ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

寺内ダム(元)

2022-05-30 06:00:00 | 福岡県
2022年5月20日 寺内ダム(元)
 
寺内ダムは福岡県朝倉市荷原の筑後川水系佐田川にある水資源機構が管理する多目的重力式コンクリートダムで、いわゆる『あさくら3ダム』の一つです。
筑後川は九州最大の河川で古くから流域の水源となる一方『筑紫次郎』の異名を持ち日本屈指の暴れ川となっていました。
1964年(昭和39年)に『筑後川水系水資源開発基本計画』(フルプラン)が採択され、以降筑後川水系では水資源開発公団(現水資源機構)による河川総合開発が進められることになりました。
同公団はまず1972年(昭和47年)に筑後川水系小石原川に江川ダムを建設、次いで1978年(昭和53年)に完成したのが寺内ダムです。
寺内ダムは水資源機構法(当時は水資源開発公団法)による多目的ダムで佐田川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、両筑平野土地改良区への特定灌漑用水の供給、福岡地区水道企業団福岡県南広域水道企業団等への上水道用水の供給を目的としています。
寺内ダムの流域面積は51平方キロで有効貯水容量1600万立米、一方江川ダムの流域面積は30平方キロで有効貯水容量2405万立米と集水域と貯水量にギャップがあるため、ダム建設と同時に寺内ダムから江川ダム下流の小石原川へ寺内導水路が建設され2ダムが連携した運用が開始されました。
しかし、それでも年間5200万立米の水が無駄になっていましたが、2021年(令和3年)に江川ダム直上に小石原川ダムが完成し、併せて佐田川から江川ダムへの導水路トンネルが建設され、3ダム連携の効率的運用が可能となりました。

一方2017年(平成29年)の九州北部豪雨を契機に2022年(令和4年)に国土交通省は『筑後川水系河川整備計画』を変更、これに併せて翌2023年(令和5年)に寺内ダム再生計画が着手されました。
具体的には非常用洪水吐の改造により総貯水容量及び有効貯水容量を増加、さらに利水容量から洪水調節容量への振り替えにより治水能力の増強を図るものです。
事業の詳細については下記リンクをご覧ください。

ダム湖畔には水のテーマパークである『あまぎ水の文化村』が設置される一方、ダム下は桜の名所として知られており、ダム湖の『美奈宜湖(みなぎこ)』はダム湖百選に選ばれています。 

ダム下流から
向って左(減勢工右岸側)に放流設備があります。


洪水吐は非常用のクレストローラーゲート2門と常用の高圧ラジアルゲート1門。


令和4年5月からこのフェンス内で草刈り担当として『ヤギ』が飼育される予定。


左岸から下流面とゲートピア。

ゲートの上流側
非常用洪水吐のローラーゲートが2門、その間には常用洪水吐の予備ゲートが見えます。


右岸湖畔に並ぶ取水設備と艇庫・インクライン。


洪水吐斜水路と減勢工
下流には九州屈指の穀倉地帯両筑平野が広がります。


ダム湖は美奈宜湖 
総貯水容量1800万立米でダム湖百選に選ばれています。


天端は車両通行可能。


ダム湖百選のプレート。


上流から
左岸ダムサイトに管理事務所があります。


(追記)
寺内ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

2430 寺内ダム(元)(1812)
福岡県朝倉市荷原
筑後川水系佐田川
FNAW
83メートル
430メートル
18000千㎥/16000千㎥
水資源機構
1978年
◎治水協定が締結されたダム
---------------
3719 寺内ダム(再) 
福岡県朝倉市荷原
筑後川水系佐田川
FNAW
83メートル
430メートル
19030千㎥/17030千㎥
水資源機構
2023年 再生事業着手

小石原川ダム

2022-05-27 20:00:00 | 福岡県
2022年5月20日 小石原川ダム

小石原川(こいしわらがわ)ダムは福岡県朝倉市江川の筑後川水系小石原川にある水資源機構が管理する多目的ロックフィルダムで、いわゆる『あさくら3ダム』の一つです。
1964年(昭和39年)の『筑後川水系水資源開発基本計画』(フルプラン)採択により、筑後川水系では水資源開発公団(現水資源機構)により河川総合開発が進められることになりました。
同公団は1972年(昭和47年)に筑後川水系小石原川に江川ダム、1978年(昭和53年)に佐田川に
を建設しますが、同年発生したいわゆる『福岡大渇水』により福岡市では時間指定断水が287日間に及ぶ異常事態となり、新たな水源確保が緊急課題に浮上しました。
これを受け公団は寺内ダム直上の小石原川に新たな多目的ダム建設を採択、その後の社会情勢の変化や公共事業見直し機運の高まりなど紆余曲折はあったものの、2016年(平成28年)に本体工事が着手され2019年(令和2年)に小石原川ダムが竣工しました。
小石原川ダムは水資源機構法による多目的ダムで、小石原川の洪水調節、安定した河川流量の保持と不特定灌漑用水への補給および渇水時の緊急放流、福岡県南広域水道企業団への上水道用水の供給を目的としています。
またこれまで佐田川は流域面積が大きい一方、寺内ダムの貯水能力が少ないため年間5200万立米の水が無駄になっていましたが、ダム建設に合わせて佐田川から江川ダムに通じる導水路トンネルが開削され、江川・小石原川・寺内3ダムが連携した効率的ダム運用が可能となりました。

