ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

新穂ダム

2022-05-03 13:00:00 | 新潟県
2022年4月24日 新穂ダム
 
新穂(にいぼ)ダムは新潟県佐渡市上新穂の国府川水系国府川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
佐渡市南東部、国中平野東端に位置する旧新穂村は古くから開拓が進み、朱鷺の里として知られる農業地帯です。
しかし水源となる国府川や大野川は流域面積が小さく雨水の河川流出が早いため、慢性的な用水不足に悩まされてきました。
そこで1943年(昭和18年)に『新穂村土地改良事業』が着手されその水源として着工されたのが新穂ダムです。
しかし戦争の激化や終戦後の混乱により事業は遅延、戦後『県営かんがい排水事業新穂地区』に引き継がれ、1958年(昭和33年)に新潟県最初の農業用ダムとしてようやく竣工しました。
完成後は新穂村土地改良区が管理を受託し、約850ヘクタールの水田への用水供給が開始されました。
しかし、昭和後半以降の圃場整備等により新穂ダムの用水不足が顕在化します。
そこで県は新たに農水省の補助を受けた『かんがい排水事業新穂第2期地区』に着手し1991年(平成3年)に当ダム上流約1.5キロ地点に新穂第2ダムが完成します。
これにより新穂ダムの用水不足は解消、現在では両ダム合わせて約900ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。

左岸から
堤高33.2メートル、堤頂長236.2メートルの横長ダムです。
天端や中段にはツツジが植えられています。


ダム下から
ダム下広場は桜とツツジが見ごろの4月5月のみ開放されますが、訪問時は桜は散りツツジは蕾という残念なタイミング。
読みづらいですが堤体に『ニイボダム』と書かれています。


分水ゲート
奥に斜樋からの底樋門が見え、このゲートで2系統に分水されます。


新穂地区はトキ保護センターが置かれた朱鷺の里として知られています。
新穂ダム各所にトキの装飾やモニュメントがありさながらトキのダム。
こちらは親柱。


洪水吐に架かる管理橋の欄干。

左岸の洪水吐導流部
ダムには1500本の桜が植えられていますが、訪問時はすでに葉桜。


天端は徒歩のみ通行可能
こちらにはツツジが植えられていますがまだ蕾・・・・。


4月5月のみ開放されるダム下広場
正面には大佐渡山脈が一望できます。


総貯水容量140万9000立米の貯水池
上流1.5キロには新穂第2ダムがあります。


右岸の斜樋
シャフトは7本。


上流面はコンクリートで護岸。


横越流式洪水吐
越流部手前にずいぶん土砂が堆積しています。




ダムサイトのトキのモニュメント。

0746 新穂ダム(1804)
新潟県佐渡市上新穂
国府川水系国府川
33.2メートル
236.2メートル
1409千㎥/1242千㎥ 
新穂村土地改良区
1958年

尾嵩河内溜池

2022-05-03 08:00:00 | 新潟県
2022年4月24日 尾嵩河内溜池
 
尾嵩河内(おだけごうち)溜池は新潟県佐渡平清水の国府川水系江尻川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では尾嵩郷地水利組合の事業で1933年(昭和8年)と記されていますが、佐渡市溜池ハザードマップでは竣工年度は昭和3年(1928年)となっています。
現在の管理は金井土地改良区が行い約70ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。

市道から池に通じる道路入り口に関係者以外立ち入り禁止と書かれたバリケードがあります。
今回は事前に土地改良区の許可を得ております。
バリケードから東に約300メートル歩くと池の右岸に出ます。
右岸の斜樋。


上流面。


天端。

天端から
右手に底樋管からの灌漑用水路が伸びます。


望遠で撮るとかすかに真野湾が見えます。
『海が見えるダム』認定。


貯水容量は10万4000立米(ため池データベース)
約70ヘクタールの水田の水源です。


下流面
秋に草が刈られたようですっきり
写真左手に上記用水路が伸びます。


左岸から
天端にはフキが密生・・・・
今日帰京するなら摘んで帰ったんですが…。


左岸の越流式洪水吐。


洪水吐導流部
洪水吐沿いも一面フキが生えています。。


池の下流250メートルほどの道路わきに当池の創設に大きく寄与した個人の顕彰碑が建っていますが、草に覆われ判読不明。

0723 尾嵩河内溜池(1803)
ため池コード 152240100
新潟県佐渡市平清水
国府川水系江尻川
15.6メートル(ため池データベース20.3メートル)
73メートル
170千㎥/150千㎥(ため池データベース104千㎥) 
金井土地改良区
1933年(佐渡市溜池ハザードマップ 1928年)

