ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

山郷大池

2023-05-03 18:10:37 | 三重県
2023年4月21日 山郷大池

山郷(やまさと)大池は三重県いなべ市北勢町皷の員弁川水系猪入谷川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
員弁川左岸地域では農地開発が可能な平坦地は台地上に広がるため、農地整備にあわせて多数の溜池が作られ三重県屈指の溜池密集地帯となっています。
山郷大池もそんな溜池の一つで、1963年(昭和38年)(現地プレートでは昭和39年)に農林省(現農水省)の補助を受けた県営ため池等整備事業により竣工しました。
管理は山郷大池水利組合が受託しています。
地図を見ると池の南側の谷筋に平野新田や大辻新田と言った地名がありその中心に山郷小学校がありますので、池はこの辺りの水田に灌漑用水を補給していると思われます。

平野神社の参道を左に折れ、別荘の脇を下ると池の左岸に到着します。
左岸の越流式洪水吐。


洪水吐導流部
このまま猪入谷川となります。


天端はアスファルトで舗装され車の進入も可能です。
上下流面ともに草がかなり伸びています。


総貯水容量13万立米
田植えを控えて満水です。
池の西側にはゴルフ場があり時折プレーヤーの声が響きます。


上流面はコンクリートブロックで護岸。


右岸の斜樋機械室。


建屋に嵌め込まれた竣工銘板。
ダム便覧の竣工年度1963年(昭和38年)と1年ずれがあります。


下流面
草が伸び放題、農家の高齢化による人手不足は各地共通の課題
大きな土地改良区ならともかく、水利組合管理の池では毎年の草刈りもままならないのでしょう。


右岸堤体下の底樋桝。
ここで灌漑用水と河川維持放流が分水されます。


底樋桝から猪入谷川を交差する灌漑用の水路橋。

1311 山郷大池(1973)
ため池データベース 242140056  
三重県いなべ市北勢町鼓皷
員弁川水系猪入谷川 
 
 
22メートル(ため池データベース 25メートル) 
72メートル(ため池データベース 73メートル) 
130千㎥/130千㎥ 
山郷大池水利組合 
1963年

坂東溜

2023-05-02 18:00:37 | 三重県
2023年4月21日 坂東溜

坂東溜(ばんどうため)は三重県桑名市多度町美鹿の木曽川水系肱江川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
員弁川左岸地域では農地開発が可能な平坦地は台地上に広がるため、新田開発にあわせて多数の溜池が作られ三重県屈指の溜池密集地帯となっています。
現在のいなべ市員弁町坂東新田では農地開拓を進めるにあたり、至近に適当な水源がなかったことから境界や水系を超えた多度町(現桑名市多度町)の木曽川水系肱江川上流で水利権を確保しました。
ダム便覧の竣工年度は1963年(昭和38年)になっていますが、これは記録に残る改修や整備が竣工した年度で、実際には昭和初期に築造されたものと推察されます。
また池の建設費用の大半は受益者で組織された水利組合が賄ったようで、現在は水利組合を引き継いだ員弁町坂東溜土地改良区が管理を行っています。
なお北勢地域では溜池のことを単に『溜』と呼ぶことが多く、坂東溜のほかにも多数の○○溜という溜池が存在します。

