ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

神岳ダム

2016-11-14 18:47:34 | 岐阜県
2016年11月12日 神岳ダム
 
神岳(かみがたけ)ダムは岐阜県揖斐郡揖斐川町坂内川上の木曽川水系揖斐川支流坂内川源流部にあるイビデン(株)が運用する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1935年(昭和15年)に川上発電所の取水ダムとして揖斐川電気(現イビデン)によって建設され、ここで取水された水は川上発電所に送られ最大4000キロワットのダム水路式発電を行います。
電力会社以外の民間企業が運営する珍しい水力発電設備です。
 
横山ダムから国道303号線を西進、川上から坂内川に沿って町道を北上すると神岳ダムに到着します。
クレストは自然越流型。
 
 
ダム周辺の紅葉はちょうど見ごろですが明暗差が大きくなかなかいい写真が撮れません。
 
減勢工。
 
天端は立ち入り禁止
高欄のデザインが特徴的。
 
上流から。
 
 
ダム湖周辺の紅葉はまさに見ごろ。
 
神岳ダムで取水された水が送られる川上発電所。
 
神岳ダムを運用するイビデンは我が家には非常に関わり深い企業です。
19世紀後半、化学企業から電子機器企業に変貌する際にイビデンに投資して大きなリターンを得ることができた大変相性のいい会社です。
そんなお世話になったイビデンの発電用ダムと発電所を訪問することができ灌漑深いものがありました。

(追記)
神岳ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1062 神岳ダム(0710)
岐阜県揖斐郡揖斐川町坂内川上
木曽川水系坂内川
20メートル
52メートル
215千㎥/150千㎥
イビデン(株)
1935年
◎治水協定が締結されたダム

徳山ダム

2016-11-14 18:17:06 | 岐阜県
2016年11月12日 徳山ダム 
 
徳山ダムは左岸が岐阜県揖斐郡揖斐川町徳山、右岸が同町開田の木曽川水系揖斐川最上流部にある水資源機構が管理する多目的ロックフィルダムです。
木曾三川の一つ揖斐川は古来より洪水被害が絶えず抜本的な洪水対策は流域住民の悲願でした。
1964年(昭和39年)に建設省により横山ダムが建設されますが、建設工事中の1959年(昭和34年)の伊勢湾台風で中部地方は壊滅的な被害を受け横山ダム上流に新たな洪水調節目的ダムの建設が計画されました。
一方急流が続く揖斐川は水力発電の適地であり揖斐川源流部に発電目的のダム建設の動きも浮上します。
これらの動きをまとめる形で1971年(昭和46年)に建設省により徳山ダム建設事業が発表され、1973年(昭和48年)に事業は水資源開発公団に移管、1976年(昭和51年)に『揖斐川総合開発事業』が正式に着手されました。
 
長期の補償交渉や高度成長の終えんによる水需要や電力需要の低下など環境の変化などもありダム建設を巡る動きは紆余曲折したものの、2000年(平成12年)から本体工事に着手、2008年(平成18年)に徳山ダムが竣工しました。
徳山ダムは横山ダムと連携しての揖斐川の洪水調節、既得取水権への補給と河川流量の維持、愛知県・岐阜県・名古屋市への上水道供給、中京工業地帯及び岐阜県下への工業用水の供給、中部電力徳山発電所での最大出力16万1900キロワットの発電を目的としています。
徳山ダムの総貯水容量66億㎥と堤体積1370万立米は日本一、堤高161メートルは日本第3位でロックフィルダムでは2位、多目的ダムとしては第1位と日本有数の巨大ロックフィルダムとなっており日本のダム100にも選定されています。
 
横山ダムから国道417号を北上、『境の尾一里石トンネル』を抜けると右手に巨大ロックが見えます。
 
洪水吐
クレストにラジアルゲートが4門、写真では見えませんが中央にオリフィスゲートが2門あります。
 
減勢工と中部電力徳山発電所。
当初計画では下流の東杉原に下部ダムを建設し揚水式発電を行う予定でしたが、電力需要見通しの低下により一般水力発電に事業が縮小されました。
 
天端は車両通行禁止
コンクリート打ちっぱなしの建屋が並びます。
ちょうど紅葉の盛りということで多くの観光客が訪れていました。
 
洪水吐
ここ数年で最低の水位になっています。
 
洪水吐導流部は巨大過ぎて見えません。
 
洪水吐の導流壁とダム湖(徳山湖)。
 
堤体中央の展望台。
このコンクリート構造物は??
 