羽茂ダム

2022-05-03 01:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 羽茂ダム
 
羽茂ダムは新潟県佐渡市下川茂の羽茂川水系逆(さかしま)川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
佐渡は離島としては珍しく広大な農地を有する一方、水源となる河川はいずれも流域面積が小さく雨水の河川流出が早いため、慢性的な用水不足に悩まされてきました。
これを受け島内各河川で農林省(現農水省)の補助を受けた農業水利事業が進められました。
羽茂川流域では1952年(昭和27年)に県営羽茂川沿岸用水改良事業が着手され、その灌漑用水源として1968年(昭和43年)に竣工したのが羽茂ダムです。
運用開始後は羽茂土地改良区が管理を受託し、現在は羽茂川流域約147ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。

県道81号佐渡縦貫線から市道を南下すると羽茂ダムに到着します。
ダム右岸を市道が通りますが、下流からの撮影ポイントはありません。
天端はダートですが車両は乗り入れ可能です。


右岸の横越流式洪水吐。


総貯水容量56万5000立米の貯水池。
右岸に斜樋があり、上流では市道の赤いトラス橋が貯水池を跨ぎます。


下流面
提体は秋に草が刈られたようです。
堤体に踏み跡がないのでダム下に下りるのは自重、底樋管は確認していません。


左岸から
天端にガードレールがあるのは竹田川ダムと同じ。
左岸湖岸沿いを林道が続きます。


上流面
水面下はコンクリートで護岸されているようですが満水のため見えません。


上流側から見た横越流式洪水吐
薄く越流しています。


右岸の斜樋手前に駐車スペースがあります。


羽茂ダムの概要説明版。

佐渡ではおなじみ、新潟農業水利施設百選の説明版。

0756 羽茂ダム(1802)
新潟県佐渡市下川茂
羽茂川水系逆川
26.3メートル
91.2メートル
565千㎥/460千㎥ 
羽茂土地改良区
1968年

帰流川溜池

2022-05-02 17:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 帰流川溜池
 
帰流川(かえるがわ)溜池は新潟県佐渡市下川茂の西三川川水系帰流川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
記念碑によれば1943年(昭和18年)に耕地整理組合の事業で着工されるも戦争激化で中断、戦後国営代行開墾事業で再開され『着工以来二十有余年にして竣工』と記されています。
佐渡市の溜池ハザードマップでは竣工年度は1959年(昭和34年)になっており、記念碑の年度とはずれがありますが、記念碑の竣工が『開墾事業』」全体の竣工と解釈すれば齟齬は生じないと思います。
管理は羽茂土地改良区が行い、31ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
帰流川溜池は堤高19メートルとダムの要件を満たしていますが、ダム便覧には未掲載です。
ダム便覧ではかつて『帰る川ダム』が掲載されていたものの、2009年に削除されています。
削除の経緯はわかりませんが、掲載当時のダムの所在地が当池と完全に一致すること、ダムのスペック等についてもほぼ一致することから帰流川溜池=帰る川ダムとするのが妥当でしょう。
早晩資料を揃えて、ダム協会に提出するつもりです。

※2022年(令和4年)にダム協会にに情報提供後、審査の上2024年(令和6年)に『帰流川溜池』としてダム便覧及びダム年鑑に再掲載されました。

市道から池に車道が通じています。
近年大規模な改修がありました。


堤体上流面には真新しい斜樋。


総貯水容量21万6000立米の貯水池
約30ヘクタールの水田の水源となっています。


左岸の旧取水設備機械室。


下流面は2段構成
草の付き具合から見ると改修が竣工したのは1~2年ほど前か?


