男鹿川の右支流湯西川に第4のダム建設事業が着手され2012年(平成24年)に完成したのが湯西川ダムです。
湯西川ダムは特定多目的ダム法により建設され国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、他の3ダムと国交省鬼怒川ダム統合管理事務所により総合的に管理され、鬼怒川の洪水調節を行うほか、河川流量と既得取水権への補給、灌漑用水、上水道、工業用水の供給を目的としています。
高度経済成長の終焉やバブル崩壊による水需要の伸び悩みから湯西川ダム建設に対する懐疑的な意見があったのも事実ですが、2015年(平成27年)9月の鬼怒川大水害により改めてダムの存在意義が確認されました。
 
五十里ダムから国道121号を北上、湯西川温泉方面に県道249号を左折すると湯西川ダムに到着します。
上流面
2度目の訪問はあいにくの吹雪・・・・
上流面にはサイフォン式選択取水設備。(2016年12月11日)。
 
 
下流面
堤頂部の襟が非常に高くなっています。(2016年12月11日)。
 
2012年に完成したばかりでコンクリートは真新しく真っ白。
クレスト自由越流頂4門、オリフィスローラーゲート1門、ジェットフローとゲート2門を装備。
 
同じアングルを
天気が違うと表情も全く異なります(2016年12月11日)。
 
クレストをズームアップ(2016年12月11日)。
 
洪水吐越流面(2016年12月11日)。
 
減勢工
左奥の整地はかつての湯西川発電所跡です(2016年12月11日)。
 
左岸の山留め
クレオパトラに見えるのは私だけ?(2016年12月11日)。
 
天端(2016年12月11日)。
 
右岸の洪水吐越流面。
  
追記
湯西川ダムには最大3000万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに777万6000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0584 湯西川ダム(0004)
栃木県日光市西川
利根川水系鬼怒川
FNAWI
119メートル
320メートル
75000㎥/72000㎥
国交省関東地方整備局
2012年
◎治水協定が締結されたダム

今市ダム

2016-12-13 09:00:50 | 栃木県
2016年12月11日 今市ダム
 
今市ダムは栃木県日光市の鬼怒川右支流砥川上流にある東京電力の発電用重力式コンクリートダムで、今市ダムを下部池、月山を挟んで北に位置する栗山ダムを上部池として今市発電所で最大出力105万キロワットの揚水式発電を行っています。
1973年(昭和48年)のオイルショックにより原油価格が高騰、水力発電が再評価されます。とくに火力発電や原発と連携が図れ余剰電力を有効に活用できる揚水発電に注目が集まり、電力各社は揚水発電の建設計画を推進しました。
東京電力は鬼怒川支流の砥川に着目、1979年(昭和54年)に着工、1998年(平成元年)に竣工したのが栗山ダムと今市ダムです。
なお2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により今市ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
今市市街から国道121号を北上、栗原交差点を左折して日光広域農道に入り原宿の十字路を右折して砥川沿いを北上すると今市ダムに到着します。
竣工記念石碑。
 
堤体中央にあるゲートビア
天端は車両通行可能です。
 
ダム湖(今市調整池)
正面の山が月山で、山の向こう側に栗山ダムがあります。
 
減勢工
河川維持放流が行われています。
 
右岸から天端とゲートビア
奥は管理事務所。
 
下流面。
 
上流面。
 
ダム湖北岸にある揚水式発電の放流口。
 
ダム湖上流から。
 
0579 今市ダム(0732)
栃木県日光市佐下部
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系砥川
75.5メートル
177メートル
㎥/㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1988年