江川ダムから奥秋月湖沿いの国道500号を東進、途中の分岐で旧道に入ると小石原川ダム直下に到着します。
ダムの完成から間がなく、ダム下の整備も訪問直前に完成したばかり。
堤高139メートル、堤頂長558.3メートル、堤体積870万立米と九州屈指の規模を誇るロックフィルダムです。


洪水吐導流部はカスケードで、大規模ロックフィルダムとしては殿ダムに次いで2例目の採用となります。
左手のトンネルは取水設備からの放流口。


左岸から。


リップラップ。


ダム左岸の山はコア山として伐採されました。
ダム完成後に改めて植林が進められ、シカの食害防止のために苗木にはビニールが巻かれムーミンのニョロニョロのよう。


天端から。


令和あさくら湖と命名されたダム湖は総貯水容量4000万立米。


右岸(向かって左)に取水設備と繋留設備が並びます。
取水設備は『側壁なし円形多段式ゲート』という型式で、戸当たりをレール方式にするため側壁が不要になり、コスト削減が可能となりました。


天端は車両通行可能。


洪水吐斜水路を見下ろします。


巨大な横越流式洪水吐
でも作りはシンプル。


繋留設備。


取水設備とダム上流面。


(追記)
小石原川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

3062 小石原川ダム(1811)
福岡県朝倉市江川
筑後川水系小石原川
FNW
139メートル
558.3メートル
40000千㎥/39100千㎥
水資源機構
2019年
◎治水協定が締結されたダム

江川ダム

2022-05-27 15:00:00 | 福岡県
2022年5月20日 江川ダム
 
江川ダムは福岡県朝倉市江川の筑後川水系小石原川にある水資源機構が管理する多目的重力式コンクリートダムで、いわゆる『あさくら3ダム』の一つです。
筑後川は九州最大の河川で古くから流域の水源となる一方『筑紫次郎』の異名を持ち日本屈指の暴れ川となっていました。
治水については筑後川上流部への松原ダム下筌ダムの建設や下流域の分水路建設などにより一定の成果が上がる一方、利水については農水・上水・工水と多岐にわたる上に福岡・佐賀・大分・熊本4県の利害調整が必要なことから、1964年(昭和39年)に『筑後川水系水資源開発基本計画』(フルプラン)が採択され、以降筑後川水系では水資源開発公団(現水資源機構)による河川総合開発が進められることになりました。
そして農林省が進めてきた両筑平野用水事業を引き継ぎ、筑後川水系での同公団最初のダムとして1972年(昭和47年)に竣工したのが江川ダムです。
江川ダムは水資源機構法(当時は水資源開発公団法)による多目的ダムで、両筑平野土地改良区約4500ヘクタールへの灌漑用水の供給、福岡市・朝倉市・福岡地区水道企業団福岡県南広域水道企業団等への上水道用水の供給、朝倉市への工業用水の供給を目的としています。
また利水放流を利用した両筑江川発電所で最大1110キロワットの利水従属発電を行っています。
1978年(昭和53年)には江川ダムの南方3.5キロの佐田川に寺内ダムが竣工するとともに寺内ダムから小石原川へ通じる寺内導水路が開削され2ダムの連携運用が開始されました。
さらに2021年(令和3年)には江川ダム直上に小石原川ダムが完成し、併せて佐田川から江川ダムへの導水路トンネルが建設され、3ダム連携の効率的運用が可能となりました。

江川ダムは国道500号線沿いにあり、アプローチは簡単
ダム下への道路入り口にはフェンスがありますがこれは害獣防除用、立ち入りは規制されていません。


堤高79.2メートルのトップにはクレストラジアルゲートが3門
赤いゲートが際立ちます


右岸にホロージェットバルブがあり、径間が異なるバルブを2条備えています。
江川ダムは洪水調節機能がないため放流設備はラジアルゲートとバルブだけ。


国道からも何カ所かダムが望めますが、木が邪魔ですっきりとは見えません。


水利使用標識
もとは農林省(現農水省)の両筑平野農業水利事業がベースになったダムです。
かんがい面積は約4500ヘクタールにも及びます。


ダム湖は『上秋月湖』
ダム湖百選に選ばれています。


右岸から
提体は右岸側で『へ』の字に屈曲しています。
天端は車両通行可能。


洪水吐導流部と減勢工
エンドシル右手に両筑江川発電所があります。


ダム湖は『上秋月湖』
総貯水容量2532万5000立米でダム湖百選に選ばれています。


左岸から下流面
対岸に管理事務所があります。


左岸上流から
ダムが屈曲しているのがよくわかります。


ゲートと取水設備をズームアップ。


ダム湖上流にある佐田川からの導水路トンネル吐口。
佐田川は流域面積が大きい一方、寺内ダムの貯水能力が少ないため年間5200万立米の水が無駄になっていました。
導水路トンネルの完成により江川小石原川寺内3ダムが連携した効率的運用が可能となりました。