発電所への取水設備。
 
徳山ダム周辺はちょうど紅葉の見ごろです。
 
下流面。
 
上流面
黒い石が精悍さを与えます。
 
日本有数の巨大ロックフィルダムですが、高瀬ダムのように下流から見上げることができなので高さを実感することができません。
また堤頂長は胆沢ダムや森吉山ダムの半分しかないので天端を歩いてもさほど大きく感じません。
やはり下流から見上げることができて初めて徳山ダムの巨大さを実感できるんだと思います。

(追記)
徳山ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。 

1130 徳山ダム(0709)
左岸 岐阜県揖斐郡揖斐川町徳山
右岸         同町開田
木曽川水系揖斐川
FNAWP
161メートル
427.1メートル
660000㎥/380400㎥
水資源機構
2007年
◎治水協定が締結されたダム

横山ダム(再)

2016-11-14 13:45:37 | 岐阜県
2016年11月12日 横山ダム(再)
 
横山ダム(再)は左岸が岐阜県揖斐郡揖斐川町東横山、右岸が同町西横山の一級河川木曽川水系揖斐川上流部にある国土交通省中部地方整備局が管理する多目的の中空重力式コンクリートダムです。
木曽三川の一つ、揖斐川は古来より氾濫を繰り返し抜本的な洪水対策が大きな課題となっていました。これを受け岐阜県は揖斐川上流の横山にダム建設を計画、その後『木曽川改定改修計画』の実施により事業は建設省のに移管され、1957年(昭和32年)に『揖斐川総合開発事業』としてダム建設が着手、1964年(昭和39年)に横山ダムが竣工しました。
ダムの型式はコンクリートが希少な時代の建設ということで日本では珍しい中空重力式コンクリートダムとなっています。
竣工当初は揖斐川の洪水調節、既得取水権の補給及び河川流量の維持、灌漑用水として農林省の西濃用水事業の水源、中部電力横山発電所での最大出力7万キロワットの発電を目的としていました。
ダム湖の堆砂の進行などを受け1990年(平成2年)から再開事業を着手しダム湖の排砂による有効貯水容量の増量、また上流に完成した徳山ダムに灌漑用水の水源を移管するとともに連携したダムの運用、選択取水設備の設置などが行われました。
その結果現在の横山ダムの目的は洪水調節と発電となっています。
 
国道303号を北上すると横山ダム左岸の管理支所に到着します。
管理支所前の駐車場から。
中空ダムらしく堤頂部には襟がなく堤頂からすぐに傾斜が始まります。
 
直下から。
 
減勢工
手前は発電所からの放流口。
訪問した直後に発電所が稼働し、放流が始まりました。
 
上流面
奥から3門のコンジットゲートの予備ゲート、クレストのラジアルゲート、2基の発電用選択取水設備が並びます。
傾斜が付き中空式らしい並び。
 
取水設備の手前には中空式でおなじみのタコ足スリット。
 
天端は歩行者のみ通行可。
かつては国道303号線が通っていましたが奥いび湖大橋が開通して今は車両通行禁止になっています。
 
ダム湖(奥いび湖)。
ダム湖に架かる斜張橋が国道303奥いび湖大橋です。
 
横山発電所と水圧鉄管。
 
天端から。
 
下流から。
 
上下流面ともに中空式の特徴がよくわかるダムです。
中空を利用してコンサートなどのイベントが行われるほか実写版『宇宙戦艦ヤマト』のロケ現場にもなったそうです。
平日限定ですが予約をすれば内部見学もできるようなのでぜひ再訪したいと思います。
 
(追記)
横山ダム(再)には洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

3059 横山ダム(元)
左岸 岐阜県揖斐郡揖斐川町東横山
右岸         同町西横山        
木曽川水系揖斐川
AFP
HG
80.8メートル
220メートル
43000㎥/30000㎥
1964年竣工
-----------------
3059 横山ダム(再)(0708)
左岸 岐阜県揖斐郡揖斐川町東横山
右岸         同町西横山  
木曽川水系揖斐川
FP
HG
80.8メートル
220メートル
40000㎥/30000㎥
国交省中部地方整備局
1964年竣工
2010年再開発
◎治水協定が締結されたダム