上流面
ウレタン製の防水素材で遮水されています。


下流面から
堤高19メートル、堤頂長94メートル。


基部は石積み擁壁
ダム下に底樋管があります。


底樋管。

池の東方250メートルの県道わきに建つ記念碑。
池の竣工記念碑ではなく、池も含めた開墾事業の記念碑です。

実は池の北側、堤体とは小さな小山を挟んだ右岸の先に越流式洪水吐があったのですが、完全に見落としてしまいました。

3421 帰流川溜池(2032)
ため池コード 152240183
新潟県佐渡市下川茂
西三川川水系帰流川
19メートル
94メートル
211千㎥/211千㎥ 
羽茂土地改良区
1959年

金山溜池

2022-04-30 22:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 金山溜池
 
金山(きんざん)溜池は新潟県佐渡市静平の西三川川水系十五番川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧及び佐渡市の溜池ハザードマップによれば1965年(昭和40年)竣工となっていますが、事業者は不明です。
管理は真野町土地改良区が行い7.8ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
なおダム便覧の金山溜池の掲載写真のうち「marcの人」名義で投稿されたトップページ及びフォトアーカイブスの写真はすべて金山溜池南東2キロにある『帰流川溜池』のものであり誤りです。

金山溜池左岸を県道432号静平西三河線が通ります。
県道から上流面。


天端入り口にはバリケードがありますが徒歩での立ち入りは規制されていません。
関係者のものと思われる轍が残ります。


総貯水容量6万6000立米の小さな溜池。
田植えも近くほぼ満水。


右岸の洪水吐
簡易な洪水吐で越流部は盛土が高くなっているだけ。


右岸から上流面
対岸を県道が通りますが、見学中走る車は1台もなし。


右岸の取水設備
昔ながらの簡易な木の池栓。


堤高15メートルの下流面。
秋に草が刈られたのか、すっきりした状態です。


洪水吐導流部
途中の木は引っかかっているのではなく、越流した水を灌漑用水路に送るために置かれたものです。


洪水吐導流部と利水用のゲート
上記池栓からの水をこのゲートで調整します。


逆アングルから
ハンドルの下を池栓からの水路が通ります。
さらに下流に底樋管があるのかもしれませんが、草が深く断念しました。

3422 金山溜池(1801)
ため池コード 152240179
新潟県佐渡市静平
西三川川水系十五番川
15.3メートル(ため池データベース 15メートル)
79.1メートル(ため池データベース 77メートル)
66千㎥/62千㎥ 
真野町土地改良区
1965年

外山ダム

2022-04-30 13:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 外山ダム
 
外山ダムは新潟県佐渡市上川茂の羽茂川本流源流部にある灌漑目的の重力式コンクリート・フィル複合(フィルコンバインド)ダムです。
佐渡は離島としては珍しく1万ヘクタールにもおよび広大な農地が広がりますが、水源となる河川はいずれも流域面積が小さく慢性的な用水不足に悩まされてきました。
戦後、農水省の補助を受けた県営事業により7基の農業ダムが建設され700万立米の水源が確保されますが、一方で圃場整備の進展や特産の柿栽培など畑作農地への用水補給など新たな水源確保が求められるようになりました。
これを受け1991年(平成3年)に農水省による『国営佐渡農業水利事業』が着手され、2006年(平成18年)の小倉ダムに次いで2012年(平成24年)に竣工したのが外山ダムです。
外山ダムは佐渡では最も新しいダムで、完成後は佐渡市農林水産部が管理を受託し佐渡南西部の旧真野町、小木町、羽茂町、赤泊町の約900ヘクタールの水田や畑地に灌漑用水を供給しています。

県道81号佐渡縦貫線がダムへのアクセス道路となります。
ダム下流で県道から羽茂川沿いの旧道に入るとダム下に到着します。
残念ながらダムの手前にフェンスがありこれが精いっぱい。
ダム下には放流設備と受益地へ送水するための揚水機場が並びます。


右岸ダムサイト高台に展望台があります。
堤頂長181メートルのうち160メートルが重力式コンクリート、左岸の20メートルがゾーン型ロックフィルダムです。




ダムの敷地の入り口には関係者以外立ち入り禁止と記されたフェンスがあります。
事前に佐渡市農林水産部に問い合わせ立入り許可を頂きました。
左岸から下流面。
薄く越流しています。