小網ダム

2016-12-12 22:40:00 | 栃木県
2015年10月03日 小網ダム
2016年12月10日 
 
小網ダムは栃木県日光市藤原の利根川水系鬼怒川上流部にある栃木県企業局が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1950年(昭和25年)に建設省(現国交省)により五十里ダム建設事業が着手され、栃木県企業局は発電事業者としてこれに事業参加、五十里ダムと同じく1956年(昭和31年)に川治第一発電所が完成します。
五十里ダム建設に合わせて同ダム下流2キロ地点に栃木県企業局が建設を進めたのが小網ダムで、五十里ダムに遅れること2年、1958年(昭和34年)に竣工しました。
小網ダムは川治第一発電所の放流水を調整するための逆調整池としての機能を持つほか、ここで取水された水はさらに川治第二発電所に送られ最大2600キロワットのダム水路式発電が行われています。
2007年(平成19年)には河川維持放流を利用した小水力発電所である小網発電所が完成、ここでは最大130キロワットの発電を行っています。
 
鬼怒川温泉から国道121号を北上、三ツ岩トンネルを抜け県道21号を分けると左手に小網ダムが見えてきます。
左岸に3門のローラーゲート
右岸は自由越流頂になっています(2016年12月10日)。
 
左岸から(2016年12月10日)。
 
灯台の初点プレートのような銘板(2016年12月10日)。
 
戦前や昭和20年~30年代のダムでよくみられる円形のバルコニー(2016年12月10日)。
 
ダムの下流の鬼怒川(2016年12月10日)。
 
竜王峡遊歩道となっているため天端は通行可能。(2016年12月10日)。
 
初回訪問時は、平成27年9月豪雨の影響でかなり水が濁っていました。
 
下流面(2016年12月10日)。
 
小網ダムは記念すべき我が家のダム巡りのスタートとなったダムです。
初回訪問時はどこをどう見たらいいのかもわからず、手探り状態の見学でした。
2度目の訪問を機に写真の大半を差し替えました。
 
追記
小網ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに19万2000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0560 小網ダム(0001)
栃木県日光市藤原
利根川水系鬼怒川
23.5メートル
128メートル
627㎥/260㎥
栃木県企業局
1958年
◎治水協定が締結されたダム

土呂部ダム

2016-12-12 18:32:05 | 栃木県
2016年12月10日 土呂部ダム
 
土呂部ダムは栃木県日光市の鬼怒川左支流土呂部川にある東京電力の発電用重力式コンクリートダムで、1963年(昭和38年)に栗山発電所の調整池として建設されました。
上流の川俣ダムで取水された水は土呂部ダムを経由して栗山発電所に送られ最大4万2000キロワットの発電を行っています。なお2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により土呂部ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
黒部から土呂部の標識に従って県道を右折し、ヘアピンカーブを登り切ると左手に土呂部ダムが現れます。
ダムは立入禁止で県道からダム湖を挟んで遠望するのみです。
ダムの堤体とゲートが見えます。
 
ダムの全景。
 
円形の構造物は川俣ダムからの導水路吐口のようですが詳細は分かりません。。
 
県道側のこの部分はどうやら副堤のようです。
 
 
栗山発電所の水圧鉄管。
土呂部ダムから送られた水がこの水圧鉄管を下ります。
 
栗山発電所の水圧鉄管分岐。
2台の立軸フランシス水車を回転させ最大4万2000キロワットの発電を行います。
 
ちょうど土呂部ダムを訪問した時は激しい雪が舞い散り、写真の画質が粗くなってしまいました。
ダム周辺は照葉樹林が続き紅葉時には美しい景色が広がるようです。
再訪するならやはり紅葉の頃でしょうね。
 
0558 土呂部ダム(0731)
栃木県日光市土呂部
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系土呂部川
21.6メートル
56メートル
㎥/㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1963年

黒部ダム

2016-12-12 15:59:55 | 栃木県
2016年12月10日 黒部ダム
2018年  5月  6日
 
黒部ダムは栃木県日光市の鬼怒川にある東京電力の発電用重力式コンクリートダムで、1912年(大正元年)に鬼怒川水力発電によって下瀧発電所の取水ダムとして建設されました。
黒部ダムで取水された水は調整池である逆川ダムを経由して下瀧発電所に送られ当時国内最大規模の最大出力4万3000キロワットの発電を行っていました。
黒部ダムを含む下瀧発電所関連施設は日本発送電を経て戦後は東京電力が事業を継承、下瀧発電所は1963年(昭和38年)に再開発され鬼怒川発電所となり、発電能力は最大12万7000キロワットに増強されました。
黒部ダムは日本で最古の発電専用重力式コンクリートダムとされ、その歴史的、技術的価値から近代土木遺産に選定されています。
1989年(平成元年)にゲートを含む大規模な改修が行われましたが、現在も堤体導流面は竣工当時の布積み石張りが残っています。
2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により黒部ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
 