坂東溜と受益地の坂東新田地区との位置関係。
市の境界、水系を跨いでおり、木曽川水系の水が流域変更して員弁川水系の坂東新田地区に送られます。


トヨタ車体の巨大な工場をやり過ごすといなべモータースポーツランドのモトクロスコースが現れます。


モトクロスコースの脇に池へ乗り口があります。
チェーンが掛かり関係者以外立ち入り禁止の警告板がありますが、今回は事前に土地改良区の立ち入り許可を頂いております。


歩くこと1~2分で天端脇に到着。
左手は斜樋機械室
天端には轍が残りますが、かなり草が伸びています。


斜樋。
上流面はコンクリートブロックで護岸されていますが、こちらも草が伸び放題。


貯水池
田植え時期を控えていますが、水位は低め。
総貯水容量はダム便覧では8万1000立米、ため池データベースでは4万立米。



左岸の越流式洪水吐
こちらはツツジなどの灌木が茂りご覧のありさま。
下りようと思いましたが、ヒルがいたのでやめました。


下流面も草ぼうぼう。


池の手前に下に続くトレースがあったので辿ってみると底樋桝発見。
ここで灌漑用水と河川維持放流を分水します。


底樋桝を下から見上げると。


堤体を下から見上げます
下半分が木が茂り森状態
見た目では便覧の堤高29.5メートルにはとても届かない感じ
ため池データベースの18メートルが妥当でしょう。


基部は石積みの擁壁。
堤体直下をパイプが通ります。
この先に洪水吐導流部があり、底樋桝で分水された河川維持放流用の水がこのパイプで送水されるようです。

坂東溜自体は木曽川水系肱江川の支流ですが、受益地の坂東新田は員弁川水系となり、流域変更して灌漑用水の補給が行われる点が味噌です。

1245 坂東溜(1971)
ため池データベース 242051001  
三重県桑名市多度町美鹿 
木曽川水系肱江川右支流 
 
 
29.5メートル(ため池データベース 18メートル) 
123メートル(ため池データベース 120メートル) 
81千㎥/76千㎥(ため池データベース40千㎥/40千㎥)   
員弁町坂東溜土地改良区 
1963年

員弁大池

2023-05-01 18:17:54 | 三重県
2023年4月21日 員弁大池

員弁大池は三重県いなべ市員弁町楚原の員弁川水系戸上川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
員弁川左岸地域では緩やかな丘陵地が広がり新田開発にあわせて多数の溜池が作られ、三重県屈指の溜池密集地帯となっています。
員弁大池は地域最大水源として1937年(昭和12年)に県営農業水利事業によって建設され約200ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
その後1991年(平成3年)にかけてのため池等整備事業により大規模改修が行われるとともに、水環境整備事業により池を含む一帯が『いなべ公園』として整備され、周辺住民の憩いの場となっています。
現在の管理は員弁地区土地改良区が行っています。
ダム便覧では堤高15メートルとなっている一方、ため池データベースでは14.4メートルとなっており、こちらを採ればダムの要件未達となります。

下流から
大池という名前からかなり下流から遠望できるのか?と思いきや、谷の出口にあるため池の下流200メートルほどで初めて姿を見せます。



堤高15メートル、堤頂長165メートルの横長堤体(便覧ベース)
ダムのすぐ下を灌漑用水路が流れます。


左岸ダム下の底樋管と分水工
洪水吐斜水路もここに合流し、2系統に分水されます。


左岸には各種記念碑や説明板が並びます。
こちらは竣工記念碑。


1991年(平成3年)竣工の改修記念碑。


総貯水容量55万立米と周辺の溜池中最大規模の貯水池。
貯水量の大半は北勢町中津原の蓮華谷から導水されています。
貯水池に隣接して「いなべ公園」があり、湖畔にも遊歩道が整備されています。
左手はさくら橋で、このほかにも2つの橋が架けられています。


天端から
写真左下に3枚目写真の分水工があります。
一般にアースダム下流面への立ち入りは禁じられていますが、ここはワラビやフキ等が採れ立ち入りOK。


公園が開放される9時から17時までは天端も車両通行できます。
奥に見えるのはいなべ公園のシンボルタワー。

左岸の斜樋。


左岸を洪水吐が流下し斜水路沿いに遊歩道が設けられています。


左岸にも石碑
こちらは溜池築造に尽力した和波久衛氏の顕彰碑。


洪水吐斜水路。


上流面を超広角で
上流面はコンクリートブロックで護岸
洪水吐も含めて1991年(平成3年)にかけての改修で整備されました。

地域住民の憩いの場となっており、9時の開園にあわせて駐車場には続々と車が来訪します。
その多くがシニアで、公園や遊歩道でウォーキングやランニングを楽しむようです。

1300 員弁大池(1970)
ため池データベース 242140003  
三重県いなべ市員弁町楚原 
員弁川水系戸上川右支流 

 
15メートル(ため池データベース 14.4メートル
165メートル(ため池データベース 179メートル)
650千㎥(ため池データベース550千㎥)/550千㎥
員弁地区土地改良区
1940年

大沢池(下大沢池)

2018-02-19 13:01:49 | 三重県
2018年2月11日 大沢池(下大沢池)
 
大沢池(下大沢池)は三重県伊賀市下友田にある灌漑用目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では1936年(昭和11年)に鞆田土地改良区により建設と記されていまが、下大沢池の経緯度の記載はなく、フォトアーカイブスへの投稿などでは現地に下大澤池の記念碑が建立されている『大沢池』が下大沢池とされています。
ここではダム便覧のフォトアーカイブスに習い『下大澤池』の石碑がある『大沢池』を下大沢池として記載します。
ただ、ため池データベースでは大沢池の堤高は14.5メートルとなっており、仮にここが下大沢池だったとしてもダムの要件は満たしていません。
 
