ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

藤井川ダム(再)

2018-03-12 12:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 藤井川ダム(再)
2018年  3月11日
 
藤井川ダムは茨城県東茨城郡城里町下古内の那珂川水系藤井川中流部にある茨城県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1947年(昭和22年)のカスリーン台風での甚大な被害をきっかけに県は藤井川の本格的な治水事業に乗り出し、1956年(昭和31年)に治水専用ダムとして藤井川ダムが竣工しました。
完成当時は全国最大規模の治水専用ダムで、普段は貯水池に水を貯めないいわゆる『穴あきダム』として完成しました。
1976年(昭和51年)に高度成長による人口増や流域氾濫原の宅地化に対処するために、建設省(現国交省)の補助を受けた多目的ダム化事業が竣工し、藤井川ダムは藤井川の洪水調節に加えて不特定利水、新規農地への灌漑用水の供給、水戸市及び城里町への上水道用水の供給を目的とする補助多目的ダムとして生まれ変わりました。
しかし1986年(昭和61年)8月豪雨を受け県は『藤井川ダム再開発事業』に着手、ダム湖掘削による貯水容量の増大を軸とした再・再開発事業が2007年(平成19年)に竣工し、現在に至っています。
 
再開発にあたり、常用洪水吐としてコンジット高圧ラジアルゲートと低水管理用バルブを増設したほか、ダム上流左岸にラジアルゲート3門を装備した非常用洪水吐を新設しました。
主堤体と洪水吐が離れているいわゆる『非越流型重力式コンクリートダム』となっており、同様のダムとしては小河内ダムや三浦ダムなどがありますが、堤体と洪水吐がここまで離れているダムは非常に珍しいのではないでしょうか?
一方ダム周辺は城里町総合野外活動センター『ふれあいの里』となっておりキャンプ場や各種レクリエーション施設、公営の日帰り入浴施設などが整備され茨城県屈指のレクリエーション施設となっています。
 
藤井川ダム主堤体と非常用洪水吐の位置関係
緑マルが主堤体、赤マルが非常用洪水吐
 
県道51号と52号に藤井川ダムや『ふれあいの里』を示す案内板があり、これに従うと藤井川ダムに到着します。
堤体下部に再開発によって増設されたコンジット高圧ラジアルゲートがあります。
直近の雨により水位が上がりゲート放流が行われています。
(2018年3月11日)
 
左岸から下流面
堤体は1956年(昭和31年)当初のまま。(2018年3月11日)
 
天端とゲート操作室
天端は町道でそこそこの通行量があります。
(2018年3月11日)
 
右岸から
写真手前には低水管理用バルブがあります。
(2018年3月11日)。
 
ダム湖はうなぎ地蔵湖
見た目は小ぶりですが、名前の通りウナギのようにくねくねと蛇行しており総貯水容量は446万2000立米あります。
 
こちらはダム湖の左岸上流にある非常用洪水吐
赤いラジアルゲートとおしゃれな機械室が並んでいます。
(2018年3月11日)
 
非常用洪水吐の天端
こちらも車道になっておりロッジ風の機械室が並びます。
 
非常用洪水吐導流部。
 
(2018年3月11日)
 
非常用洪水吐天端高覧にあるミミズクの彫刻
城里町のマスコットキャラクターです。
(2018年3月11日)
 
2度の再開発が行われた歴史的経緯、主堤体と洪水吐が離れた場所にある構造的側面、二つの点で非常に珍しいダムとなっています。
 
追記
藤井川ダム(再)375万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに45万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0545 藤井川ダム(元)
茨城県東茨城郡城里町下古内
DamMaps
那珂川水系藤井川
FNAW
37.5メートル
90メートル
4000千㎥/3750千㎥
茨城県土木部
1956年藤井川ダム竣工(治水ダム)
1976年再開発竣工(多目的化)
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3162 藤井川ダム(再)(0084)
茨城県東茨城郡城里町下古内
那珂川水系藤井川
FNAW
37.5メートル
90メートル
4462千㎥/4412千㎥
茨城県土木部
2009年 再・再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム


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