久瀬ダム

2016-11-14 12:15:06 | 岐阜県
2016年11月12日 久瀬ダム
 
久瀬ダムは左岸が岐阜県揖斐郡揖斐川町東津汲、右岸が同町西津汲の一級河川木曽川水系揖斐川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
日本発送電が分割され中部電力が創立された1951年(昭和26年)に着工され、1953年(昭和28年)に竣工しました。
ここで取水された水は久瀬発電所に送られ最大1万7000キロワットのダム水路式発電を行います。
 
国道303号を北上、久瀬トンネルを抜けると久瀬ダムに到着します。
東津汲交差点から右岸の旧道に入るとダムを正面から見ることができます。
中電レッドの4門のラジアルゲート。
 
午後、太陽の角度が変わってから再訪。
ダムの直下を国道304号久瀬大橋が通っています。
 
久瀬大橋から
ちょっと変わった減勢工。
 
午後再訪した時の写真。
 
ゲートをズームアップ。
 
減勢工をズームアップ。
 
右岸の取水口。
 
右岸から上流面
逆光で・・・。
 
左岸は排砂ゲートでしょうか?
よく見ると角落で水止めされています。
 
堤体は立ち入り禁止。

(追記)
久瀬ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 

1075 久瀬ダム(0707)
左岸 岐阜県揖斐郡揖斐川町東津汲
右岸         同町西津汲
木曽川水系揖斐川
34メートル
103.3メートル
4631千㎥/1002千㎥
中部電力(株)
1953年
◎治水協定が締結されたダム

西平ダム

2016-11-14 11:24:13 | 岐阜県
2016年11月12日 西平ダム
 
西平(にしだいら)ダムは左岸が岐阜県揖斐郡揖斐川町北方、右岸が同町三倉の一級河川木曽川水系揖斐川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1939年(昭和14年)に揖斐川電気化学(現イビデン)によって建設されましたが、完成直後に日本発送電に接収され、戦後の電気事業再編成により中部電力が事業を継承しました。
隣接する西平発電所で最大1万キロワットのダム式発電を行います。
 
揖斐川右岸の県道254号を北上すると上流に西平ダムが見えてきます。
クレストは6門のラジアルゲート、右岸に西平発電所があります。
 
午後、太陽の角度が変わってから再訪しました。
左岸2門のゲートの色だけ薄くなっています。
 
発電所に隣接して魚道があります。
魚の遡上時期だけ水を流しているそうです。
 
発電所と減勢工。
 
右岸から
ちょうど逆光・・・。
 
導流面と減勢工。
 
天端は立ち入り禁止。
 
右岸上流から
写真では写っていませんが一番右端に取水口があります。
 
 
早朝に訪問した時はちょうど逆光、午後再訪すると朝は入れた堤体直前までのスペースはゲートが閉められていました。

(追記)
西平ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1068 西平ダム(0706)
左岸 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方
右岸         同町三倉
木曽川水系揖斐川
31.5メートル
144.4メートル
4490千㎥/1222千㎥
中部電力(株)
1939年
◎治水協定が締結されたダム

高橋谷ダム

2016-11-14 11:14:10 | 岐阜県
2016年11月5日 高橋谷ダム
 
高橋谷ダムは岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合の一級河川木曽川水系揖斐川2次支流高橋谷川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
春日発電所の取水兼発電調整池として1919年(昭和8年)に建設され、中部配電による接収を経て戦後の電気事業再編成により中部電力が事業を継承しました。
1919年(大正8年)竣工は東海北陸地方では最古のコンクリートダム(堤高15メートル以上)となっています。
粕川上流にある取水堰で取水された水路が当ダムを経由して下流の春日発電所に送られ最大出力1800キロワットの発電を行っています。
 
揖斐川町中心部から粕川に沿って県道32号を西進、『かすがモリモリ村』入口手前を右折して高橋谷川に沿って隘路を北上するとすぐに高橋谷ダムが現れます。
コンクリート全面越流式ですが、1919年(昭和8年)竣工ということで完成当初は石張りだったようです。
 