左岸から
ダム便覧では堤頂長150メートルとなっていますが、目視でもせいぜい30メートル程度。
ため池データベースの32メートルが妥当な数字です。
上流面はコンクリートで護岸。
 
左岸の取水設備。
水没していますが尺八樋です。
 
2基の記念碑
この表面に『下大澤池』の名が刻されていますが、裏側の写真しか撮らなかった><。
 
下流面
ため池データベースでは14.5メートル。
 
天端。
 
ため池データベースでは総貯水容量15万4000立米。
 
右岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
『下大澤池』の石碑をもって、大沢池を下大沢池と比定したとしても堤高は15メートルに及ばずダムの要件を満たすことができません。
 
1298 大沢池(下大沢池)(1243)
ため池コード
三重県伊賀市下友田
淀川水系鞆田川右支流
14.5メートル(ダム基準未達)
32メートル
154千㎥/154千㎥
管理者未確認
1930年

西米の川ダム

2018-02-19 11:46:15 | 三重県
2018年2月11日 西米の川ダム
 
西米の川ダムは三重県伊賀市丸柱の淀川水系米之川源流部にある上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
1982年(昭和57年)に当時の阿山町によって建設され、現在は市町村合併に伴い伊賀市上下水道部が管理を行っています。 
 
伊賀市丸柱にある伊賀焼伝統産業会館先で国道422号を南に折れ、集落を抜けたどん詰まりに西米の川ダムがあります。
洪水吐は自由越流式クレストゲート1門だけと自治体管理の上水用ダムではよくあるタイプ。
 
ダム下から。
 
減勢施設としてバッフルピアが並びます。
 
ダム下にあるこの施設は灌漑用水向けの施設で、門扉の先には円筒分水工があります。
 
ダムの概要。
 
上水道用水に加えて灌漑用水の取水行われていますが、灌漑用水については既得取水権でありダムの貯水容量には含まれないのでダムの目的は『W』のみとなります。
 
1334 西米の川ダム(1242)
三重県伊賀市丸柱
DamMaps
淀川水系米之川
18.5メートル
65.3メートル
103千㎥/79千㎥
伊賀市上下水道部
1982年

大正池

2018-02-16 01:18:57 | 三重県
2018年2月11日 大正池
 
大正池は左岸三重県伊賀市石川、右岸伊賀市丸柱の淀川水系丸柱川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1935年(昭和10年)に大正池耕地整理組合の事業により竣工と記されていますが、池の名前は「大正池」です。
名前が大正池にもかかわらず竣工年度が昭和というのが納得のゆかないところで、実際の池の起源は大正時代に遡り昭和10年に改修が竣工したのか?それとも溜池築造に着手したのが大正期だったのか?そのあたりの事情が気になるところです。
 
大正池から延びるる灌漑用水路沿いを北に約600メートル歩きます。 
 
池の手前に洪水吐からの導水路が現れます。
ちょうど減勢工にあたる部分でしょうか?
やや扇形の美しい石積みのエンドシルです。
 
堤高15.5メートルの堤体
奇麗に刈り払われ、斜めに天端への踏跡が続きます。
 
ちょっとわかりづらいですが、取水設備からの底樋樋門。
 
天端。
 
天端から。
 
上流面と左岸の斜樋。
 
斜樋の操作室は国会議事堂風。
 
上流面は谷積の石で護岸。
 
総貯水容量は28万5700立米。
貯水池のまわりはゴルフ場。
 
取水設備からさらに湖岸を進むと洪水吐に行けますがが、倒木が道を塞いでいたので無理はしませんでした。
 
1296 大正池(1241)
ため池コード
三重県伊賀市石川
淀川水系丸柱川左支流
15.3メートル
71メートル
480千㎥/480千㎥
管理者未確認
1935年

滝谷池

2018-02-15 23:25:36 | 三重県
2018年2月11日 滝谷池
 
滝谷池は三重県伊賀市槙山の淀川水系河合川(上流では滝谷川)源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑には三重県の事業で1956年(昭和31年)に建設され、さらに県のため池等整備事業で改修が行われたと記されています。
滝谷池の管理は阿山町土地改良区が行っており、ここで取水された水は約2.2キロの導水路で玉瀧地区に送られます。
なおダム便覧では堤高23.5メートルとなっていますが、ため池データベースでは21.5メートルとなっておりここではデータベースの数字を採用します。
 
