2023年5月22日 夏峰溜池
夏峰溜池は長崎県雲仙市瑞穂町古部乙の船津川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
島原半島北部に位置する雲仙市瑞穂町は雲仙の火山活動による火山堆積物で厚く覆われ、透水性の高い丘陵と侵食された谷筋が交互に繰り返す地形となっています。
明治末期から各谷筋での新田開発が進められ併せて川の源流部に多数の溜池が築造されましたが、夏峰溜池もその一つです。
ダム便覧には夏峰土地改良区の事業で1934年(昭和9年)に竣工と記されており、受益者で組織された水利組合の事業、つまり農家の持ち出しで建設されたと思われます。
現在の管理者は夏峰地区自治会です。
予習段階として国土地理院地形図やグーグルマップ等を参考にしますが、どれを見ても天端へのアクセスがわかりません。
一方グーグルの航空写真では堤体下流面や天端が樹林化していることが見てとれます。
今回は現地の情報を見ながら池にアタックすることにしました。
集落の最奥で車を止め、徒歩で池の北側を横断する林道を進みます。
一か所開けた場所がありわずかに堤体を見上げることができました。
(地図の赤マル地点)。
15メートル以上の高さは十分にありそう。
下流面は木が相当の高さに伸び、完全に森。
樹木が土堰堤に根を張るのはその耐久性、防水性にも相当宜しくない状況に思えるのですが…。
辺りで底樋管がないか探したら見つかりました。
林道をさらに進むと洪水吐を跨ぎます。(地図の黒マル地点)
こちらは上流側
コンクリート製の立派な導流部で少なくとも平成期に改修工事があったと思われます。
下流側の減勢工。
このまま船津川として流下してゆきます。
洪水吐沿いに微かな踏み跡がありそれを辿って天端に向かいます。
(地図のオレンジのルート)
洪水吐最上部まで上がってきました。
(地図の青マル地点)
洪水吐上部は幅が一気に広がり両側は石積みの擁壁。
こちらが越流部になりますが、木が茂りなんのこっちゃわかりません。
そして天端は…
身長180センチの私の目の高さで撮った写真
猛烈なブッシュで進入不可能。
ため池データベースでは総貯水容量8万3000立米の貯水池。
下流の民家で話を伺うことができました。
要約すると
『今も貴重な水源であるが高齢化や離農で人手が足りず、もう10年以上草刈り等は行っていない。取水設備は底樋管から堤体の左岸側の藪をかき分け登った先にある。灌漑期にはバルブの開閉を行う』。
さすがにもう一度藪漕ぎをする気力はなく、取水設備は確認しないまま撤収となりました。
2596 夏峰溜池(2005)
ため池コード 422135003
長崎県雲仙市瑞穂町古部乙
船津川水系船津川
A
E
15メートル(ため池データベース 19.8メートル)
118メートル(ため池データベース 128メートル)
100千㎥/83千㎥(ため池データベース 83千㎥/83千㎥)
夏峰自治会
1934年
でもってほぼジャングル状態(^^;)
鉈、鎌、のこぎり必携のダム探訪・・・
こんなに高く生い茂った山状態になっていると、万が一獣が生息しているとかは無いんですか?
お猿さんくらいは普通に居てそうですが・・出会いたくないものに出会ったりとか・・
このあたりだとたぶんイノシシでしょうね?
登山をしていたので山の動物には警戒はしますけどそこまで恐怖心はありません。
多くの動物は夜行性だし、人がいますよーって信号を発すれば向こうから近寄ったりしません。
日光や宮島あたりの人慣れた猿の方がよほど厄介です。