軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

三波石(2/4)

2021-05-21 00:00:00 | 岩石
 三波石が中央構造線に沿って見つかるということを知り、その中央構造線が軽井沢からそう遠くない下仁田町で地表に現れていて、河原で三波石の見られる場所や、河岸に断層を確認できる場所があるということもわかったので、先日現地に出かけてきた。

 下仁田町には、三波石の巨岩がある「青岩公園」や、中央構造線を見ることができる「川井の断層」の他にも、先ごろ富岡製糸場と共に世界遺産登録された「荒船風穴」など独自の地形や地下資源を活用した歴史や産業の遺産があり、平成23年9月に日本ジオパークネットワークへの加盟が認定されている。

 町が作成した「下仁田ジオパーク」というパンフレットには、町内に点在する31カ所の見どころ「ジオサイト」が紹介されているが、妻と私はその内の三波石と中央構造線に関連した次の6カ所を見学した。またこれらとは別に下仁田町自然史館にも立ち寄って情報を入手した。

 下仁田町自然史館は、平成20年に廃校になった元町立青倉小学校を活用したもので、展示室や実習室を備えていて、館内には、町やその周辺で採取した岩石や化石などが展示されているということであるが、生憎当日は休館期間中で、内部の見学はできなかった。

 館員の方から資料をいただき、道路を隔てて反対側には「跡倉クリッペのすべり面」があるのでぜひ見ていくといいと教えていただいた。館は6月1日には再オープンの予定とのことでまた改めて訪問したいと思っている。

下仁田町発行の観光パンフレットから

同上の拡大地図、中央構造線が走る位置と「川井の断層」、「青岩公園」の場所が示されている

 さて当日、出発時点ではまだ上掲の地図を入手しておらず、ネットで調べた情報を元に現地に出かけたので、先ず見つけやすい「青岩公園」を目指した。青岩公園はすぐに見つかり、ここから見学を始めた。ここに来れば、次の目的地「川井の断層」についての情報が得られるのではと思っていたが、はっきりしなかったので、見学ののち改めて下仁田町役場に行き、「下仁田ジオパーク」地図を入手するとともに、川井の断層に行く道順、駐車場所などを教えていただいた。

 今回見学した6か所の詳細については、案内地図に次のように示されている。「クリッペ」という聞きなれない語が出てくるが、これは三波川変成帯の上にあり、ここまで移動してきたとされる地層のことで、「根無し山」との意味があるようだが、具体的なことについては別途触れることにする。

1.青岩公園
  青い石畳が広がる公園で、河原では約16種類の石の採取ができる。
2.川井の断層
  西は九州から始まる西日本の地質を大きく二分する大断層「中央構造線」。関東では大部分が
 地下に隠れてしまい、地上に露出しているのは下仁田だけ。
3.跡倉クリッペのすべり面
  跡倉クリッペのすべり面の中で、最も大規模な露頭。この露頭ではクリッペを構成する地層が
 動いた時の痕跡に触れることができる。
4.大桑原のしゅう曲
  クリッペを構成する地層が、移動時の運動によってV型に大きく折れ曲がった様子が確認でき
 る。
5.宮室の逆転層
  大きな力を受けて地層が上下逆さまになっているところと、正常に堆積しているところの両方
 がみられる。逆転した部分では、当時の海底面にできた生物の這い跡が見られる。
6.跡倉れき岩
  長源寺橋下の岩盤は、固い礫岩が川の流れで浸食され、表面が良く磨かれているため礫の入り
 方や礫の種類をよく観察でき、昔から多くの研究者が訪れる地質の名所。  

 最初に訪れた「青岩公園」は、南牧川が鏑川に合流する地点にあり、文字通り河原に青緑色の巨大な三波石の岩塊が横たわっているところである。すぐ近くに狭いながらも駐車スペースがあるのでここに車を停め、土手を下って河原に降りると、岩を巡る歩道や階段が設けられている。

 川の両岸にも三波石の露出しているところが見られ、鏑川が三波石地帯を削り流れていることが分かる。

 この河原では、16種類の石の採取ができるとのことで、我々も手ごろな大きさの三波石をお土産に拾い持ち帰った。これで、我が家には3地域の三波石が集まったことになる。

 青岩公園とその周辺の風景は次のようである。駐車場の周辺では「スジグロシロチョウ」が飛び回っていて、河原に下りると、三波石の割れ目には「ド根性スミレ」がまだ最後の花を付けていた。また、川岸の三波石塊には白いウツギの花が覆いかぶさるように咲いていた。

土手から青岩公園に続く歩道(2021.4.20 撮影)

三波石の中を巡る歩道(2021.4.20 撮影)

河原に広がる三波石塊(2021.4.20 撮影)

鏑川左岸に露出する三波石塊(2021.4.20 撮影)

鏑川右岸に見える三波石塊(2021.4.20 撮影)

鏑川右岸に見える三波石塊(2021.4.20 撮影)

2川の合流地点に見える三波石の岩塊(2021.4.20 撮影)


河原に見られる三波石とさまざまな色の石(2021.4.20 撮影)


駐車場周辺を飛ぶスジグロシロチョウ(2021.4.20 撮影)


河原の三波石の割れ目に咲くド根性スミレ(2021.4.20 撮影)


三波石の壁に咲くウツギの花(2021.4.20 撮影)

 この青岩公園近くの河原で拾い、記念に持ち帰ったもの(右下)を加えて、我が家の三波石は4個になった(右上:和歌山産)。色がよく判るようにと、濡らしてみたが、下仁田産のこの石は緑色部に比して白色部が多い。


写真(2021.5.2 撮影)



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