左岸天端わきに竣工記念碑や県の整備事業の案内板などが建っています。
天端にはチェーンが張られ車の進入はできません。 
 
竣工記念碑
1956年(昭和31年)の池完成時に建立されました。
戦後の石碑にしてはずいぶん年季が入っています。
 
左岸の斜樋
円形のちょっとしゃれた建屋です。
伊賀市のため池の取水設備建屋は凝ったものが多いですね。
 
天端からの眺め
集落までは約2キロ、延々と森が続きます。
 
総貯水容量は80万立米で、山中にある溜池としてはかなりの規模です。
 
天端
轍がありますが、関係者以外の車両は進入できません。
 
奇麗に刈り払われた堤体。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
また右岸が弓型に湾曲しています。
 
右岸の越流式洪水吐。
 
底樋や玉瀧地区へ続く水路も見てみたかったのですが、堤体を歩いて下るのは自重したため確認できませんでした。
 
1304 滝谷池(1240)
ため池コード
三重県伊賀市槙山
淀川水系河合川(滝谷川)
21.5メートル
246メートル
800千㎥/800千㎥
阿山町土地改良区
1956年

滑湖

2017-03-06 10:53:44 | 三重県
2017年2月27日 滑湖
 
滑湖で『なめりこ』と読みます。
滑湖は三重県松阪市の旧嬉野町にある灌漑用アースダムで、三重県の事業で1973年(昭和48年)に整備され一志南部用水土地改良区が管理を行っています。
ダム周辺は桜が多く植えられ桜の名所となっており、毎年4月上旬には桜祭りが実施され多くの人でにぎわいます。
またダム湖を周回するトリムコースが整備され周辺住民の憩いの場となっています。
 
中村川沿いに県道30号を南下し『なめり湖』の標識に従って左折すると滑湖に到着します。
堤体は桜が植えられ公園になっており駐車場も整備されています。
 
下流面はきれいに刈り払われています。
 
右岸に階段があり歩いて天端に登ります。
 
ダム湖は独特のエメラルドグリーンのきれいな湖面です。
 
天端は歩行者のみ通行可
ダム湖を一周するトリムコースになっています。
 
左岸洪水吐。
 
上流面は上段がコンクリート、下段がロック材で補強されています。
 
右岸の斜樋。
 
上流側から洪水吐。
 
ダム下流にある分水工。
 
1321 滑湖(0853)
三重県松阪市嬉野森本町
雲出川水系中村川
28.4メートル
180メートル
一志南部用水土地改良区
1973年

斎宮調整池

2017-03-04 02:42:25 | 三重県
2017年2月27日 斎宮調整池
 
斎宮調整池は三重県多気郡明和町と一部玉城町にまたがる灌漑用アースダムで、農水省の宮川用水第二期土地改良事業により2011年(平成23年)に建設され宮川用水土地改良区が受託管理を行っています。
宮川上流の栗生頭取工で取水され伊勢平野を縦断する宮川用水の調整池として、ともに江戸時代を起源とする斎宮池と惣田池を合体させて建設されました。
貯水容量は200万立米にアップし宮川の水量に余裕のあるときに貯水し、需要期に活用する宮川用水の調整池となっています。
本堤のほかに第1~第3までの副堤がありますが、副堤はすべて堤高15メートル未満のためダム便覧には掲載されていません。
 
県道39号から県道119号へ向かう農免道路を南下すると斎宮調整池の堤体が見えてきます。
 
右岸に立派な駐車場があり大きな案内板が立っています。
ダム湖を周回する道路は一部を除き車両通行止めですが、徒歩なら立ち入り自由で地元のみなさんのウォーキングコースになっています。
 
下流面と天端
天端は車両通行止め。
 
貯水池
二つの溜池を合体させたためリアス式海岸のような複雑な形状で中の島もあります。
 
天端と上流面
右岸の管理事務所と斜樋。
 
左岸洪水吐
2011年竣工ということでコンクリートは白いままです。
 
洪水吐導流部。
 
洪水吐と上流面。
 
左岸から上流面。
 
第2副堤の上流面。
 
第2副堤の下流面、旧惣田池の主堤だったところです。
堤高14.5メートルと15メートルにわずかに及びませんが、堤頂長は223メートルと主堤を凌ぎます。
 
3263 斎宮調整池(0852)
三重県多気郡明和町池村
河道外水系
16メートル
181メートル
宮川用水土地改良区
2011年

河内ダム

2017-03-03 18:37:22 | 三重県
2017年2月27日 河内ダム
 
河内ダムは三重県鳥羽市の加茂川左支流河内川にある重力式コンクリートダムで、農林省(現農水省)の補助を受けた三重県の事業で1963年(昭和38年)に建設された農地防災ダムです。
加茂川流域では1959年(昭和34年)の伊勢湾台風で900戸近い家屋が浸水被害を被る甚大な被害が発生し、これを受けて加茂川本流の松尾ダムとともに建設されました。
 