(追記)
江川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

2424 江川ダム(1810)
福岡県朝倉市江川
筑後川水系小石原川
AWI
79.2メートル
297.9メートル
25326千㎥/24054千㎥
水資源機構
1972年
◎治水協定が締結されたダム

花宗溜池

2022-05-26 22:00:00 | 福岡県
2022年5月20日 花宗溜池
 
花宗溜池は福岡県八女市黒木町本分の矢部川水系本分川にある灌漑及び上水目的のアースフィルダムです。
1934年(昭和9年)の大干ばつを受け、矢部川流域では灌漑用貯水池築造機運が高まり、1937年(昭和12年)より県営事業として花宗溜池建設が着手されました。
しかし戦争激化や戦後の混乱を受けた物資・人員不足から事業は長期化、着工から15年目の1952年(昭和27年)にようやく完成に至りました。
総貯水容量329万立米は農業用溜池としては西日本屈指のスケールで、現在でも福岡県最大規模を誇り、管理者の花宗用水組合を通じ矢部川流域約1500ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
また2009年(平成21年)からは福岡県南広域水道企業団により上水調整池としての利用が開始されダムの目的はAからAWになりました。

池の西側を走る国道442号線から堤体を望むことができます。
住宅地の背後に聳える高さ30メートル弱の堤体はかなりの存在感。


ダム下の底樋
御影石が積まれた立派な樋門です。


天端は車道
堤頂長は300メートルを越えます。


上流面。


右岸の斜樋。


総貯水容量は328万9000立米と溜池としては福岡県最大規模
とんがり帽子の立派な取水塔は福岡県南広域水道企業団により2009年(平成21年)に建設され、以来の花宗溜池は農業用貯水池のほか同企業団の上水用調整池として活用されています。


洪水吐は堤体からは離れた左岸上流側にあります。

洪水吐越流部の切欠。
鋼製起伏ゲートがついています。


右岸の竣工記念碑。
着工以来15年の年月をかけてようやく完成に至った困難の道のりが綴られています。


右岸の斜樋。
カバーに覆われシャフトは見えません。


斜樋から見た上水用設備。
ダム愛好家の訪問記などではこれを灌漑用の取水塔と記す記述が多く見られますが、こちらは福岡県南広域水道企業団による上水用の取水排水設備です。


2402 花宗溜池(1808)
ため池コード 402101003
福岡県八女市黒木町本分
矢部川水系本分川
AW
29.3メートル
320.6メートル
3289千㎥/2580千㎥
花宗用水組合
1952年

不動池

2017-10-12 12:26:11 | 福岡県
2017年9月21日 不動池
 
不動池は左岸が福岡県糸島市飯原、右岸が同市雷山の雷山川水系長野川右支流不動川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1936年(昭和11年)に当時の前原町の事業で建設と記されており、管理は飯原地区が行っています。
昭和初期は西日本で干ばつが続きこれを契機に築造された溜池が多くありますが、不動池も同様かと思われます。
堤体右岸に竣工記念碑がありここには由来やその後の経緯などが記されていると思いますが、残念ながら立ち入り禁止で見ることができません。
 
糸島市中心部の筑後前原から県道564号線をひたすら南下、紅葉で有名な千如寺(雷山観音)を目指します。雷山観音から500メートルほど進むと右手にダートの林道が分岐しており、これを5分ほど進むと不動池に到着します。
残念ながら池は立ち入り禁止。
 
フェンス越しに天端を撮影
最近草刈りが行われたようです。
 
上流の樹間から
上流面はコンクリートで護岸
堤体中央に斜樋、右岸に横越流式洪水吐があり、堤体に石碑が建っています。
たぶんここに池の由来等が記されているはずなんですが・・・・
 
石碑と洪水吐をズームアップ
さすが民度が低い福岡、厳重なフェンスを乗り越えて不法侵入するアフォーな釣り師がいます。
 
2387 不動池(1148)
ため池コード 402300156
福岡県糸島市飯原
雷山川水系長野川
17メートル
93メートル
230千㎥/225千㎥
飯原地区
1936年

