軽井沢からの通信ときどき3D

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天体ショー

2022-11-11 00:00:00 | 天体
 各種メディアによる、皆既月食と天王星食が同時に起きる極めて珍しい現象が見られるとの報道に刺激され、11月8日の夕方急に思い立って撮影準備を始めた。

 普段、昆虫や野鳥を撮影している超望遠ズームレンズをセットした一眼カメラと、やはりチョウなどの生態撮影に使用しているタイムラプス機能付きのビデオカメラをそれぞれ三脚にセットして、その時を待った。

 皆既月食が始まる時刻には地域差があるが、東京のものを参考にすることにした。次のようである。
2022年11月8日の皆既月食が東京で見られる時刻(赤矢印は写真撮影の予定時刻)

 これによると18時過ぎに月の部分食が始まり、月が地球の影に完全に隠れて皆既月食が始まるのが19時16分頃である。この間に4回の写真撮影タイミングを予定して、時刻を確認した。

 タイムラプスではこの約1時間ほどを撮影することとして、10秒に1枚の撮影条件に決めた。通常撮影の300分の1に相当するので、1時間が12秒の映像として記録できる。

 ちょうど夕食時のことであったので、撮影予定時刻になると1階の食堂と2階に準備した南側の窓際とを何回も往復することになった。

 天王星食の撮影については肉眼で観察できそうにもなかったので、気にしないで、成り行きに任せることにしていた。

 以下、その撮影結果をご紹介する。まず、タイムラプス撮影から。

  
皆既月食(2022.11.8、 300倍タイムラプスで撮影)

 部分食の始まる時刻に、液晶モニターの左下に満月の姿をセットして撮影を開始した。ズーム倍率はかなりいい加減にセットしておいたが、結果的には画面の左側に偏ったものとなったものの、何とか予定していた過程を画面内に収めることができた。月の動きは、漠然と放物線状の動きを想像していたが、実際に撮影した映像を見るとほぼ直線状に移動し、むしろやや上方にそれるように上昇していた。

 次に超望遠レンズで撮影した画像を、食が進んでいく順に紹介する。こちらの撮影はISO感度設定と、ピント合わせに苦労したが、何とか記録することができた。

2022年11月8日の皆既月食 1/10(17:53 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 2/10(18:04 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 3/10(18:22 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 4/10(18:42 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 5/10(19:02 撮影)


2022年11月8日の皆既月食 6/10(19:19 撮影)


2022年11月8日の皆既月食 7/10(20:18 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 8/10(20:55 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 9/10(21:09 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 10/10(21:12 撮影)

 天王星だが、6/10と7/10の写真に写っているのを、撮影後見つけることができた。皆既月食中の月の左下に現れて、次第に接近している。実際には公転する月の方が天王星に近づいているわけであるが。

 十分な事前調査をしていなかったので、この小さな星が天王星である確信はなかったが、国立天文台のライブ情報をチェックしながら確認したという友人の I さん撮影の写真と比較して、天王星であると判定できた。

 翌朝、購読紙やネット上に多くの皆既月食の写真が見られ、中には Iさんのものと同様、天王星が月の裏側にまさに隠れようとしているところを撮影したものもいくつか見られた。

 赤銅色の皆既月食の写真が添えられた、次の読売新聞のオンライン記事に見られるように、皆既月食と重なる惑星食としてはこれまでにも土星食が442年前に起きていたとされるが、天王星食は過去に例のないとても珍しい現象だそうである。そうした現象に出会うことができ幸いなことであった。

 「© 読売新聞 皆既月食で赤銅色に輝く月(8日午後7時17分、都内で)=上甲鉄撮影
 満月が地球の影に隠れる『皆既月食』が8日夜、日本各地で観測された。東北や北海道を除く地域では、月が天王星を隠す天王星食も同時に起こり、日本では過去5000年で一度もない極めてまれな天体ショーとなる。
 月は東の空で午後6時過ぎから欠け始め、午後7時16分から1時間半ほど皆既月食となり赤黒く見える。東京や大阪、福岡などでは皆既月食中に天王星が隠れ始める。
 国立天文台によると、日本で前回、皆既月食と惑星が隠れる『惑星食』が重なったのは、土星食が起きた442年前。次回は322年後の2344年7月で、同じく土星食が起こる。」

 今回撮影した画像でも見られたが、皆既月食中の月が赤銅色に見える理由については、国立天文台が次のように、夕焼けと同じようなものであると説明している。太陽、地球、月が一直線上に並び、月が地球の作る本影の中に入っても、地球の大気により屈折した光が届き、その中の青色の光がより強く散乱され、赤い光がより多く月表面に到達するためということである。


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