国道167号線の杉ヶ瀬川西交差点から河内川沿いに市道を西進し、第二伊勢道路の高架橋から約1キロ遡上したところに河内ダムがあります。
ダムの天端は車道になっており車両の通行が可能です。
上流側の建物はゲート操作室です。
 
天端からみた下流側
通常は堤体下部の穴から水が流下しています。
 
防災ダムということで上流は水がたまっていません。
 
左岸の崖を下り堤体の下流に下りることができました
手前は副ダムです。
 
堤体直下から写真を撮ることができましたが撮影ポイントの少ないダムです。
松尾ダム、河内ダムの建設後も加茂川流域では大きな洪水被害が発生しており、現在河内ダムの下流に三重県により洪水調節と不特定利水を目的とした鳥羽河内ダムの建設が計画されています。
 
1305 河内ダム(0851)
三重県鳥羽市河内町
加茂川水系鳥羽河内川
24メートル
78メートル
鳥羽市
1963年

松尾ダム

2017-03-03 17:19:36 | 三重県
2017年2月27日 松尾ダム
 
三重県鳥羽市を南北に貫流する加茂川水源域は堆積岩で形成された脆い地盤となっており豪雨のたびに流域に洪水被害をもたらしてきました。
とくに1959年(昭和34年)の伊勢湾台風では計900戸近い家屋が浸水被害を被る甚大な被害が発生しました。
これを受け加茂川上流の鈴串川に松尾ダム、支流の河内川に河内ダムという2基の防災ダムが建設されました。
2基のダムはともに農林省(現農水省)の補助を受けて三重県が建設した農地防災ダムで、現在は鳥羽市が管理を行っています。
 
国道167号線の松尾北交差点から県道47号に入り相差方面に走ると松尾ダムに到着します。
といっても、松尾ダムの天端が県道になっており注意して走らないと橋と間違えて通り過ぎてしまいます。
左岸から
松尾ダムの天端が県道です。
 
天端から下流面
通常は堤体下の2箇所の穴を水が流下します。
 
ダムの下流の眺め。
 
右岸の竣工記念碑。
 
県道47号はセンターラインのない狭い道路ですが、結構な通行量があります。
 
防災専用ということで通常は堤体下部の2カ所の穴を水が流下しダム湖はありません。
 
水がたまっていないのでダムの直上に下りることができます。
 
下流から。
 
2基の防災ダム建設後も加茂川流域では1982年(昭和57年)と1988年(昭和63年)に大きな洪水被害が発生しました。
そのため現在三重県により洪水調節及び不特定利水を目的とした重力式コンクリートダムの鳥羽河内ダムの建設が計画されています。
また一昨年10月からスタートしたダム巡りはこの松尾ダムが記念すべき850基目のマイルストーンとなりました。
 
1310 松尾ダム(0850)
三重県鳥羽市松尾町
加茂川水系鈴串川
17メートル
63.6メートル
鳥羽市
1963年

神路ダム

2017-03-03 14:45:39 | 三重県
2017年2月27日 神路ダム
 
神路で『かみじ』と読みます。
神路ダムは三重県志摩市磯部町の磯部川(神路川)にある上水道目的のアースダムで、三重県により1972年(昭和47年)に建設されました。
降水量は豊かなものの大河がない志摩半島では渇水期の水源確保が長年の課題でした。これを受けて三重県企業庁が建設したのが神路ダムで当初は上水道と灌漑用水の水源として計画されましたが、観光客の増大などによる予想以上の需要拡大により上水道専用ダムとして建設されました。
ここで取水された水は磯部浄水場を経て志摩水道として給水されています。
当初は三重県企業庁が管理をしていましたが、平成の大合併に伴い志摩水道の給水範囲が志摩市のみとなったため2011年(平成23年)にダムを含め水道施設は志摩市に移管されました。
 