天端
立入禁止です。
 
取水口。
 
ダム上流左岸にある施設。
 
同じ施設を川側から。
 
河原に下りてみます。
堆砂が進みダム湖の面影はありません。
 
上流から取水口を見ると。
この部分は建設当時のままのようです。
これを見ると堤体も建設当時は石張だったと推察されます。
 
1056 高橋谷ダム(0705)
岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合
木曽川水系高橋谷川
18.5メートル
67.5メートル
39千㎥/39千㎥
中部電力(株)
1919年

御母衣ダム

2016-11-08 18:28:44 | 岐阜県
2016年11月4日 御母衣ダム
 
御母衣で『みぼろ』と読みます。
御母衣ダムは岐阜県大野郡白川村の庄川本流上流部にある電源開発の発電用ロックフィルダムです。
豪雪地帯に加えて急流河川である庄川では戦前より電源開発が進み1930年(昭和5年)に小牧ダム、祖山ダムといった当時としては屈指の規模を誇るダムが建設されました。
1939年(昭和14年)に設立された日本発送電は庄川の水量を生かすため、庄川最上部に大容量貯水池を伴う巨大ダムの建設を目論み、戦後関西電力が計画を引き継ぎます。
ところが建設予定地の地質は脆弱で事業は困難が予想されるため事業主体は電源開発に移管され、1961年(昭和36年)に日本初の堤高100メートル強の巨大ロックフィルダムとして御母衣ダムが竣工しました。
御母衣ダムは奥只見ダム、田子倉ダムとともに電源開発の3大ダムとして『OTM3大ダム』と称されています。
ダム左岸地下に建設された御母衣発電所で最大出力21万5000キロワットの発電を行うほか、庄川下流にある関西電力の各発電所や砺波平野の灌漑用水の水源として重要な存在となっています。
 
白川郷から国道156号線を南下すると正面に御母衣ダムの巨大なロックフィルの堤体が姿を現します。
あいにくの逆光でちょっと見づらい写真となりました。
ダム下にあるのは開閉所で、発電所はダムの左岸(写真右手)地下にあります。
 
左岸ダムサイトから
洪水吐ゲートと取水塔
発電に使われた水はトンネル放流路で庄川をバイパスして約9キロ下流の鳩谷ダム湖に放流されます。
 
上流面。
 
左岸洪水吐。
越流部に切れ込みがありゲートが設置されています。
これはドラムゲートで、ゲートの下が空洞になっており水がたまると浮力でゲートが起動する仕組みです。
 
逆アングルから洪水吐と取水塔。
 
下流面
投石射水工法で建設された堤高131メートルのリップラップ。
 
直下には開閉所。
 
天端は中央まで通行可能
ダム周辺はちょうど紅葉の見ごろ。
 
ダム湖(御母衣湖)
総貯水容量3億7000万㎥が下流の発電のみならず砺波平野の農業も支えます。
 
御母衣電力館玄関先の水車。
 
紅葉に映えるMIBOROダムサイドパーク御母衣電力館。
 

(追記)
御母衣ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1095 御母衣ダム(0685)
左岸 岐阜県大野郡白川村牧
右岸        同村長瀬
庄川水系庄川
131メートル
405メートル
370000㎥/330000㎥
電源開発(株)
1961年
◎治水協定が締結されたダム

阿多岐ダム

2016-11-08 13:15:55 | 岐阜県
2016年11月3日 阿多岐ダム
 
阿多岐ダムは岐阜県郡上市白鳥町阿多岐の一級河川木曽川水系長良川2次支流阿多岐川にある岐阜県県土整備部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
阿多岐川及び牛道川の洪水調節と既得取水権への補給と河川流量の維持を目的として1987年(昭和62年)に建設されました。
さらに2015年(平成27年)に河川維持放流を利用して中部電力阿多岐発電所が新設され最大190キロワットの小水力発電を行っています。
 
東海北陸道白鳥インターから県道82号を東進、道の駅『白鳥ふれあいパーク』の先で阿多岐ダムの標識に従って県道316号を左折すると阿多岐ダムに到着します。
まずは堤体直下へ。手前は中部電力阿多岐発電所です。
 