雷山大溜池

2017-10-12 02:14:20 | 福岡県
2017年9月21日 雷山大溜池
 
雷山(らいざん)大溜池は福岡県糸島市香力の雷山川水系多久川源流部にある灌漑用目的のアースフィルダムです。
1929年(昭和4年)、1934年(昭和9年)と九州北部を立て続けに大干ばつが襲いますが、特に1934年の干ばつでは当時の前原町及び雷山村では作付面積の約半分が収穫皆無という甚大な被害となりました。
これを受け溜池築造の機運が高まり、土地買収など紆余曲折はあったものの1937年(昭和12年)に県営事業による建設が開始され戦時中の物資・人員不足の中、奉仕隊などの動員の甲斐もあり1944年(昭和19年)に無事雷山大溜池が完成しました。
完成当時は福岡県内最大の灌漑用溜池でした。
その後1979年(昭和54年)に大規模な改修を行い現在に至っています。
池の管理は糸島市前原土地改良区が行い、638ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
糸島市高力の県道564号線『香力台団地バス停』を西に折れると雷山大溜池に到着します。
堤高は25メートルながら堤頂超230メートルの立派な堤体です。
 
右岸から下流面
犬走りを挟んで2段構成になっています。
 
右岸にある竣工記念碑。
 
洪水吐導流部。
 
湾曲した横越流式洪水吐
わかりづらいですが洪水吐手前に穴が開いており、ゲート操作で水位の微調整ができるようです。
 
天端は車道で、上流側は有刺鉄線付きのフェンスが続きます。
こう言っちゃなんですが、福岡は大阪と並ぶ民度が低い土地柄、不法投棄が多いんでしょうねえ。
 
天端からの眺め。
 
総貯水容量は120万立米
自己流域だけでは集水できないため雷山川および長野川からの補給を受けています。
 
天端から見た洪水吐、大きく湾曲しています。
一方で池のすぐそばまですぐ迫る宅地。旧前原町は福岡の衛星都市として昭和40年代以降人口が2倍に膨らみました。
 
円筒形の取水塔。
これは1979年の改修によるものかな?
 
2395 雷山大溜池(1147)
ため池コード 402300001
福岡県糸島市香力
泉川水系多久川
20.5メートル
240メートル
1200千㎥/1150千㎥
糸島市前原土地改良区
1944年

瑞梅寺ダム

2017-10-11 17:12:26 | 福岡県
2017年9月21日 瑞梅寺ダム 
 
瑞梅寺ダムは福岡県糸島市瑞梅寺の瑞梅寺川水系本流源流部にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、瑞梅寺川の洪水調節、瑞梅寺川の安定した河川流量の維持と既得取水権としての灌漑用水への補給、福岡市および糸島市前原地区への上水道用水の供給を目的として1977年(昭和52年)に竣工しました。
また2016年(平成28年)には河川維持放流を利用した瑞梅寺ダム小水力発電所が完成、最大110キロワットの水力発電を行っています。
 
国道252号線から県道563号線を南に折れそのまま南進すると瑞梅寺ダムに到着します。
ダム下から。
洪水吐が屈曲しているのでダムと正対できません。
洪水吐はクレストにラジアルゲートが2門のみ、オリフィスやコンジットはありません。これは昭和40~50年代の福岡県営ダムでよく見られる型式。
一方ダム下右岸に常用洪水吐としてホロージェットバルブが1条あります。
 
ダム右岸から
堤体は右岸が緩やかに湾曲、一方下流面は縦に凹凸が付いています。
 
天端は車両通行可能です。
右岸側が屈曲しているのがよくわかります。
 
洪水吐導流部と減勢工。
 
ダム下の放流設備
減勢池を備えた福岡県営ダムではおなじみの放流設備です。
左上の建屋が2016年に完成した小水力発電所です。
 
天気が良ければ天端からは、博多湾や糸島半島が一望できるそうですが・・・。
 
ダム湖は総貯水容量242万立米
少雨により水位がかなり低くなっています。
 
天端から管理事務所
事務所手前に見えるのは展望台。
 
上流面
左から取水設備、クレストラジアルゲート、放流バルブの予備ゲート。
 
ダム右岸のプラント跡
ケーブルクレーンの台座っぽい。
 
ダム湖の上流が井原山の登山口になっており、休日には結構な登山者が来ダムするようです。
この日駐在した職員さんがBM乗り、ということで車論議で1時間近く盛り上がりました。
職員さんお薦めは天端からの海の眺めでしたがあいにく靄んでおり残念。
 
追記
瑞梅寺ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2444 瑞梅寺ダム(1146
福岡県糸島市瑞梅寺
瑞梅寺川水系瑞梅寺川
FNW
64メートル
337.5メートル
2420千㎥/2270千㎥
福岡県県土整備部
1977年
◎治水協定が締結されたダム

曲渕ダム(再)

2017-10-11 13:54:35 | 福岡県
2017年9月21日 曲渕ダム(再)
 