神路ダム湖畔を伊勢と磯部を結ぶ伊勢道路(県道32号線)が通っておりアプローチは簡単です。
ダムサイトにある竣工記念碑。
 
左岸管理所。
 
天端は車両進入禁止。
 
ダム湖
ダム湖左岸に伊勢道路が通っており3カ所の橋梁でダム湖を渡っています。
橋梁部分は万一の自動車転落に備えてオイルフェンスが張られています。
 
下流面はきれいに刈り払われています
洪水吐の改修工事関係車両が止まっています。
 
右岸洪水吐
現在洪水吐の改修工事中です。
 
洪水吐導流部。
 
インクラインと斜樋。
 
右岸から下流面。
 
本来ならダム下流側からも見学できるのですが、洪水吐の改修工事のため今回は立ち入ることができませんでした。
 
追記
神路ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに7万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1318 神路ダム(0849)
三重県志摩市磯部町恵利原
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
磯部川水系磯部川
29.6メートル
155.3メートル
㎥/㎥
志摩市
1972年
◎治水協定が締結されたダム

小桂池

2017-01-17 16:22:17 | 三重県
2017年1月3日 小桂池
 
小桂池は三重県度会郡大紀町にある灌漑用アースダムでダム便覧によれば1895年(明治28年)に野添地区によって建設されました。
現在も野添地区が管理を行っています。
 
県道38号線から小桂池に通じる道が近道ですが道幅があまりにも狭いので、今回は上流からアプローチしました。
天端と上流面
上流面は石積みです。
 
天端中央の池栓。
 
溜池
集落のすぐ裏手にありますが深山の趣十分。
 
左岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
 
下流面
ダムの下は杉の植林。
 
堤体直下で洪水吐からの水路と取水設備からの水路が合流します。
 
1292 小桂池(0814)
三重県度会郡大紀町野添
宮川水系藤川
15メートル
48メートル
野添地区
1895年

中沖池

2017-01-17 15:20:30 | 三重県
2017年1月3日 中沖池
 
中沖池は三重県多気郡大台町にある灌漑用アースダムでダム便覧によれば1990年(平成2年)に上菅水利組合によって建設されました。
現在は上菅地区が管理を行っています。
 
国土地理院地形図では中沖池左岸へ太い道が通じているように書かれていますがこちらは私有地となるため通行できません。
県道424号から右岸に通じる道を進むと中沖池まで直接車で乗り付けることができます。
右岸に不動明王が祀られています。
溜池がつくられる前にはここに滝があったのかもしれません。
 
天端
車両乗り入れ禁止のための棒が立っています。
 
洪水吐。
 
下流側から洪水吐。
 
上流面
コンクリートで補強されいます。
 
下流の眺め
宮川を挟んで対岸には持越池があります。
 
溜池
もろ逆光になってしまいました。
 
天端中央にある斜樋。
 
堤体の下に下りることができます。
右岸洪水吐導流部。
 
下流面。
 
1282 中沖池(0813)
三重県多気郡大台町上菅
宮川水系中沖川
17メートル
113メートル
上菅地区
1990年

持越池

2017-01-17 14:01:49 | 三重県
2017年1月3日 持越池
 
持越池は三重県多気郡大台町にある灌漑用アースダムでダム便覧によれば1877年(明治10年)に下真手地区により建設されました。
現在も下真手地区が管理を行っています。
持越池周辺は真手公園として整備され、堤体直下や溜池をまたぐ橋の上に東屋がつくられています。
 
宮川沿いに走る県道31号の亀谷バス停の先を西に折れ真手公園の標識に従って集落を抜けると持越池に到着します。
堤体直下は公園として整備されています。
桜の木が多いので花見のころには周辺住民で賑わうんでしょうね?
 
堤体基部の取水口からの底樋吐口。
 
下流面
右岸に階段があり歩いて堤体を登れます。
 
上流面
維持積みで補強されています。
アヒルが2ファミリーほど泳いでおり近づいても逃げないので餌付けされてるようです。
 
洪水吐。
 
天端。
 
天端中央にある斜樋。
 
天端からの眺め
今は冬枯れですが花見や新緑の頃はまた違った景色が広がるんでしょう。
 
池は総貯水容量6万立米。
湖岸にも桜が植えられています。
 
池をまたぐ橋
車道になっており中央に小さな東屋があります。
道路はさらに上流にある溜池に続くようです。
 
1291 持越池(0812)
三重県多気郡大台町下真手
宮川水系宮川
16メートル
60メートル
下真手地区
1877年