世界的なパンデミックを引き起こし、大混乱を招いた新型コロナであったが、軽井沢のきれいな空気のおかげか、人ごみにでることを避けてきた結果か、この5年間はなんとかやり過ごしてきた。
そのコロナに、夫婦そろって感染してしまった。昨年7月末のことである。接客業であることを考えて、ワクチンは二人とも受けてきたが、賛否もあり直近2回の接種は受けておらず、第11波とされるこのウィルスにはすでに効果が失われていたようである。
コロナが第5類になって1年余、意識的にもかなり緩みが出ていたところで、母の七回忌を大阪で行うことになり、ここに出かけて感染してしまった。
出かける少し前には、久々の長距離移動の旅になることもあり、妻とは感染予防をしなければね・・と話していたのに、いざ出かけるときにはマスクも持っていくのを忘れるという弛み様であった。
新幹線での移動、駅や地下鉄の混雑の中の移動、20人ほどの家族との墓参と会食。考えてみると、感染の機会はどこにでもあった。
喉の異変に気がついたのは、帰宅後2日目であった。夕方喉の痛みを感じたが、熱は平熱であった。妻に聞くとやはり喉が変だという。この時、コロナ感染を疑ったが、様子を見ようということで翌朝を迎えた。
体温を測ると、妻は高めに出たが私はまだ変化がなかった。発熱した妻はすぐに病院に行き、検査を受けた。私は、ショップに出勤し、待機していたが、妻から検査結果がコロナ陽性であったと聞き、すぐにショップを閉めて帰宅した。
夕方、私も熱が出始めたので、妻が処方してもらった薬を分けてもらい、翌日医師の診断を受けた。結果はやはりコロナ陽性/インフル陰性で、飲み薬を処方してもらった。1週間ほどでのどの痛みと発熱は次第におさまり、大事に至ることはなかったが、発症後すぐに起きた別の異変が味覚と嗅覚の異常で、食べ物の味が全く感じられなくなった、匂いの方も同様で、約3週間後ようやく回復するまで、毎日味気ない食事が続いた。
私の場合、味覚も嗅覚も同じように回復していったが、妻は半年後の今も嗅覚が戻らないという。
コロナ感染の話はこれだけであるが、数か月後の11月にまた喉に異変が出た。今度もすぐに医師に相談したが発熱もなく、飲み薬を処方してもらい、これを5日間飲んで回復した。
このころ、マイコプラズマが流行していてこれを疑ったが、とくに医師からはそうした話は出なかった。
そうして迎えた年末。娘が休暇を利用して正月をすごすためにやって来た。12月生まれの娘の誕生日のプレゼントを探して、軽井沢のショッピング・プラザに出かけたり、おせち料理の食材を買いに佐久のショッピングモールに出かけたりしたが、いずれもかなりの混雑している中に出かけることになった。
元旦には、初日の出を撮影するために、碓氷峠に車で出かけた。よく出かけている浅間山の撮影ポイントに近い場所であった。
正月の二日目になり、喉に違和感が出、咳をするようになった。熱はない。気にした娘が龍角散を買ってきてくれて、これを飲み、少し楽になったが咳は完全には収まらず、休み明けの6日になってようやく医師の診断を受けた。
咳症状は次第に収まり、11日には義兄夫婦から招待されていた、東京での食事会に出かけることができた。今回の咳は、年末に人ごみの中に出かけたことが原因かと思っていたので、東京駅から義兄が予約してくれていたホテルまではタクシーで直行、ホテルから食事会場までも義兄夫婦と一緒にタクシーを利用するなどして人ごみを避けた。
ホテルに宿泊した翌日の朝食はビュッフェスタイルで、3連休の中日でもありかなりの混雑であった。この日の過ごし方は、少し前から妻と博物館に行きたいねと相談していたが、軽い咳がまだ出ていたので、人ごみの中に出ることを避けて、ホテルに併設されている集古館だけを見て、来た時と同様、東京駅にタクシーで直行し、早々に軽井沢に戻ってきた。
飲み薬はちょうど前日で切れていたが、熱は出ていなかったので、そのまま様子を見ることにしていたところ、16日に37度ほどの微熱がでた。すぐに医師に相談をし、飲み薬を処方していただいた。
1月にはこの後、17日、19日、21日と予定が入っていた。17日は区会の小会合で、私が委員長をしているものなので、欠席するわけにいかず、19時から2時間ほどの会議に参加した。
翌日目が覚めた時には、熱は38度になっていた。夕方には薬の効果もあり平熱近くまで下がるが、翌朝にはまた38度に上昇していた。
この日、19日の16時からはTGさんの小説の出版記念のトークショウが近くの書店で開かれる予定で、その後18時から親しい人たちを招いて食事会も予定されていて、私も招待されていた。
このTGさんの小説は昨年10月に新潮社から出版されていて、今年は3月5日の外国人記者倶楽部を皮切りに、軽井沢、国立、青山などでトークショウが予定されていて最後はブータンで終えるとのことであるが、今回はその練習を兼ねたものということであった。