曲渕ダム(再)は福岡県福岡市早良区曲渕の室見川水系八丁川にある、福岡市水道局が管理する上水道用水目的の表面石張重力式粗石コンクリートダムです。
明治以降全国各地で近代水道の整備が進みますが、大河のない福岡市では1909年(明治42年)にようやく近代水道整備計画が策定され、1922年(大正11年)に曲渕ダム(元)が竣工します。
翌1923年(大正12年)3月の曲渕ダム、平尾浄水場など一連の水道施設の運用開始により福岡市水道事業がスタートしました。
曲渕ダムは水需要増加を受けて1934年(昭和9年)、1992年(平成4年)の二度にわたり嵩上げ改修が行われ現在の堤高45メートル、総貯水容量260万8000立米の規模となりました。
ダム便覧ではこの改修を曲渕ダム(再)の竣工年度としています。
堤高45メートルは現存する我が国の石積堰堤としては最も高いダムとなっています。
曲渕ダムは福岡市近代水道黎明期を支えた施設として『近代水道百選』に選ばれるとともに、その優れた土木技術を評価して土木学会選奨土木遺産及びBランクの近代土木遺産に選定されています。
また2018年(平成30年)には利水放流を利用した小水力発電所である曲渕ダム小水力発電所が完成し、最大91キロワットの発電も開始されました。
 
早良区石釜の国道263号『水源地前バス停』から右手の旧道に入ると、正面に曲渕ダムが見えてきます。
ダム下は曲渕ダムパークとして整備されていますが、訪問時は小水力発電所設置工事のため立ち入りできませんでした。
堤高45メートル、我が国で最も堤高の高い石積堰堤です。
 
右岸から
2度の嵩上げの嵩上げのあとがはっきりと分かります。
 
1994年(平成6年)の改修工事の竣工記念碑。
 
天端
1994年の改修できれいに整備されました
高覧は御影石、竣工当初のイメージを損なわないようデザイン面で配慮されています。
 
総貯水容量236万8000立米。
 
ダム下はダムパークとして整備されていますが、訪問時は小水力発電所の工事中。
 
下流面の石積。
 
上流面
奥は管理事務所、右手の浮桟橋に巡視艇が係留されています。
 
高欄親柱と大正風の照明
親柱には曲渕ダムと刻まれています。
 
緩やかに湾曲した横越流式洪水吐
越流堤も石積です。
 
1934年(昭和9年)の改修竣工記念碑。
 
福岡県では河内ダムと対をなす貴重な石積堰堤です。
ダム下は工事中でしたので機会があればぜひ再訪してみたいと思います。
 
2376 曲渕ダム(元)
福岡県福岡市早良区曲渕
DamMaps
室見川水系八丁川
37.3メートル
----メートル
1422千㎥/1422千㎥
福岡市水道局
1922年 
1934年 嵩上げ再開発
-------------
 
3341 曲渕ダム(再)(1145)
福岡県福岡市早良区曲渕
室見川水系八丁川
45メートル
160.6メートル
2608千㎥/2368千㎥
福岡市水道局
1992年 再・再開発事業竣工

南畑ダム(再)

2017-10-11 02:19:22 | 福岡県
2017年9月21日 南畑ダム(再)
 
南畑ダム(再)は福岡県筑紫郡那珂川町五ケ山の那珂川水系那珂川本流上流部にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
人口規模に対して大河の少ない福岡では慢性的な水不足に悩まされる一方、福岡市中心部を貫流する那珂川の治水が必須の課題となっていました。
そこで福岡県は建設省の補助を受け那珂川上流部への補助多目的ダム建設事業に着手し、1965年(昭和40年)に竣工したのが南畑ダム(元)です。
しかし運用開始後も水不足は解消せずとりわけ1978年(昭和53年)~79年(昭和54年)にかけての渇水では福岡都市圏で実に287日間に及ぶ取水制限が実施される事態に陥ります。
これを受け貯水池掘削による利水容量拡大を目的とした再開発事業が着手され1985年(昭和60年)に南畑ダム(再)が竣工しました。
南畑ダム(再)は那珂川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、那珂川源流部にある福岡市水道局脊振ダムと連携した福岡市水道局への上水道用水の供給を目的とするほか、利水従属発電として九州電力南畑発電所で最大1600キロワットのダム水路式水力発電を行っています。
その後1992年(平成4年)には河川維持放流を利用した小水力発電を行う福岡県企業局ちくし発電所(最大出力550キロワット)が増設されました。
さらに2017年(平成29年)には当ダム上流2キロ地点に新たに五ケ山ダムのが竣工し、福岡県最大の貯水量を誇る同ダムの運用開始により那珂川水系の治水・利水事情は大きく改善しました。
 
国道385号線で筑紫耶馬渓を抜けると南畑ダムに到着します。
ダム手前の分岐を左に採ると筑紫耶馬渓遊歩道入口に出ます。ここに車を置いて上流に向かうと南畑ダムが見えてきます。
非常用洪水吐としてクレストに2門のラジアルゲートがありますがオリフィスやコンジットゲートはありません。
ゲートがクレストゲートだけというのは昭和30~50年代竣工の福岡県営ダムでよく見られるスタイルです。
 
左岸の国道385号線から見た下流面。
 
上流面
取水設備は昭和30年代らしく半円形、奥は管理事務所。
 
上流から遠望。
 
天端とゲート操作室。
 
洪水吐導流部と減勢工。
 
福岡県営ダムではおなじみ、減勢池を備えた放流設備。
河川維持放流以外の水は右上の水路から九州電力南畑発電所送られたのち上水道用水として放流されます。
一方右手の白い建物は1992年に完成した福岡県企業局ちくし発電所。
 