上流面
クレスト自由越流頂6門と半円形の取水設備。


右岸管理事務所と繋留設備。


ガッツリ系の堤趾導流壁
手前が放流設備、奥が揚水機場。
河川維持放流が行われ屈曲した減勢工の先にエンドシルがあります。


導流部と減勢工。


総貯水容量260万立米のダム湖。
外山ダムの完成で、従来用水不安のあった佐渡南西部の水田及び柿を中心とした果樹園地等への用水補給が万全となりました。


左岸から
手前の傾斜がついた部分がフィル堤体となります。
万一堤体越流が発生した際にフィルの崩壊を防ぐためにフィル部分だけ高くなっています。


重力式コンクリートとロックフィルの接続部。


上流面。

外山ダムが1800基目のマイルストーンとなりました。
昨年10月の1700基目の一ツ瀬ダムから約半年、できれば年内に1900基まで伸ばしたいものです。

2940 外山ダム(1800)
新潟県佐渡市上川茂
羽茂川水系羽茂川
GF
46.1メートル
181メートル
2600千㎥/2250千㎥ 
佐渡市農林水産部
2012年

坪山ダム

2022-04-29 21:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 坪山ダム
 
坪山ダムは新潟県佐渡市小倉の国府川水系筍根川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
17世紀初頭の佐渡金山開山を契機に佐渡では人口が急増、これに合わせて島内各所で新田開発が進みました。
佐渡の代表的棚田として知られる小倉千枚田もその一つで、1650年(慶安3年)から開田が進みピークには5ヘクタールの棚田が斜面を埋め尽くしました。坪山ダムの前身となる坪山溜池は小倉千枚田の水源確保のために江戸前期に築造されたと思われます。
その後1997年(平成9年)に県の溜池改修事業による大規模改修が行われ、ダム便覧ではこの事業の竣工を竣工年度としています。
一方小倉千枚田は昭和50年代以降、過疎化や高齢化による耕作放棄が急増し2000年代に入るとほぼ荒廃地寸前の状態となりました。
2010年(平成20年)に小倉千枚田管理組合が設立され棚田オーナー制度を取り入れながら管理・保全活動に取り組み、現在は1.5ヘクタールほどで生産が行われており、坪山ダムはその水源として活用されています。

小倉千枚田から荒れたダート道を東へ1.5キロほど走ると坪山ダムに到着します。
ダム便覧のフォトアーカイブスには草が茂りかなり荒れた様子の写真が掲載されていますが、小倉千枚田の復活に合わせて坪山ダムも手入れがされているようです。