川治ダムから県道23号を西進、車庫前バス停で右手の旧道に入ると黒部ダムに到着します。
右岸から
ゲート部分は改修されましたが導流面は建設当時の姿を残しています。(2018年5月6日)
 
ゲートをズームアップ。
 
(2018年5月6日)
 
竣工当時の姿を残す布積み石張りの導流面。(2018年5月6日)
 
ダム直下を左岸の取水口から鬼怒川発電所に続く送水管が通っています。(2018年5月6日)
 
左岸から(2018年5月6日)
 
(2018年5月6日)
 
天端は県道23号旧道が通っています。
ゲートは改修されましたが支柱は石張り風の装飾で建設当時の姿に配慮したデザインとなっています。
(2018年5月6日)
 
左岸の取水口。(2018年5月6日)
 
上流から
一見アーチダムのようですが、型式は曲線重力式コンクリートダムとなっています。
 
県道23号青柳大橋から。
左右両岸に取水口がありそれぞれ別のラインで逆川ダムに送水されています。
 
右岸の改修記念碑
改修以前のゲートはラックオピニオンギアで上下されていました。
記念碑には当時のギアが展示されています。(2018年5月6日)
栃木県日光市黒部
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系鬼怒川
28.7メートル
150メートル
㎥/㎥
東京電力リニューアルパワー(株)
1912年
◎治水協定が締結されたダム

栗山ダム

2016-12-12 14:57:13 | 栃木県
2016年12月10日 栗山ダム
 
栗山ダムは栃木県日光市の鬼怒川右支流砥川源流部にある東京電力の発電用ロックフィルダムで、栗山ダムを上部池、月山を挟んで南に位置する今市ダムを下部池として今市発電所で最大出力105万キロワットの揚水式発電を行っています。
1973年(昭和48年)のオイルショックにより原油価格が高騰、水力発電が再評価されます。とくに火力発電や原発と連携が図れ余剰電力を有効に活用できる揚水発電に注目が集まり、電力各社は揚水発電の建設計画を推進しました。
東京電力は鬼怒川支流の砥川源流部に着目、1979年(昭和54年)に着工、1998年(平成元年)に竣工したのが栗山ダムと今市ダムです。
2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により栗山ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
 
川治ダムから県道23号を西進、日陰温泉で日陰牧場の標識に従って林道を左折、牧場を抜け夫婦山を巻くと栗山ダムが見えてきます。
林道から遠望。
 
堤体直下は芝生の公園になっており駐車場やトイレが設置されています。
 
堤体を見上げる。
 
駐車場から先は関係車両以外通行禁止のため、林道を約1キロ歩いてダムへと上がります。
天端は立ち入り禁止、対岸の山は夫婦山です。
 
上流面の色が変わり揚水発電による水位の変化量がわかります。
 
左岸の洪水吐。
奥の建物は今市発電所の発電用取水ゲート操作室です。
 
洪水吐導流部はトンネルで下流の砥川へと続きます。
 
ダム湖(栗山調整池)。
 
ダム湖上流から。
 
0578 栗山ダム(0729)
栃木県日光市小百
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系ネベ沢川
97.5メートル
370メートル
㎥/㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1988年