ダム湖は総貯水容量600万立米
訪問時は少雨と上流の五ケ山ダムの試験湛水のため水位がずいぶん低くなっていました。
 
堤体にエレベーターがないため、ダム下への移動にはこのモノレールが使われます。
 
インクラインはなく巡視艇は浮桟橋に係留されています。
 
追記
南渕ダム(再)には洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2414 南畑ダム(元)
福岡県筑紫郡那珂川町五ケ山
DamMaps
那珂川水系那珂川
FNW
 
63.5メートル
220.4メートル
5000千㎥/4560千㎥
福岡県県土整備部
1965年
-------------
2451 南畑ダム(再)(1144)
福岡県筑紫郡那珂川町五ケ山
那珂川水系那珂川
FNWP
 
63.5メートル
220.4メートル
6000千㎥/5560千㎥
福岡県県土整備部
1985年再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム

脊振ダム

2017-10-10 14:56:23 | 福岡県
2017年9月21日 脊振ダム
 
脊振ダムは福岡市早良区五ケ山の二級河川那珂川源流部にある福岡市水道局が管理する上水道用水目的のロックフィルダムです。
大河川がないうえに中小河川の集水域が小さいという地理的条件もあり、福岡市では慢性的な水不足が続き、安定した水源確保を求めるための拡張事業は19回にも及びました。
脊振ダムは1970年(昭和45年)に事業着手された第12回拡張事業(脊振取水)の中核施設として既設の県営南畑ダムの上流6キロ地点に1976(昭和51年)に建設されました。
脊振ダムで貯留された水は南畑ダムで取水されたのち、高宮浄水場および夫婦石浄水場を経て福岡市内に給水されています。
また、脊振ダムは南畑ダムの集水地域内に建設されておりダムの運用は南畑ダムから遠隔操作で行われています。
 
国道385号から県道136号に入り背振少年自然の池入口前を右折すると脊振ダムに到着します。
普段は天端まで立ち入りができますが、訪問時は作業のため立ち入り禁止となっていました。
 
ダム入り口前にあるダムの説明板。
 
水使用標識と取水設備と思われる建物
取水設備はたぶん斜樋。
 
貯水池右岸沿いの道路を上流に向かうとダムの上流面が見えます。
 
手前の遺構は?
 
左岸の洪水吐。
 
追記
背振ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2429 脊振ダム(1142)
福岡市早良区五ケ山
那珂川水系那珂川
43メートル
240メートル
4500千㎥/4390千㎥
福岡市水道局
1976年
◎治水協定が締結されたダム

筑後大堰

2017-10-10 12:02:31 | 福岡県
2017年9月21日 筑後大堰
 
筑後大堰は筑後川河口から約23キロ上流地点の左岸が福岡県久留米市安武町武島、右岸が佐賀県三養基郡みやき町江口にある水資源機構が管理運用する多目的可動堰です。
筑後川は流路延長143キロ、流域面積2860平方キロを誇る九州最大の大河で、古くから流域の水源となってきた一方、筑紫次郎と呼ばれ利根川、吉野川とともに日本の三大暴れ川の一つとされ流域に壊滅的な洪水被害をもたらしてきました。
戦後の復興から高度成長期に入り福岡をはじめとした中核都市での人口急増による上水道用水需要ひっ迫や大牟田・鳥栖での工業用水の需要拡大をうけ建設省は筑後川からの導水を模索する一方、農林省(現農水省)も筑後川を水源とする国営筑後川土地改良事業を企図していました。
1964年(昭和39年)に筑後川水系水資源開発基本計画(フルプラン)が採択され、筑後川では水資源開発公団(現水資源機構)による総合的な河川開発が進められることになります。
筑後大堰は、筑後川の洪水調節および水位の安定と塩害防止、農水省による筑後川下流用水事業への灌漑用水の供給、福岡地区水道企業団及び福岡県南広域水道・佐賀県基山町・鳥栖市上水道・佐賀東部水道企業団への上水道用水の供給を目的として1984年(昭和59年)に竣工しました。
筑後大堰の堤高は6.4メートルで河川法上のダムの要件である15メートルを満たしていませんが、水資源公団法(現水資源機構法)に基づく多目的ダムとして建設されたため、法律上もダムとして分類されダム便覧にも正式掲載されています。 
 
福岡導水事業の概要(水資源機構HPより)
 
筑後川下流用水事業の概要(水資源機構HPより)
 