土が緩いので下に降りるのは自重します。
堤高20.5メートルとのことですが、見た目は5メートルほどしかありません。


総貯水容量21万6000立米
千枚田の復活には不可欠な貯水池です。


左岸から
天端には見渡す限りのフキノトウ
残念ながら花を咲かせていますが、あと1週間も早く来たら入れ食い状態でした。


左岸の簡易な洪水吐。


越流堤は水面下。


導流部と減勢工。


取水設備や底樋管は確認できませんでした。
こちらは小倉千枚田の概要板
2000年代に入り荒廃の一途を辿った中、一口オーナー制度により復活しました。


5月の田植えを控え、すでに水が張られています。
この水は坪山ダムを水源とする筍根川から取水しています。


下に見えるのは小倉ダム貯水池の朱鷺湖。

0729 坪山ダム(1799)
新潟県佐渡市小倉
国府川水系筍根川
20.5メートル
94メートル
216千㎥/196千㎥
佐渡市農林水産部 
1997年

小倉ダム

2022-04-29 15:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 小倉ダム
 
小倉ダムは新潟県佐渡市小倉の国府川水系小倉川源流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
佐渡は離島としては珍しく1万ヘクタールにもおよぶ広大な農地が広がりますが、水源となる河川はいずれも流域面積が小さく慢性的な用水不足に悩まされてきました。
戦後、農水省の補助を受けた県営事業により7基の農業ダムが建設され700万立米の水源が確保されますが、一方で大型機械導入を目的とした圃場整備の進展や、特産の柿栽培など畑作農地への用水補給など新たな水源確保が求められるようになりました。
これを受け1991年(平成3年)に農水省による『国営佐渡農業水利事業』が着手され、その灌漑用水源として2006年(平成18年)に竣工したのが小倉ダムです。
小倉ダムは離島のダムとしては最大の総貯水容量445万立米を誇り、完成後は佐渡市農林水産部が管理を受託し約1600ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
さらに2012年(平成24年)には同事業により外山ダムが完成、佐渡の農業水利事情は盤石のものとなりました。

ダム下から
利水放流や河川維持放流を利用し佐渡市小倉小水力発電所(最大184キロワット)が付設されています。


小水力発電の水利使用標識。


ロックフィルの堤体と地山を挟んで流下する洪水吐斜水路。


斜水路はかなりの急傾斜で末端にはシュートブロックが設置されています。


減勢工下流側
エンドシルの下流にはバッフルブロックが並びます。


リップラップ
堤高64メートル、堤頂長236メートルと農業用ダムとしては屈指のスケール。


朱鷺(とき)湖と命名されたダム湖。
総貯水容量445万立米は離島のダムとしては最大。


右岸の取水設備
すごい数のシャフトが並びます。


上流面。


左岸の横越流式洪水吐。


左岸高台から
広角レンズでデフォルメされていますが、洪水吐導流部は大きく湾曲して斜水路へ続きます。


上流から
ダムの上流には整備された棚田が続きます。
そしてダムの彼方には雪が残る大佐渡山脈が遠望できます。

小倉ダム天端にはチェーンが張られ『進入禁止』と記されています。
管理する佐渡市に確認したところ、あくまでも車両進入禁止の意であり徒歩での立ち入りは規制していないとのことでした。

2941 小倉ダム(1798)
64メートル
236メートル
4450千㎥/4200千㎥ 
佐渡市農林水産部
2006年

小倉川ダム

2022-04-29 11:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 小倉川ダム
 
小倉川ダムは新潟県佐渡市小倉の国府川水系小倉川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
佐渡は離島としては珍しく広大な農地を有する一方、水源となる河川はいずれも流域面積が小さく雨水の河川流出が早いため、慢性的な用水不足に悩まされてきました。
これを受け島内各河川で農林省(現農水省)の補助を受けた農業水利事業が進められました。
小倉川および竹田川流域では1956年(昭和31年)に県営国府川左岸用水改良事業が着手され、両河川を水源とする灌漑設備が整備されました。
そしてその灌漑用水源として竹田川ダムともども1967年(昭和42年)に竣工したのが小倉川ダムです。
運用開始後は国府川左岸土地改良区が管理を受託し、佐渡市真野地区及び畑野地区の約560ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
さらに2006年(平成18年)には小倉川上流4キロ地点に国営佐渡農業水利事業により離島最大貯水容量を誇る小倉ダムが完成し、国府川左岸の畑作や北の新保川流域への供給が開始されました。

佐渡市飯持地区の市道から遠望
堤高33.1メートル、堤頂長181.3メートルの堤体が一望できるのはこの場所だけ。


県道181号線から右岸沿いの市道を北上するとダムサイトに到着します。
佐渡の農業用ダムではおなじみ、新潟農業水利施設百選の説明版。


堤頂長181.3メートルの堤体上流面
コンクリートで護岸されています。


左岸の斜樋をズームアップ。


天端には鎖が渡され関係者以外立ち入り禁止
今回は事前に土地改良区に許可を頂きました。


総貯水容量92万3000立米
真野地区及び畑野地区約500ヘクタールの水田を潤します。


下流面はきれいに刈られています。
左岸の縁を洪水吐斜水路が流下します。


導流壁右手が洪水吐減勢工
左手に取水設備からの吐口があります。


横越流式洪水吐。


上流側から見た洪水吐と上流面。


0754 小倉川ダム(1797)
新潟県佐渡市小倉
国府川水系小倉川
33.1メートル
138.3メートル
923千㎥/900千㎥ 
国府川左岸土地改良区
1964年

