ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

豊平峡ダム

2018-09-27 00:44:20 | 北海道
2018年9月20日 豊平峡ダム 
 
豊平峡ダムは北海道札幌市南区定山渓の石狩川水系豊平川上流部にある国交省北海道開発局建設部が直轄管理する多目的アーチ式コンクリートダムです。
札幌市街は豊平川が形成した扇状地に広がっており、豊平川はアイヌ語ではサッ・ポロ・ベツ(乾いた大きな川)と呼ばれこれが『さっぽろ』の語源となったとされており、文字通り『札幌の母なる川』です。
北海道の中心として百万都市に発展した札幌の治水と、急増する上水道用水源の確保が急務となり1972年(昭和47年)に竣工したのが豊平川ダムです。
国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、豊平川および石狩川下流部の洪水調節、札幌市への上水道用水の供給、北海道電力豊平峡発電所での最大5万キロワットの水力発電を目的としています。
その後1989年(平成2年)に豊平川支流小樽内川に定山渓ダムが竣工し豊平川水系の治水能力や札幌の上水道事情は一段と改善しました。
現在は国交省北海道開発局札幌開発建設部豊平川ダム統合管理事務所によって両ダムの一体管理が行われています。
豊平峡ダムは日本を代表するダムとして日本100ダムに選定されているほか、ダム湖の定山湖はダム湖百選に選ばれています。
 
定山渓温泉から国道230号を南下すると豊平峡ダムの案内板があり、これに従って左手の道を進むと冷水駐車場に到着します。ここでダムと駐車場を結ぶハイブリッド電気バスに乗り換え10分ほどで豊平峡ダムに到着します。
 
まずは右岸展望台に登りアーチを俯瞰。
豊平峡ダムは北海道電力新冠ダムに次ぐ北海道2基目のアーチダムとして竣工、現在も北海道内にはアーチダムはこの2基しか存在していません。
ダム湖は定山湖と命名され総貯水容量は4710万立米となっています。
 
豊平峡ダムでは毎年6月から10月までの期間、観光放流が実施されます。
 
 
ダムサイトと堤体を結ぶ『カムイニセイ橋』
元あった管理通路が落石のため通行できなくなり2008年(平成20年)に架橋されました。
後付けの橋のため堤体に荷重を掛けることができず、対岸のダムサイト側で橋を支える片持ち構造という非常に珍しい構造の橋となっています。
 
ダム両岸は安山岩質の火山角礫岩で形成された断崖・絶壁がつづき、北海道有数の景勝地となっています。
 
常用洪水吐として2条、観光放流用として1条、計3条のハウエルバンガーバルブを装備。
6月~10月一杯は毎日観光放流を行っています。
 
減勢工とエンドシル
エンドシルもアーチです。
 
左岸から。
 
右岸にエレベーターがあります。
 
上流から
右手は豊平峡発電所の取水塔。
 
クレストには非常用洪水吐としてローラーゲートが5門あります。
 
札幌の奥座敷定山渓温泉に近く、中国南画のような断崖・絶壁がつづく景勝地ということで、最近はとくにアジアからの観光客の間では人気スポットとなっています。
今回は直前に胆振東部地震が発生したことから観光客もまばら、おかげでのんびりダムの見学ができました。
いずれ海外からの旅行者も戻ってくるでしょうから、その時にはまたにぎやかな豊平峡ダムになっているかと思います。
 
(追記)
豊平峡ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。

0087 豊平峡ダム(1362)
北海道札幌市南区定山渓
石狩川水系豊平川
FWP
102.5メートル
305メートル
47100千㎥/37100千㎥
国交省北海道開発局
1972年
◎治水協定を締結したダム


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