クレストは自由越流式
オリフィスから放流されています。
 
県道から。
 
 
左は利水放流設備
右は中部電力阿多岐発電所。
 
減勢工に並ぶブロック。
 
上流から
右から取水設備、2門のオリフィスゲート
 
ダムサイトのモニュメント。
 
落石の恐れありということでダムへの道は通行禁止になっています。
岐阜県の県営ダムは総じて広く開放されているので、本当に落石が危険なんでしょう。

(追記)
阿多岐ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1128 阿多岐ダム(0684)
岐阜県郡上市白鳥町阿多岐
木曽川水系阿多岐川
FN
71.4メートル
200メートル
2550千㎥/2050千㎥
岐阜県県土整備部
1987年
◎治水協定が締結されたダム

細尾谷ダム

2016-11-08 12:52:53 | 岐阜県
2016年11月3日 細尾谷ダム
 
細尾谷(ほそびだに)ダムは岐阜県加茂郡七宗町上麻生の木曽川水系飛騨川右支流細尾谷にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
水量が豊富で急流が続く飛騨川水系は戦前から電力開発が進み、飛騨川上流部は日本電力が、中下流部は東邦電力により発電事業が進められました。
細尾谷ダムは1926年(大正15年)に上麻生発電所の調整池として東邦電力系列の岐阜電力によって建設されました。
稼働直後に岐阜電力は東邦電力に吸収され、その後の日本発送電の接収を経て1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により中部電力が事業継承しています。
上麻生堰堤で取水された水は細尾谷ダムを経て上麻生発電所に送られ最大2万7000キロワットの発電を行っています。
 
美濃加茂から国道41号を北上、七宗町の川並交差点で飛騨川右岸にわたりそのまま上流に向かうと民家の先に細尾谷ダムが見えてきます。
ダムの直下には高山本線が走っています。
 
堤体はコンクリート製
中央の穴は排砂用で排砂口から下は石貼りになっています。
 
 
 
排砂口の下から減勢工にかけて石貼りになっています。
本来は堤体全体が石貼りだったのか?それとも排砂に備えてこの部分だけが石貼りだったのか?
 
クレストは全面越流式で右岸から中央まで管理橋が伸びています。
管理橋中央は排砂ゲートの操作機器になっています。
 
上流から。
 
上麻生発電所への取水口。
 
左岸側の越流面。
 
上流から。
 
1060 細尾谷ダム(0683)
岐阜県加茂郡七宗町上麻生
木曽川水系飛騨川右支流細尾谷
22.4メートル
59.1メートル
71千㎥/17千㎥
中部電力(株)
1926年

上飯田調整池

2016-11-08 10:48:42 | 岐阜県
2016年11月3日 上飯田調整池
 
上飯田調整池は岐阜県加茂郡八百津町上飯田にある水資源機構が管理する上水・工水目的のアースフィルダムです。
木曽川用水上流部事業は、木曽川水系馬瀬川に1976年(昭和51年)に建設された岩屋ダムを水源とし、中部電力(株)上麻生堰堤を利用した白川取水口から岐阜県南部一帯の木曽川右岸地区に対し、農業用水、水道用水、工業用水を供給するもので、1969年(昭和44年)に着工され、1983年(昭和58年)に竣工しました。 
上飯田調整池は1975年(昭和50年)に竣工し、蜂屋調整池とともに木曽川用水の取水管理の安定と水利用合理化を目的に建設されました。
 
木曽川用水上流部事業の概略図
 
 
川辺から国道418号を東進すると左手に上飯田調整池が見えてきます。
いわゆる水資源機構のイメージとは異なる小さなアースダムです。
 
左岸から。
 
天端も含めて堤体は立ち入り禁止。
 
上流面はコンクリートで補強。
 
左岸の小さな洪水吐
越流部は石貼りになっています。
 
溜池程度の小さなダム湖です。
 
左岸の取水設備。
 
 
3227 上飯田調整池(0682)
岐阜県加茂郡八百津町上飯田
木曽川水系木曽川用水
AW
 
16.1メートル
78.1メートル
70千㎥/50千㎥
水資源機構
1975年

川辺ダム

2016-11-08 09:17:08 | 岐阜県
2016年11月3日 川辺ダム
 
川辺ダムは左岸が岐阜県美濃加茂市下米田町東栃井、右岸が賀茂郡川辺町西栃井の一級河川木曽川水系飛騨川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
水量豊富で急流が多い飛騨川では大正期より電源開発が本格化し、主として上流部では日本電力(株)、下流部では東邦電力(株)により電源開発がすすめられました。
川辺ダムは1936年(昭和11年)に東邦電力により建設されましたが、完成直後に電力国家管理法を受け日本発送電により接収、戦後の電気事業再編成により中部電力が事業を継承しました。
川辺ダムで取水された水は川辺発電所に送られ最大3万キロワットのダム水路式発電を行います。
 