大野川ダム

2022-04-29 06:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 大野川ダム
 
大野川ダムは新潟県佐渡市新穂大野の国府川水系大野川にある新潟県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1967年(昭和42年)の羽越豪雨により大野川流域では多大な洪水被害が発生、これを契機に大野川への多目的ダム建設が採択され、1979年(昭和54年)に佐渡初の補助多目的ダムとして大野川ダムが竣工しました。
大野川ダムは大野川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、上水道用水の供給を目的としています。

旧新穂村中心部から大野川沿いの市道を遡上するとダムに到着します。
途中でダム下への管理道路が分かれますが、こちらは途中で関係者以外立ち入り禁止。
右岸ダムサイトから
大野川ダムは佐渡では唯一のゲート装備ダムでラジアルゲート2門のうち右岸側から放流しています。


ダム下に放流設備があり、常用洪水吐としてホロージェットバルブ1条、利水放流設備としてジェットフローゲートを装備
ジェットフローゲートから河川維持放流が行われています。


堤頂長は183メートルで、左岸に脆弱箇所があるためわずかに屈曲しています。


天端は車両通行可
提体が折れているのがよくわかります。


『逆カド』


ゲート越しの減勢工。


事前からこの緑色のレールが気になり、『もしや?』と思っていたのですが…
取水設備は非常に珍しいヒンジアーム式の表面取水設備。
不特定利水の大半は灌漑向けとなるため、水温の高い表面取水を行う必要からこのタイプが選択されたようです。
堤体にビルトインしたヒンジアーム式取水設備を目にしたのは鳥取の菅沢ダムに次いで2例目。
このほか秋田の素波里ダムにもヒンジアーム式取水設備がありますが、こことはまた違った型式。


ダム湖は総貯水容量139万立米。


右岸から
対岸に管理事務所があり職員が常駐。
右手が件のヒンジアーム式取水設備、管理事務所左手にインクラインがあります。


インクラインと巡視艇。


上流から
縦長のラジアルゲートと右手にはヒンジアーム式取水設備のレール。
中央には予備ゲートのコースターが見えます。

0774 大野川ダム(1796)
新潟県佐渡市新穂大野
国府川水系大野川
FNW
47メートル
183メートル
1390千㎥/1090千㎥
新潟県土木部
1979年

新穂第2ダム

2022-04-28 23:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 新穂第2ダム
 
新穂(にいぼ)第2ダムは新潟県佐渡市上新穂の国府川水系天神股川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
佐渡市南東部、国中平野東端に位置する旧新穂村は古くから開拓が進み、朱鷺の里として知られる農業地帯です。
当地では1958年(昭和33年)に佐渡初の本格的ダムとして新穂ダムが完成しましたが、昭和後半以降の大型機械導入を目的とした圃場整備等により同ダムの用水不足が顕在化しました。
そこで県は農水省の補助を受けた『かんがい排水事業新穂第2期地区』を採択、新たな灌漑用水源として1991年(平成3年)に竣工したのが新穂第2ダムです。新穂第2ダムは新穂ダムの用水不足を補填し両ダム合わせて約900ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
管理は両ダムとも新穂村土地改良区が受託しています。

新穂ダムから左岸沿いの道を約1.5キロ遡上すると新穂第2ダム直下に到着します。
農業用コンクリートダムらしく放流設備はクレスト自由越流頂と利水放流設備のみ。
農業用コンクリートダムと言えば、ついつい漸縮型堤体導流壁のイメージが強いのですが、ここの導流壁は直線。


新穂ダムの用水不足の補填を目的として建設されたため、年間を通じほぼ満水位が維持されており、訪問時も美しい転波越流が見られました。
左手は利水放流設備、エンドシルの下流にバッフルブロックが並んでいます。

