ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

宿の沢ダム

2016-04-05 10:00:00 | 宮城県
2016年4月2日 宿の沢ダム
 
宿の沢ダムは宮城県栗原市の小山田川支流宿の沢にある灌漑用アースダムで、2003年(平成15年)に従来あった宿の沢溜池を宮城県の事業で改修、宿の沢ダムとして生まれ変わりました。
現在は小山田川沿岸土地改良区が管理を行っています。
化女沼から東北道に沿って走る県道59号を北上、小山田川にかかる天神橋手前を左折して西に進むと宿の沢ダムが見えてきます。
 
洪水吐をズームアップ
上の建物は管理事務所、洪水吐の右岸(写真左)は利水放流設備?
 
ダム本体は立ち入り禁止。
 
上流面はロックフィル。
 
管理事務所と斜樋。
 
貯水池。
 
改修の際に取り換えられた樋管の部品が展示されています。
 
追記
宿の沢ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たな洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0312 宿の沢ダム(0285)
宮城県栗原市高清水
北上川水系小山田川
26メートル
227.7メートル
1210千㎥/1170千㎥
小山田川沿岸土地改良区
2003年
◎治水協定が締結されたダム

化女沼ダム

2016-04-05 09:00:00 | 宮城県
2016年4月2日 化女沼ダム
 
化女沼(けじょぬま)ダムは宮城県大崎市の北上川水系長者川にある治水目的のアースフィルダムです。
北上川水系江合川の支流田尻川は大崎市を東西に横断しますが、下流部では流下能力が小さため豪雨のたびに洪水被害をもたしてきました。
宮城県は田尻川の河川改修を進めると同時に田尻川の左支流長者川の水源である自然湖の化女沼のダム化事業に着手、1995年(平成7年)に化女沼ダムが竣工しました。
化女沼ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、田尻川水系の洪水調節、化女沼を水源としていた既得取水権への補給及び安定した河川流量の維持を目的としています。
一方化女沼ダムのダム化に合わせてダム公園としての整備も進め、ダム湖となった化女沼は2008年(平成20年)にラムサール条約の登録湿地となりました。
 
化女沼ダム左岸に管理事務所があり駐車場が設置されています。
左岸の洪水吐はゲートレスですが複雑な形状です。
 
洪水吐上流側に取水設備があります。
奥の建物は管理事務所で1階は資料室、2階は展望室ですが、今回は開館前ということで入館できませんでした。
 
化女沼の由来となった『照夜姫』の銅像。
 
下流は長者川
左は利水放流設備。
 
天端は車両通行禁止。
 
ダム湖の化女沼
ラムサール条約に登録されており、多くの野鳥が観察できます。
 
堤体上流面はロックフィル。
 
堤体下流面
ダム下は運動公園になっています。
 
洪水吐を上流から
管理事務所からインクラインが伸びています。
 
 
ダムに隣接して廃業した化女沼レジャーランドの廃墟が残っています。
廃墟マニアには有名なスポットのようです。
 
追記
化女沼ダムには218万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに70万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0305 化女沼ダム(0284)
左岸 宮城県大崎市古川小野達沢
右岸       古川川熊
北上川水系長者川
FN
24メートル
260メートル
3020千㎥/2880千㎥
宮城県土木部
1995年
◎治水協定が締結されたダム

相川ダム

2016-04-04 14:00:00 | 宮城県
2016年4月1日 相川ダム
 
相川ダムは左岸が宮城県登米市東和町錦織、右岸が岩手県一関市藤沢町黄海の北上川水系相川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
岩手県最南端に位置する旧藤沢町は気候は温暖ながら標高100~500メートルの波状丘陵が続き、耕地は分散し農業の大半は零細経営を余儀なくされていました。
1982年(昭和57年)に農水省による国営農地開発事業藤沢地区が着手され、その灌漑用水源として1996年(平成8年)に相川ダムが、1998年(平成10年)に千松ダムが竣工しました。
事業全体も1998年に竣工し、約450ヘクタールの新規農地が開拓されるとともに既耕地約40ヘクタールの区画整理が進められました。
両ダムとも運用開始後は藤沢土地改良区が管理を受託しています。
ダムは宮城・岩手県境をまたいでおり、左岸が宮城県登米市にあるためダム便覧の分類では宮城県のダムとなっていますが、実際には岩手県一関市藤沢町を受益地とした岩手県のダムとなっています。
 