今回は県道64号を北上して左岸からアプローチしました。
 
ガードが厳しい中部電力ですが、川辺ダムは両岸住民の生活通路として天端が開放されています。
 
ダム湖(飛水湖)
川辺漕艇場として協会公認のボートコースになっています。
 
下流の眺め
右岸発電所側は自然の岩盤を利用して厚めの護岸が施されています。
 
発電所取水口。
 
右岸には舟筏路と魚道があります。
魚道には水は流れておらず機能していないようです。
 
沈砂池と取水ゲート。
 
下流から
12門のローラーゲートが並びます。
第1門だけゲートがグレーです。
今回は第6門が改修中でした。
 
右岸(向かって左)は舟筏路と魚道
魚道には水はなく機能していません。
 
ゲートビアはアーチ型の鉄骨トラスになっています。
同年に竣工した上流の名倉ダムとよく似た構造です。

(追記)
川辺ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1064 川辺ダム(0681)
左岸 岐阜県美濃加茂市下米田町東栃井
右岸 岐阜県加茂郡川辺町西栃井
木曽川水系飛騨川
27メートル
178メートル
11492千㎥/1724千㎥
中部電力(株)
1936年
◎治水協定が締結されたダム

兼山ダム

2016-11-08 08:39:28 | 岐阜県
2016年11月3日 兼山ダム
 
兼山ダムは左岸が岐阜県可児市兼山、右岸が賀茂郡八百津町和知の一級河川木曽川本流にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
福沢桃介が起こした大同電力(株)は急流かつ水量豊富な木曽川に着目、1924年(大正14年)の大井ダムを手始めに木曽川での電力開発に邁進します。
兼山ダムも大同電力により事業化が進められましたが、電力国家管理法により日本発送電が事業を引き継ぎ1943年(昭和18年)に竣工、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により関西電力が事業を継承しました。
兼山ダムで取水された水は兼山発電所で最大3万9000キロワットのダム水路式発電を行っています。
兼山ダムはその土木建築物としての価値を評価されCランクの近代土木遺産に選定されています。
 
まずはダム左岸からアプローチ。
県道381号沿いの大融寺の裏手から兼山ダムを見ることができます。
 
堤体直下には大きな水叩き
対岸は兼山発電所です。
 
14門の関電ブラックのラジアルゲートが並びますが、竹藪が邪魔ですべてを見ることができません。
 
兼山発電所と兼山ダム。
 
発電所と放流口。
 
下流から。
 
 
右岸(向かって左)は塵芥流路のようです。
 
発電所はもちろん立ち入り禁止。

(追記)
兼山ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1070 兼山ダム(0680)
左岸 岐阜県可児市兼山
右岸  同県加茂郡八百津町和知
木曽川水系木曽川
36.3メートル
205.7メートル
9392千㎥/3703千㎥
関西電力(株)
1943年
◎治水協定が締結されたダム

前沢ダム

2016-11-07 19:40:10 | 岐阜県
2016年11月3日 前沢ダム
 
前沢ダムは岐阜県可児郡御嵩町前沢の木曽川水系可児川右支流前沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1980年(昭和55年)に岐阜県のかんがい排水事業で建設され管理は可児川防災等ため池組合が受託しています。
 