ぜひ参加したいと思ってあれこれ体調管理に気を遣ってきたのであったが、咳と熱を考えるとキャンセルせざるを得ないとの判断に至り、当日朝欠席の連絡をすることになった。
この日の夜には案の定38度になった。翌日昼頃の検温ではこれまでの最高の38.2度を記録した。
21日には、今度は区の役員会と演芸会・新年会が控えている。役員会では定例の会計報告があり、演芸会・新年会では総合司会を任されている。
当日の朝も37.5度の発熱があったので、役員会では原稿をどなたかに読み上げてもらい、司会は代役をお願いしようと考え様子を見ていたが、ギリギリのところで出席することにした。
ただ、食事の始まる前までの司会にとどめ、宴会の開始を告げて以降は、宴会担当の司会者が別途指名されていたので、その方にこの日の最後まで、司会を続けていただくようお願いして、退席した。
年初からの咳に始まり発熱と、すでに3週間を超えるこれまでに経験したことの無い長引く症状に困惑しているが、これも齢のせいなのだろう。それともコロナ感染が何か影響しているのだろうか。
以前当ブログで免疫のことを調べた時に引用した、若者と老人がインフルエンザに罹った時の症状の差があった(2020.11.13 公開)。次のようである。
「冬の朝、同じバス停でバスを待っている青年と老人が、同じインフルエンザウイルスに曝されたとしよう。青年がインフルエンザウイルスに曝された場合、青年はインフルエンザにかかりにくいが、かかったとしても、定型的な一次免疫反応の経過をたどって、数日のうちに治癒してしまう。一時免疫反応というのは、はじめてこの抗原(インフルエンザウイルス)に出会った時の定型的な反応である。
ウィルスが細胞内に入り込み自己複製を開始すると、まずインターフェロンの合成が始まり、ウィルスの増殖を抑えようとする。
マクロファージが異常を察知して、IL1などの炎症性物質を出す。IL1は発熱物質なので、熱が出、体は汗をかく。ウィルスの粒子や蛋白はマクロファージに取り込まれ、消化された断片はクラスⅡ抗原に結合してヘルパーT細胞を刺激する。
ヘルパーT細胞からは、B細胞やキラーT細胞を刺激したり、炎症を引き起こすインターロイキン群が生産される。
ウィルスが感染した細胞では、ウィルスの構造蛋白がクラスⅠ抗原に結合して細胞の表面に提示される。それをキラ-細胞が認識、刺激を受ける。ウィルスを発見したB細胞も動員されるが、それはまだ、ウィルス中和能力の低いIgM抗体を遊離するばかりである。
とにかくこうして起こった免疫系の大騒動によって、インフルエンザの症状はクライマックスに達する。
しかし間もなく、B細胞はヘルパーT細胞の指令(その多くはインターロイキンの働きに帰せられる)を受けて、ようやく中和能力の高いIgG抗体を大量に分泌しはじめる。
IgG抗体はウィルスに直接取り付き、他の細胞への感染性などの動きを抑えてしまう。これがウィルスの中和である。インターロイキンの影響下で、キラーT細胞はウィルス感染細胞を次々に殺してゆく。壊された細胞から飛び出したウィルスにはIgG抗体が待ちかまえて中和する。
やがて炎症はおさまり、サプレッサーT細胞が、それ以上免疫反応が過剰にならないようにヘルパーT細胞の働きを抑え、反応は終息する。青年は、再び青空のもとを疾走し、病気の残骸を吹き飛ばすかのようにサッカーのボールを蹴る。」
これが、若者がインフルエンザウイルスに感染し、治癒するまでの流れである。さて、次に青年と比較して、我々老人がインフルエンザウイルスに出会ったときの体の反応は次のようになるという。
「老人のインフルエンザはいささか違う。それほど高い熱が出ないのに、全身がけだるい。初期の防衛反応であるインターフェロンやIL1の生産が悪く、ウィルスは広範に広がる。
T細胞の反応もおかしく、インターロイキンのいくつかは過剰に作られるが、あるものはあまり作られない。そのために片寄った炎症が肺などに現われ、通常は問題にならないような細菌が増殖して肺炎を起こしたりする。
B細胞は、ウィルスを中和できるような抗体をあまり作らない。病気は長引き、肺炎などの二次的な合併症を起こすようになり、それはしばしば致命的である。
インフルエンザが治ったとしても、血液中のガンマグロブリンの濃度は異常に高く、炎症性のインターロイキンもなかなか消失しない。ときにはひそんでいた免疫異常、たとえば自己組織を破壊するような抗体による障害が、風邪を契機に出現することもある。・・・ 」
これは新型コロナが出現する前の本に書かれていることなので、インフルエンザをコロナと読み替えて差支えないだろう。
免疫力は老化に伴いこれほどまでに変化するものらしい。私はすでに後期高齢者の年齢も過ぎているので、この本の例にしっかり当てはまる。最後のところにある、風邪を契機に出現する可能性のある免疫異常や抗体による障害が出ていないことを願いたいものである。
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