国道456号から東磐井広域農道に入り相川ダムの標識に従って左に折れ市道を南下すると合川ダム左岸に到着します。
ダム本体は立入禁止になっており手摺越しに眺めるのみとなります。
左岸の洪水吐。
 
 
洪水吐を渡る橋から先が立入禁止。
天端は管理事務所の先にあります。
 
堤体上流面。
 
右岸に斜樋とインクラインが見えます。
 
下流に下りてみると洪水吐しか見えません。
相川ダムは牧尾ダムや四時ダムと同じく堤体と洪水吐が離れた構造になっておりロックフィルの堤体を見ることができません。
 
さらに下流から
左上の建物は揚水機場。
 
追記
相川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たな洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0272 相川ダム(0280)
左岸 宮城県登米市東和町錦織
右岸 岩手県一関市藤沢町黄海
北上川水系相川
40.3メートル
168メートル
1770千㎥/1600千㎥
藤沢土地改良区
1996年
◎治水協定が締結されたダム

払川ダム

2016-04-04 11:00:00 | 宮城県
2016年4月1日 払川ダム
 
払川ダムは宮城県本吉郡南三陸町歌津払川の伊里前川にある宮城県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の小規模ダム事業補助事業である生活貯水池事業を活用して建設された補助多目的ダムで、伊里前川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、北三陸町旧歌津地区へ上水道用水の供給を目的としています。
建設事業終盤に東日本大震災が発生したものの、ダム本体に大きな毀損はなく2012年’(平成23年)に無事竣工しました。
 
歌津から県道236号払川町向線を西進すると払川ダムに到着します。
ダムのすぐ前面に県道の田束大橋の高架橋がありダムと正対できます。
ダムは最近の自治体ダムではよくあるゲートレスの人面ダム。
 
堤体直下から
『あっかんべえ』をしている人の顔に見えます。
 
副ダム。
 
上流面。
手前に取水設備、奥は常用洪水吐。
 
天端。
 
減勢工
左は利水放流設備。
 
下流面。
 
追記
払川ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3158 払川ダム(0277)
宮城県本吉郡南三陸町歌津払川
伊里前川水系伊里前川
FNW
38.9メートル
94.5メートル
950千㎥/830千㎥
宮城県土木部
2012年
◎治水協定が締結されたダム

長沼ダム

2016-04-04 10:00:00 | 宮城県
2016年4月1日 長沼ダム
 
長沼ダムは宮城県登米市迫町にある多目的アースダムです。
迫川中下流域は宮城県有数の穀倉地帯ですが、もともとが湖沼地帯だったため豪雨のたびに迫川や北上川の洪水に悩まされてきました。
そこで宮城県は自然湖の長沼に着目、迫川の水位が上昇した際の遊水池とするため長沼をアースダム化しました。
2013年(平成25年)に完成した長沼ダムは自然湖のダム化としてはわが国最大規模の事業で、アースダムとしては総貯水量と湛水面積で日本2位となっています。
長沼ダムは迫川の洪水調節のほか、不特定利水、さらにダム湖でのボート競技を円滑に行うための全国で2か所しかないレクリエーション目的も持っています。
さらに長沼ダムはネーミングライツを採用しており、愛称の『パシフィックコンサルタンツ長沼ダム』が優先的に使用されています。
 
長沼水門
迫川が洪水をおこしたときは迫川の水をこの水門を通して長沼に導水し、水位が下がると迫川に戻します。
したがって一般のダムの洪水吐に当たるものではなく、堤防機能を持った水門となります。
 