左岸久留米側上流から・・・
ゲート操作室に『筑後大せき』と書かれています。
 
左岸支流金丸川水門
筑後川の水位上昇による金丸川への逆流を防ぎます。
 
左岸河川敷には九州北部豪雨(平成29年7月豪雨)で流下した大量の流木が積み上げられています
ここで乾燥させたのち処理を行うようです。
 
右手の水路は金丸川
左奥でゴミの引き揚げ作業が行われています。
 
船でごみを引き寄せたのち重機で引き揚げます。
 
左岸の魚道。
 
魚道の隣に閘門があります。
 
上流の眺め
奥は久留米市中心部
いまだに大量に残るごみと流木、7月豪雨のごみに新たに台風18号のごみが加わりました。
 
天端は国道264号と県道144号を結ぶ車道です。
 
ゲートは制水ゲート3門、調節ゲート2門で構成。
これは制水ゲート。
 
右岸はリバーサイドパークとして整備され運動場やゴルフ場になっています。
 
暴れ川筑紫次郎の下流を支える筑後大堰です。
訪問時は九州北部豪雨の大量のごみが残る中、新たに台風18号のごみが加わり、終わりのないゴミ処理が続いていました。
筑後大堰がこれら流木やごみを捕捉することで、有明海の環境は維持される効果は絶大です。
職員及び関係者の皆様ご苦労様です。
 
2434 筑後大堰(1141)
左岸 福岡県久留米市安武町武島
右岸 佐賀県三養基郡みやき町江口
筑後川水系筑後川
FNAW
MB
6.4メートル
501.6メートル
5500千㎥/930千㎥
水資源機構
1984年

山口調整池

2017-10-06 18:33:06 | 福岡県
2017年9月17日 山口調整池
 
山口調整池は福岡県筑紫野市山口の筑後川水系山口川左支流兎ヶ原川にある水資源機構が管理する上水道用水目的のロックフィルダムです。
高度成長期に入り福岡市の人口は急増するとともに周辺自治体も衛星都市として都市圏が拡大、さらに生活様式の変化などもあり福岡都市圏の水道需要は拡大の一途を辿りました。しかし福岡市周辺には大河がないという地理的条件もありなくあり慢性的な水不足状態が続き、安定した水源確保は福岡都市圏にとっては悲願とも言える重要課題となっていました。
1974年(昭和49年)の閣議決定により筑後川水系水資源開発基本計画(フルプラン)が採択され、その一環として筑後川から福岡都市圏及び佐賀県基山町への上水道用水供給事業、いわゆる福岡導水事業が着手され1983年(昭和58年)に福岡地区への通水が開始されました。
山口調整池は筑後川の水量低下や施設の点検等により通水できない場合などに備えた福岡導水の予備水源・上水調整池として1998年(平成10年)に竣工しました。
 
福岡導水概要図(水資源機構福岡導水管理室HPより)
 
九州自動車道筑紫野インターから県道137号線を南西向かうと『筑紫野市総合公園』の標識が現れます。
これに従って右折すると山口調整池の堤体が見えてきます。
山口調整池建設に合わせて周辺は一帯が筑紫野市総合公園として整備され、ダム湖である『天拝湖』を周回する遊歩道や運動公園、アスレチック広場などが設置された広大なレクリエーションエリアとなっています。
ダム下にも芝生広場やグラウンドが整備されています。
 
堤体左岸から地山を挟んで流下する洪水吐。
 
ちょっと草が目立ち始めたリップラップ。
 
水資源機構のダムではおなじみ、
水資源機構の記章とダム湖である『天拝湖』の文字看板。
 
右岸天端から
左岸に管理事務所と取水設備あります。
天端は徒歩のみ通行可能で、ダム湖を周回する遊歩道の一部となっています。
 
天端から。
ダム下は野球グラウンド。
 
ダム湖の天拝湖
貯水容量390万立米、訪問直前に台風通過があったためほぼ常時満水状態です。
ダム湖上流には運動公園やアスレチック設備があります。
 
左岸の越流式洪水吐。
 
 
この下が上から2番目の写真の場所になります。
 
追記
山口調整池は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに71万7000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
  
3028 山口調整池(1139)
福岡県筑紫野市山口
筑後川水系兎ヶ原川
 
60メートル
326メートル
4000千㎥/3900千㎥
水資源機構
1998年
◎治水協定が締結されたダム

東谷口池(坂本新池)

2017-10-06 15:50:59 | 福岡県
2017年9月21日 東谷口池(坂本新池)
 
東谷口池は福岡県太宰府市坂本の御笠川水系東谷口川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧によれば1937年(昭和12年)に当時の太宰府町の事業で建設とあり、現在は坂本水利組合が管理をしています。
ダム便覧では長く『位置未確認』となっていましたが、2015年(平成27年)12月の拾泉舎様の報告により大宰府政庁跡北の坂本地区にある坂本新池が東谷口池であることが判明しました。
ダム便覧では堤高20メートルとなっている一方、福岡県ため池データベースでは8メートルとなっており河川法上のダム基準を満たしていません。
 
大宰府政庁跡から住宅街の中を北に進み、集落の先の北九州自然歩道入口が目印となります。
 
標識に従って九州自然歩道を進むと右手に砂防指定地の標識があります。
 
標識のすぐ先の樹間から東谷口池の下流面が見えます。
草がかなり伸びていますが視界が遮られて便覧の堤高20メートルを確認することはできません。
むしろデータベースの8メートルが妥当ではないかと思われます。
 