逆川ダム

2016-12-12 12:13:52 | 栃木県
2016年12月10日 逆川ダム
 
逆川ダムは栃木県日光市の利根川水系鬼怒川右支流逆川源流部にある東京電力の発電用アースダムで、1912年(大正元年)に鬼怒川水力発電によって下瀧発電所の調整池として建設されました。
鬼怒川の黒部ダムで取水された水が逆川ダムを経由して下瀧発電所に送られ当時国内最大規模の最大出力4万3000キロワットの発電を行っていました。
下瀧発電所関連施設は日本発送電を経て戦後は東京電力が事業を継承、下瀧発電所は1963年(昭和38年)に再開発され鬼怒川発電所となり、現在は最大出力12万7000キロワットを誇っています。
逆川ダムは山梨県の大野ダムに次いで日本で2番目に古い発電用アースダムです。またアースダムでは非常に珍しくコンクリートの心壁材を使用したコンクリートコア型アースダムとなっており、その歴史的、技術的価値から近代土木遺産に選定されています。
2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により逆川ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
 
県道23号で鬼怒川に架かる小網大橋を渡るとすぐに左折し林道に入ります。
トンネルを抜けるとゲートが現れここに車を止めます。
 
ゲートから林道を5キロ、約1時間歩くと逆川ダムに到着します。
下流面には多数の漏水計が設置されています。
 
天端は立ち入り禁止。
 
上流面はコンクリートで補強されています。
 
 
右岸の鬼怒川発電所への取水口。
 
左岸には黒部ダムからの2本の導水路吐口が2カ所あります。
こちらはその一つ。
 
早朝の訪問で、発電所がまだ稼働していなかったせいか導水路の吐口、取水口ともに水の流れは見られませんでした。
 
0555 逆川ダム(0728)
近代土木遺産
栃木県日光市鬼怒川温泉滝
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系逆川
18.2メートル
121.2メートル
㎥/㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1912年

中禅寺ダム(再)

2016-10-11 11:11:04 | 栃木県
2016年10月8日 中禅寺ダム(再)
 
中禅寺ダムは栃木県日光市中宮祠の利根川水系大谷川にある栃木県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
中禅寺湖から華厳の滝を下り日光市街を貫流して鬼怒川に合流する大谷川は、古くから水力電力に利用されこの電力を利用して日光は銅精錬やアルミ精錬の集積地となりました。
一方で豪雨のたびに流域に多大な洪水被害をもたらし、明治期から中禅寺湖の開発計画が模索されましたが中禅寺ダムが完成するのは戦後1959年(昭和34年)になってからでした。
その後洪水調節能力増強のためにバイパス放水路などを増設する再開発が行われ1998年(平成10年)に再開発が竣工しました。
 
中禅寺ダムは大谷川の洪水調節および中禅寺湖の水位調節、既得取水権への補給及び河川流量の維持による華厳の滝の落水の確保、中禅寺ダム下流にある古川日光発電(株)及び東京電力(株)の計10カ所の発電所への水の供給を目的としています。
また中禅寺ダムの堤高は6.4メートルでダムの要件を満たしていませんが、建設省(現国交省)の補助を受けた大谷川総合開発事業によって建設された補助多目的ダムであり、ダムの堤高に関わらず河川法上のダムとなりダム便覧にも正式掲載されています。
 
中禅寺ダムは中禅寺湖東端、東武バスターミナル先にあります。
上流から
左から取水制水門、中央が堰堤制水門、右が1998年(平成10年)の再開発で増設されたバイパス制水門となります。
堤体積わずか2000立米の小さなダムで中禅寺湖の有効貯水容量2280万立米を支えており、貯水効率は全ダムナンバー1の11400倍となります。
 
右岸から
奥の取水制水門から河川維持放流が行われています。
 
 
バイパス制水門
バイパス放水路のゲートです。
 
左岸から。
 
管理事務所。
 
◎追記
中禅寺ダム(再)には洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0561 中禅寺ダム(元)
栃木県日光市中宮祠
利根川水系大谷川
FNP
6.4メートル
25.1メートル
25100千㎥/22800千㎥
栃木県県土整備部
1959年
------------------
3111 中禅寺ダム(再)(0628)
栃木県日光市中宮祠
利根川水系大谷川
FNP
6.4メートル
25.1メートル
25100千㎥/22800千㎥
栃木県県土整備部
1998年再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム

深山ダム

2016-05-26 08:00:00 | 栃木県
2015年12月18日 深山ダム
2016年  5月25日
 
深山ダムは、左岸が栃木県那須塩原市板室、右岸が同市百村の一級河川那珂川本流最上流部にある栃木県農政部が管理するアスファルトフェイシングフィルダムです。
農林省(現農水省)による国営那須野ヶ原農業水利事業の中核施設として1976年(昭和51年)に竣工し、完成後、栃木県に移管されました。
那須野ヶ原土地改良区への灌漑用水の供給、大田原市・那須塩原市への上水道用水の供給、栃木県企業局板室発電所での最大1万6100キロワットのダム水路式発電、当ダムを下部調整池、沼原ダムを上部池として電源開発(株)沼原発電所での最大67万5000キロワットの純揚水式発電を目的としています。
 
板室温泉から深山ダムの標識に従って県道を北上すると深山ダムのダムサイトに到着します。 
例年12月中旬はダム周辺は雪化粧していてもおかしくないのですが、今年は暖冬のせいか雪が少なくノーマルタイヤでも無事到達することができました。
下流から見ると普通のロックフィルダムに見えます。
 
洪水吐。
 
ダムのサイズの割にブロックを並べただけの簡単な減勢工。
 
ダム上流側は遮水のためにアスファルトでコーティングされています。
 
ダム湖(深山湖)
雪が少ないとはいえ冬型の気圧配置で気温は2度、猛烈な風が吹き荒れていました。
 
 
昨年12月以来2度目の訪問です。
あいにくの曇天ですが緑が濃く冬景色とはかなり印象が違います。
冬は枯れ葉色だった下流面もすっかり緑色です。
 
 
アスファルトフェイシングフィルの上流面。
 
梅雨を控え水位が低くなっています。
 
板室発電所への取水設備。
 
追記
深山ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0568 深山ダム(0117)
左岸 栃木県那須塩原市板室
右岸       同市百村
那珂川水系那珂川
AWP
FA
75.5メートル
333.8メートル
25800千㎥/20900千㎥
栃木県農政部
1973年
◎治水協定が締結されたダム

渡良瀬遊水地ダム(一期)

2016-02-08 14:00:00 | 栃木県
2016年2月6日 渡良瀬遊水地ダム(一期)
 
渡良瀬遊水地は渡良瀬川と巴波川、思川の合流地点の栃木県・群馬県・茨城県・埼玉県の4県にまたがる日本最大の遊水地で国交省関東地方整備局利根川上流河川事務所が管理をしています。
1904年(明治37年)から事業がスタートし洪水対策が名目上の目的でしたが、実質的には足尾銅山からの鉱毒をここで沈殿して無害化することが目的でした。
しかし鉱毒事件からすでに100年以上経過し鉱毒は減少しており、現在では洪水調節を主目的としており利根川上流8ダムの一つとして他の7ダムと連携して利根川の洪水調節を行っています。
 
渡良瀬遊水地は第一~第三までの貯水池に分かれ、平時から池としての実体があるのは『谷中湖』と呼ばれる第一貯水池だけで第2、第3調整池は洪水時に渡良瀬川の水をここに貯留して利根川に流入する水を抑えます。
渡良瀬遊水地の位置図(国交省利根川上流河川事務所ホームページより)
 
第一排水門
遊水池最南端にあります。
 
第一排水門
自転車に乗る嫁さんと比べればゲートの大きさがわかるでしょう。
 
第一排水門から
左は谷田川
右は池内水路で貯水池に溜まった水を素早く排水するための水路です。
奥は渡良瀬貯水池機場で貯水池にたまった水をポンプで排水します。
 
渡良瀬貯水池機場。
 
越流堤
洪水時、渡良瀬川の水が貯水池に越流するよう回りよくも堤が低くなっています。
越流に耐えられるようアスファルトフェイシングされています。
 
囲ぎょう堤
周囲堤で囲まれた遊水地内部の可動部と調節池を区切る堤防です。
 
第一貯水池
コンクリート補強されています。
 
遊水地周辺では3か所でレンタサイクルが利用できます。
遊水池を一周するだけでも10キロ以上になるので今回は道の駅『きたかわべ』で自転車を借りて遊水地を移動しました。
 