天端は広い道路になっていますが車両は通行禁止。
 
ゲート。
 
4門のゲートを操作する機械室。
 
上流面はロックフィルになっています。
 
下流面。
 
長沼はもともとは自然湖です。
ダム湖はボート競技場として利用されるためダムの目的に『レクリエーション《R》』が含まれています。
 
迫川への導水路
洪水時にはこの導水路で迫川の水を長沼に導水、水位が下がると迫川に戻す仕組みです。
 
下流面
堤高15.3メートルで辛うじてダムの要件を満たしています。
 
長沼ダムは自然湖を活用した遊水池で、渡良瀬川遊水地や荒川の彩湖に似たシステムですが、盲腸線の導水路で迫川の水位調節をする点が特徴です。
 
追記
長沼ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0306 長沼ダム(0276)
左岸 宮城県登米市迫町新田
右岸         北方
北上川水系迫川
FNR
15.3メートル
1050メートル
31800千㎥/30600千㎥
宮城県土木部
2013年
◎治水協定が締結されたダム

惣の関第2ダム

2016-04-04 09:00:00 | 宮城県
2016年4月1日 惣の関第2ダム
 
惣の関第2ダムは宮城県宮城郡利府町の惣の関ダムのダム湖上流にある治水専用の重力式コンクリートダムです。
惣の関ダム着工に合わせて建設され惣の関ダムの貯砂ダムの役割を果たしています。
堤高が15メートルに満たないため河川法上のダムとは認められていませんが、ダム便覧に参考掲載されているので訪問してみました。
 
惣の関ダムから続く林道は通行禁止のため、上流のしらかし台から回り込んでアプローチしました。
 
天端。
 
上流面。
 
上流からの砂がここで食い止められています。
すぐ上は花園ニュータウンです。
 
堤体下部に穴が2つ見えます。
 
下流から
非常用洪水吐は自由越流式、常用洪水吐は自由調節式。
 
堤体下部に2つ穴があり通常はここを水が流れます。
いわゆる穴あきダムです。
 
S014 惣の関第2ダム(0275)
宮城県宮城郡利府町森郷
砂押川水系内の目沢川
14.9メートル
75メートル
123千㎥/96千㎥
宮城県土木部
1989年

惣の関ダム

2016-04-04 08:00:00 | 宮城県
2016年4月1日 惣の関ダム
 
惣の関ダムは宮城県宮城郡利府町森郷の二級河川砂押川水系勿来川にある宮城県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
砂押川は中小河川ですが『砂押』という名前が示すように洪水被害が多く、他方利府町は仙台のベッドタウンとして人口が急増し新たな水源確保が求められていました。
そこで宮城県は「砂押川総合開発事業」を採択、1999年に竣工したのが惣の関ダムダムです。
惣の関ダムは建設省(現子交渉)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、砂押川および勿来川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、利府町への上水道用水の救急を目的としています。
 
ダム下、ダムサイト両方に駐車場があります。
今回はダム下に車を止めました。
駐車場わきの水神様。
 
ダム下から
クレスト自由越流頂4門、自然調節式オリフィス1門を備えた小ぶりなゲートレスダム。
 
両岸にはがっつりした堤趾導流壁。
 
減勢工。
 
堤高はわずか23.5メートル。
 
堤体中央に取水設備があります。
 
天端親柱の惣の関ダムの銘版。
 
天端から見下ろす減勢工
左手は放流設備。
 
総貯水容量110万立米の貯水池
上流に第2惣の関ダムがあります。
 
天端は徒歩のみ開放
左岸に管理事務所、道路を挟んだ向かいには浄水場があります。
 
小さなダムですが、ダム湖のすぐ上流も宅地開発されており周辺は仙台のベッドタウンとして急発展している印象です。
 
追記
惣の関ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3006 惣の関ダム(0274)
宮城県宮城郡利府町森郷
砂押川水系勿来川
FNW
23.5メートル
115メートル
1100千㎥/990千㎥
宮城県土木部
1999年
◎治水協定が締結されたダム