 
ダムサイトにはいったん新穂ダムまで戻り、ダム西側の道を辿ります。
左岸中段に展望台があり堤体を真横から見ることができます。


左岸ダムサイトから
堤高61.4メートル、堤頂長176メートルの立派な躯体。
天端標高は約200メートルで、周辺の山桜はちょうど満開。


天端は車両の通行も可能。


上流面
取水設備は多孔式で、機械室は頭でっかち。


フーチング越しの減勢工。


上から見ても転波越流が美しい。
バッフルブロックは一般にエンドシルの手前にあることが多いのですが、ここはエンドシルの下流に並びます。

 
貯水池は総貯水容量122万立米
新穂ダムと併せて約900ヘクタールの農地の水源となっています。


左岸の艇庫とインクライン。

0798 新穂第2ダム(1795)
新潟県佐渡市上新穂
国府川水系天神股川
61.4メートル
176メートル
1220千㎥/1050千㎥ 
新穂村土地改良区
1991年

久知川ダム

2022-04-28 18:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 久知川ダム
 
久知川ダムは左岸が新潟県佐渡市新穂田野沢、右岸が同市久知河内の二級河川久知川本流上流部にある新潟県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
久知川流域では昭和40年代に2度の水害が発生し、これを契機に久知川への多目的ダム建設が採択され、1985年(昭和60年)に久知川ダムが竣工しました。
久知川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、久知川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、上水道用水の供給を目的としています。

両津の佐渡一周線に久知川ダムを示す案内板があり、これに従い県道赤玉両津港線を南下すると久知川ダムに到着します。
ダムの手前1キロほどの分岐を右に採るとダム下に出ますが、立ち入り制限がありこの写真が精いっぱい。


右岸から
非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂9門、常用洪水吐として自然調節式オリフィス1門
さらに利水放流管としてジェットフローゲート1門を備えています。


右岸ダムサイトの管理事務所
職員の常駐はありません。


天端は徒歩のみ開放。


上流面。


右岸に艇庫がありその裏手にはインクライン。


フーチングに合わせて階段状になった堤趾導流壁が特徴的
高知の横瀬川ダムもこれに似た構造でした。


オリフィスから放流中
さらに左手の利水放流管からも放流されています。


天端からは両津湾がわずかに見えます。


総貯水容量166万9000立米の貯水池。


右岸ダムサイトの公園の不思議な動物たち
遊具かと思ったらどうやら椅子のようです
うーん、ちょっと不気味…。

0783 久知川ダム(1794)
左岸 新潟県佐渡市新穂田野沢
右岸     同市久知河内
久知川水系久知川
FNW
51メートル
131.8メートル
1669千㎥/1410千㎥
新潟県土木部
1985年

道遊ダム

2022-04-28 12:00:00 | 新潟県
2022年4月22日 道遊ダム
 
道遊ダムは新潟県佐渡市相川銀山町の濁川水系右沢川にある佐渡市上下水道課が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
旧相川町の上水道水源として1975年(昭和50年)に竣工し、2004年(平成16年)の市町村合併による水道事業統合で現在は佐渡市の管理となっています。
ここで貯留された水は西方約1キロにある右沢浄水場を経て相川地区に給水されています。

車道はダムの左岸(南側)高台で終点。
眼下にダムと貯水池が見えます。


フーチングからダム下に下りられます。
堤高25メートル
洪水吐はクレスト自由越流頂1門のみの自治体管理の上水ダムらしい簡易な作り。

左岸建屋から突き出た鉄管
この鉄管で右沢浄水場に送水されます。


フーチングが開放されているので真横からダムを見ることができます。


左岸のフーチングと階段。


ダムサイトには旧相川町と施工者の日特建設による銘板が並びます。


天端も開放されています。
というか、こんなところに人が来ると想定してないんでしょう。


総貯水容量は48万7000立米。


天端から
左手は放流設備で3枚目写真の鉄管はこの建屋から出ています。


不安定な天気でしたが、雲の切れ間から夕陽に輝く日本海が見えました。
ちょっと幻想的。

0767 道遊ダム(1793)
新潟県佐渡市相川銀山町
濁川水系右沢川
25メートル
63メートル
487千㎥/487千㎥
佐渡市上下水道課
1975年

佐和田ダム

2022-04-28 08:00:00 | 新潟県
2022年4月22日 佐和田ダム
 
佐和田(さわた)ダムは新潟県佐渡市山田の石田川水系片貝川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
大佐渡山脈南麓各河川は流域面積が小さく雨水の河川流出が早いため、灌漑期に用水不足が頻発していました。
1977年(昭和52年)に農水省の補助を受けた県のかんがい排水事業佐和田地区が着手され、その灌漑用水源として1990年(平成2年)に竣工したのが佐和田ダムです。
運用開始後は国仲西部土地改良区が管理を受託し、佐和田地区600ヘクタール超の水田に灌漑用水を供給しています。
ほぼ前後して建設された藤津川ダム同様ロックフィルとしては珍しい傾斜コアを採用したほか、取水設備も同ダムと同じヒンジパイプ昇降型フロート式取水設備を採用しています。