御嵩町津橋で県道65号(旧中山道)から町道を北に進み前沢公民館前を右折すると前沢ダムに到着します。
天端は車両通行禁止。
 
上流面はコンクリートで補強されています。
 
下流面はきれいに刈り払われています。
 
ダム湖。
 
下流面。
 
洪水吐は天端左岸から地山を挟んだ東側にあります。
 
 
洪水吐導流部
途中から右に大きくカーブしています。
 
天端の西側に副堤があります。
堤高が15メートルに満たないようでダム便覧には掲載されていません。
 
副堤の天端
立入禁止です。
 
1117 前沢ダム(0679)
ため池コード 215210004
岐阜県可児郡御嵩町前沢
木曽川水系前沢川
 
38メートル
171メートル
2025千㎥/2000千㎥
可児川防災等ため池組合
1980年

大洞防災ダム

2016-11-07 16:34:15 | 岐阜県
2016年11月3日 大洞防災ダム
 
大洞防災ダムは岐阜県可児郡御嵩町中切の木曽川水系可児川左支流吉田川にある農地防災・灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
1952年(昭和27年)に岐阜県の事業で建設され、管理は可児川防災等ため池組合が受託しています。
 
土岐から国道21号で御嵩町へ向かい上之郷小学校そばを南に折れ吉田川沿いに進むと右手に大洞防災ダムを俯瞰できます。
昭和20年代に建設された古いコンクリートダムで、クレストは自由越流式洪水吐が1門、他にダム穴風の常用洪水吐があります。
 
ダム穴風洪水吐をズームアップ。
よく見るとカワウが営巣しています。
洪水吐の手前に斜樋があります。
 
道路から天端へ下りる道がありますが、天端は立ち入り禁止。
 
アングルを変えて。
 
 
3438 大洞防災ダム(0678)
ため池データベース 215210021 
岐阜県可児郡御嵩町中切
木曽川水系吉田川
FA
 
23メートル
215メートル
43千㎥/43千㎥
可児川防災等ため池組合
1952年

松野ダム(松野防災溜池)

2016-11-07 15:19:18 | 岐阜県
2016年11月3日 松野ダム(松野防災溜池)
 
松野ダムは岐阜県瑞浪市日吉町の一級河川木曽川水系可児川にある灌漑・防災目的ののアースフィルダムです。
現在の可児市から御嵩町に至る木曽川左岸地帯では1939年(昭和14年)の兼山ダム・兼山発電所建設に併せ木曽川に新規水利権を獲得しダム直上を取水口とする用水路整備計画を着手しますが戦争激化により事業は中断。
一方可児川流域では地理的要因から洪水が頻発しており、農林省(現農水省)の補助を受けた県営事業により農地防災目的を持つ溜池群の建設が着手され1953年(昭和28年)に可児川源流部に松野防災ため池が着工されました。
一方、牧尾ダムを水源とし兼山ダムを取水口とする愛知用水事業が着手された際、木曽川左岸地域は愛知用水事業に編入され同地域向けの補助貯水池として松野防災ため池に白羽の矢が立ちました。
最終的に愛知用水公団の補助を受けた岐阜県営防災ため池事業として1961年(昭和36年)に松野ダムが竣工、総貯水容量331万3000立米のうち洪水期のみ農地防災容量96万3000立米が配分される2種防災ダムとして運用されています。
一連の防災溜池群は複数の自治体にわたることから維持管理を各自治体の共有処理とするため一部事務組合である可児川防災等ため池組合が設立され管理を受託しています。
なおダム便覧では松野ダムと記載されていますが、ため池データベースでは松野防災ため池となっており、当ブログでは両名称を併記することにします。

土岐から国道21号を北上し鬼岩温泉で松野湖の標識に従って右折すると松野ダムに到着します。
左岸ダムサイトに駐車場があり、目の前に洪水吐が見えます。
 
両側は自由越流面、中央にゲートのある独特の洪水吐。
湖岸には花崗岩の奇岩が露出しています。
 
洪水吐導流部。
 
上流から見たゲート。
 
きれいに刈り払われた下流面。
 
天端は車両通行可能です。
 
右岸の管理事務所と取水設備。
 
ダム湖(松野湖)
総貯水容量331万3000立米
洪水期のみ96万3000立米が農地防災容量に配分されます。
 
下流面。
 
右岸からダム湖に下りることができます。
上流面はコンクリートで補強されています。

(追記)
松野ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1094 松野ダム(松野防災溜池)(0677)
ため池データベース 212080116 
岐阜県瑞浪市日吉町
木曽川水系可児川
FA
 
23メートル
215メートル
3313千㎥/2350千㎥
可児川防災等ため池組合
1961年
◎治水協定が締結されたダム