6月上旬に美しい構造色を示していたマガオ君の頭には、中旬になると急に変化が現れた。
冬羽が美しいマガオ君(2022.6.2 撮影)
冬羽が美しいマガオ君(2022.6.7 撮影)
冬羽が美しいマガオ君(2022.6.10 撮影)
この後、翌日には頭部に変化が現れた。
頭部や胸の羽色に変化が現れてきたマガオ君(2022.6.11 撮影)
背中の羽色も変化し始めたマガオ君(2022.6.12 撮影)
背中の羽色も変化し始めたマガオ君(2022.6.16 撮影)
背中の羽色も変化し始めたマガオ君とカル子さん(2022.6.16 撮影)
この翌日、思いがけないことが起きた。マガモ♂が2羽になっていたのであった。1羽はマガオ君だが、もう一羽はまだ羽衣に変化が起きておらず、マガオ君に比べるとやや体格の大きく感じられる個体である。
雲場池に現れたマガモ♂(中央)とマガオ君、カル子さん(2022.6.17 撮影)
雲場池に現れたマガモ♂(後方)とマガオ君(2022.6.17 撮影)
突然やってきて、マガオ君とカル子さんの間に割って入るようにして泳いでいたマガモ♂であったが、その後姿を消して2度と現れることはなかった。この♂もまた、北に帰ることなく近くの池で夏を過ごそうとしているのだろうか。
マガオ君の体色変化は進み、7月に入ると頭部の緑色の構造色は完全に消えていった。
頭部の緑色の構造色がほとんど消えたマガオ君とカル子さん(2022.6.27 撮影)
体色もどんどん変化して、このころにはマガオ君の姿はすっかり♀のように変わっていった。相変わらずマガオ君のそばにはカル子さんの姿が見られたが、嘴の色が黄色い点を除けば、2羽はよく似た体色になっている。
嘴の色を除けば、よく似た体色になったマガオ君とカル子さん(2022.6.30 撮影)
雲場池の浅い部分で休息するマガオ君(2022.7.2 撮影)
雲場池の浅い部分で休息するカル子さん(左)とマガオ君(2022.7.2 撮影)
カル子さん(右)とマガオ君(2022.7.8 撮影)
エクリプスに変身したマガオ君(2022.7.9 撮影)
さて、夏は水鳥たちの繁殖の季節。マガオ君の仲間のマガモ達は、この季節北の地で繁殖していると思われるが、通年雲場池に生息するカルガモの中には、今年も雛を育てているカルガモ♀の姿が見られた。昨年巣立ったのは3羽だったが、今年は7羽のひなが生まれていて賑やかである。
カルガモの母親と7羽のヒナ親子(2022.7.11 撮影)
このカルガモの母親はもしかしたらカル子さん・・・、だとしたらマガオ君と一緒にいたカルガモはやはり♀で、異種間の雑種誕生か・・・という期待をしたが、どうもそうではないようであった。
7羽の雛を連れて池を泳ぐカルガモの母親とは別に、マガオ君とカル子さんの姿が認められたし、雛たちの姿にも特に雑種を思わせる変化も見られなかった。
カル子さん(左)とマガオ君(2022.7.13 撮影)
カル子さん(右)とマガオ君(2022.7.17 撮影)
カル子さん(右)とマガオ君(2022.7.20 撮影)
カル子さん(右)とマガオ君(2022.8.1 撮影)
カル子さん(右)とマガオ君(2022.8.5 撮影)
カル子さん(右)とマガオ君(2022.8.14 撮影)
この頃、マガオ君の頭部に僅かながら変化が現れた。
エクリプス状態のマガオ君の頭部に僅かに変化が現れる(2022.8.15 撮影)
頭頂部に緑色の構造色がわずかに現れてきたマガオ君(2022.8.21 撮影)
頭頂部に緑色の構造色が現れてきたマガオ君(2022.8.24 撮影)
カル子さん(左)とマガオ君(2022.8.27 撮影)
冬羽にもどり始めたマガオ君(2022.8.29 撮影)
冬羽にもどり始めたマガオ君(2022.8.31 撮影)
ある日、雲場池には珍しくオシドリの姿が見られた。昨年春に♂を、1か月ほど前には♀の姿を見かけ撮影していたが、この日雲場池に現れた3羽は嘴の色が赤みを帯びていることから幼鳥♂かあるいは、エクリプスかと思えた。
オシドリの幼鳥♂あるいはエクリプス(2022.8.29 撮影)
また、このころ池ではカイツブリの子育てが見られるようになった。カルガモの場合は、母親だけが雛を連れ泳いでいる姿が見られたのであったが、カイツブリは両親が一緒に雛たちの世話をしている。特に♂は水中にもぐり、小魚を捕えては雛に与えている。
カイツブリの親子(2022.9.1 撮影)
カイツブリの雛とマガオ君(2022.9.4 撮影)
冬羽にもどり始めたマガオ君(2022.9.5 撮影)
冬羽にもどり始めたマガオ君とカル子さん(2022.9.10 撮影)
冬羽にもどり始めたマガオ君(2022.9.10 撮影)
この日、池にはコガモが数羽戻ってきていて、カルガモに混じって泳ぐ姿が見られるようになった。一様に♀の姿をしているので、私には区別がつかないのだが、中にエクリプス♂が混じっているのだろうか。
雲場池にコガモが戻ってきた(2022.9.10 撮影)
雲場池にコガモが戻ってきた(2022.9.12 撮影)
マガオ君の羽衣もどんどん変化して、ほとんど冬羽に近い状態になっていった。池にはコガモに加えてキンクロハジロの雌雄も渡ってきた。
ほとんど冬羽に近い状態に戻ったマガオ君(2022.9.12 撮影)
キンクロハジロのペア(2022.9.12 撮影)
マガオ君が美しい冬羽にもどってからしばらくして、また2羽のオシドリの姿を見る機会があった。以前見かけた個体のようだが、この時の羽の様子から、やはりエクリプスであったのだと思えた。こちらはまだ換羽中で、美しい姿になる日も近いと思える。
換羽中のオシドリのエクリプスA(2022.9.21 撮影)
換羽中のオシドリのエクリプスB(2022.9.21 撮影)
コガモやキンクロハジロの姿がポツポツと見られるようになり、昨年の例ではもうすぐ北からマガオ君の仲間や多くの水鳥が渡ってくる。そうなると、マガオ君はやがて他の多くのマガモ♂に紛れて私には区別がつかなくなってしまう。
カル子さんも、同様で、マガオ君と一緒にいることで、それとわかっていたのだが、マガモの♂が多くなると区別がつかなくなってしまうのではと思う。
おそらくマガオ君とカル子さんにとってはそんなことはないのだろうと思うが、これから2羽の恋の行方はどうなってしまうのだろうかなどと、余計なことに気をもんでしまうのである。