ダムを下流から一望できるポイントはなく、樹林越しのこの1枚が精いっぱい。


上の写真を撮った場所はこちら
ダムからの幹線水路が片貝川を跨いでいます。


ダム建設に合わせて公園や遊歩道などが整備されました。
しかし車両進入禁止のバリケードが一見立入禁止にも見えるせいか、あまり利用されている風には見えません。
こちらは右岸ダムサイト。
佐渡を模した植栽や藤棚、記念碑、ベンチが置かれています。


ダムサイトの竣工記念碑。


上流面。


右岸のインクラインと巡視艇

湖面に浮かぶ取水設備は同時期に建設された藤津川ダムと同じフローティングアーム方式


天端から
真野湾が遠望できます。


ダム下
右手のコンクリートの建屋は調圧水槽
左手の赤い橋が2枚目写真の幹線水路橋です。


右岸の管理事務所
窓を大きくとった洒落たデザイン
職員の常駐はありません。


左岸から下流面。


左岸の横越流式洪水吐
左岸ダムサイトは公園やキャンプ場として整備されています。
この時期人気はありませんが、ハイシーズンには利用者がいるようです。




ダム西方標高290メートルの富室山から
個人所有の山ですが、地主さんがベンチや遊歩道などを整備され誰でも立ち入ることができます。
展望台からは佐和田ダム越しに国仲平野や真野湾まで一望できます。

0785 佐和田ダム(1792)
新潟県佐渡市山田
石田川水系片貝川
45.6メートル
129.1メートル
1656千㎥/1649千㎥ 
国仲西部土地改良区
1988年

藤津川ダム

2022-04-27 23:00:00 | 新潟県
2022年4月22日 藤津川ダム
 
藤津川(とうつがわ)ダムは左岸が新潟県佐渡市中興、右岸が同市泉の国府川水系藤津川上流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
大佐渡山脈南麓各河川は流域面積が小さく雨水の河川流出が早いため、灌漑期に用水不足が頻発していました。
そこで1974年(昭和49年)に農水省の補助を受けた県のかんがい排水事業藤津川地区が着手され、その灌漑用水源として1987年(昭和62年)に竣工したのが藤津川ダムです。
運用開始後は金井土地改良区が管理を受託し、藤津川流域250ヘクタール強の水田に灌漑用水を供給しています。
同時期に建設された佐和田ダム同様、ロックフィルとしては珍しい傾斜コアを採用しています。

ダム下は立ち入り制限の鎖が架かっていますが、事前に土地改良区の許可を得ています。
堤高41.3メートル、右岸に洪水吐斜水路が伸びます。


ダム下で取水設備からの水路と洪水吐導流部が合流します。
個人的に好きな絵柄。


左岸から下流面
ロック材には流紋岩が使われています。




左岸のインクライン。


天端からは真野湾が遠望できます。


ダム下。
2枚目写真を上から見たところ。


総貯水容量74万4000立米のダム湖。
奥には大佐渡山脈が聳えますが、あいにく雲の中。


右岸から洪水吐越しの下流面
対岸に立派な管理事務所がありますが職員の常駐はありません。


上流面。


右岸の横越流式洪水吐
越流部のコンクリートが新しく、近年改修があったようです。


右岸機械室の銘板。

取水設備は佐和田ダムと同じ、フローティングアーム方式。

0777 藤津川ダム(1791)
左岸 新潟県佐渡市中興
右岸     同市泉
国府川水系藤津川
41.3メートル
142メートル
744千㎥/718千㎥ 
金井土地改良区
1987年