0580 渡良瀬遊水地ダム(一期)(0225)
左岸 栃木県栃木市藤岡町・野木町
右岸 群馬県
利根川水系渡良瀬川        
FNW
FG
8.5メートル
9050メートル
26400千㎥/26400千㎥
国交省関東地方整備局
2002年

松田川ダム

2016-02-08 10:00:00 | 栃木県
2016年2月6日 松田川ダム
 
松田川ダムは栃木県足利市松田町の渡良瀬川左支流松田川源流部にある栃木県営の多目的重力式コンクリートダムです。
群馬県境にある仙人ヶ岳に源を発し足利市街を貫流して渡良瀬川に合流する松田川は豪雨のたびに流域に洪水被害をもたらしてきました。
そこで栃木県は松田川総合開発事業を策定、1995年(平成7年)に竣工したのが町田川ダムで、松田川の洪水調節に加えて、既得取水権への補給と河川流量の維持、足利市上水道への供給を目的としています。
松田ダムは仙人ヶ岳や赤雪山の登山口になっているほか、下流はレクリエーション広場、ダム湖畔にはキャンプ場が整備され市民や観光客の憩いの場となっています。
 
ダム直下から
クレストは自由越流式が4門
常用洪水吐のオリフィスゲートから放流しています。
 
下流は広く開放され洪水吐直下まで入ることができます。
 
独特の減勢工。
 
左岸の東屋から。
 
上流面
手前は取水設備です。
 
天端は立ち入り禁止。
 
ダムの銘碑は松葉仕様。
 
松田川ダムの管理人さんは非常に人柄がよく親切な方です。
登山の際は何度もお世話になりましたが、今回もダムについていろいろ楽しい話を伺うことができました。
 
追記
松田川ダムには70万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合に事前放流によりさらに110万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0581 松田川ダム(0224)
栃木県足利市松田町
利根川水系松田川
FNW
56メートル
228メートル
1900千㎥/1800千㎥
栃木県企業局
1995年
◎治水協定が締結されたダム

板室ダム

2015-12-21 10:00:00 | 栃木県
2015年12月18日 板室ダム
 
板室ダムは左岸が栃木県那須塩原市板室、右岸が同市百村の一級河川那珂川本流にある栃木県農政部が管理する発電・灌漑・上水目的の重力式コンクリートダムです。
1967年(昭和42年)に農林省(現農水省)による国営那須野ヶ原開拓建設事業が着手され、これに発電事業者として参加した栃木県企業局により1973年(昭和48年)に板室発電所(最大出力1万6100キロワット)が建設されました。
板室ダムは板室発電所の出力調整による水位変動を緩和するとともに、灌漑用水及び上水道用水の取水計画に合わせるための逆調整池として同年竣工しました。
なおダムカードおよび栃木県の資料ではダムの目的は『AWP』となっている一方、ダム便覧では『P』のみとなっています。
当ダムには上水道用水及び灌漑用水容量の配分はありませんが、灌漑用水及び上水の適正な取水を行うための調整池であるため目的は『AWP』とします。
 
板室ダムへ通じる道路は立ち入り禁止でダムを見学することはできません。
 
ダムカードは深山ダムの管理事務所でもらえます。
 
深山ダム の見学会は実施されていますが、板室ダムは駐車スペースの関係で実施できないようです。
 
(追記)
板室ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0568 板室ダム
栃木県那須塩原市板室
那珂川水系那珂川
AWP
16.8メートル
767メートル
260㎥/170㎥
栃木県農政部
1973年
◎治水協定が締結されたダム