天端への入口は施錠され立ち入り禁止。
保安上の問題というよりは人気のハイキングコース沿いにあるため事故防止目的だと思われます。
 
手前側の洪水吐。
 
 
上流から
貯水量は1万1000立米のほんとに小さな溜池です。
堤頂50メートルということですがそれほどあるようには見えません。
 
取水設備や竣工記念碑等も確認できませんでした。
 
2383 東谷口池(1138)
ため池コード402210044
福岡県太宰府市坂本
御笠川水系東谷口川
8メートル(ダム基準未達)
50メートル
11千㎥/11千㎥
坂本水利組合
1937年

地別当共同池

2017-10-05 15:43:37 | 福岡県
2017年9月20日 地別当共同池(新池)
 
地別当(じべっとう)共同池は福岡県筑紫郡那珂川町上梶原の那珂川水系梶原川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1940年(昭和15年)に梶原地区の事業により建設と記されています。
現地の警告看板には管理者として上梶原区・下梶原区・梶原水利組合の三者の名前があり、池の名前は『新池』になっています。グーグルマップも新池となっています。
地別当は池のある小字名、共同池は上梶原区と下梶原区の共同財産という意味かと推察します。
ダム便覧では堤高18メートルとなっていますが、福岡県のため池データベースでは9.3メートルとなっています。
この数字を採用するなら河川法上のダムの基準を満たしていません。
 
県道601号線を南下し梶原地区の小字地別当に入ると県道から池の堤体が垣間見えます。
分岐を右に折れ集落を抜けると池の袂に到着です。
下流面を見ると堤高が18メートルもあるようには見えません。
 
天端は車両通行可能ですが貯水池側にはメッシュのフェンス。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
右岸の横越流式洪水吐
こちらも道路側にフェンス。。
 
池のすぐ下には住宅地が続きます。
 
右岸の斜樋。
 
左岸から。
 
総貯水容量3万5000立米の小さな溜池で、灌漑期が終わっているせいか水位はずいぶん低くなっています。
対岸に見える白い建物は学校かと思ったら新興宗教の道場でした。
 
警告板には『新池』と書かれています。
また養魚池とあるので鯉の養殖もおこなっているようです。
厳重なフェンスの意味が理解できました。
 
2391 地別当共同池(1136)
ため池コード 402310024
福岡県筑紫郡那珂川町上梶原
那珂川水系梶原川左支流
9.3メートル(ダム基準未達)
100メートル
35千㎥/35千㎥
上梶原地区・下梶原地区・梶原水利組合
1940年

牛頸ダム

2017-10-05 12:53:21 | 福岡県
2017年9月20日 牛頸ダム
 
牛頸ダムは福岡県大野城市牛頸の御笠川水系左支流牛頸川上流部にある福岡県県土整備部が管理する治水目的のロックフィルダムです。
建設省の補助を受けて建設された補助治水ダムで、牛頸川および御笠川の洪水調節、両河川の安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1991年(平成2年)に竣工しました。
水道事情が苦しい福岡県にあっては数少ない上水道目的のない県営ダムで、ダムの完成により福岡のベッドタウンとして急速に宅地化が進んでいた御笠川及び牛頸川流域の治水能力は大きく向上しました。
 
ダム建設に合わせて周辺一帯は大野城いこいの森として整備が行われ、中央公園や水辺公園、さらに牛頸川源流部にキャンプ場などが設けられ筑紫地区有数のレクリエーションエリアを形成しています。
またダム湖上流はホタルの生息地としても知られています。
 
県道505号線に牛頸ダムへの標識があり、これに従って南に折れると牛頸ダムが見えてきます。
管理事務所への道が洪水吐減勢工を跨いでおり、ここが下流からの展望ポイントとなります。
 
リップラップには草木が茂り、一見しただけではロックフィルダムと見分けがつかなくなっています。
 
右岸の横越流式洪水吐
写真ではちょっとわかりづらいですが、洪水吐の奥の小さな穴が常用洪水吐になります。
 
導流部は大きく湾曲しながら斜水路へと続きます。
 
 
上流面
こちらもずいぶん草木が茂っています。
 
天端は車両進入禁止。
 
ダム下は芝生の公園で東屋もあります。
 
洪水吐脇の管理事務所
事務所からはインクラインと斜樋が並んでいます。
 
通称大野貯水池と呼ばれるダム湖は総貯水容量228万立米。
治水ダムですが、不特定利水容量分が貯水されています。
 
ダムのすぐ下流には福岡地区水道企業団の牛頸浄水場がありますが、牛頸ダムと水のやり取りはありません。
 
追記
牛頸ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2440 牛頸ダム(1135)
福岡県大野城市牛頸
御笠川水系牛頸川
FN
 
52.7メートル
383メートル
2280千㎥/2100千㎥
福岡県県土整備部
1998年
◎治水協定が締結されたダム