冬から春にかけて、雲場池で見ることができた種のひとつに今回紹介するオオバンがいる。灰黒色の体に白色のくちばし、そして額にはくちばしから続く額板と呼ばれる特異なものがつく。時々陸に上がっている姿を見かけたが、その時見る足の色は鉛色で、特異なひれが見られる。雌雄は同色。
マガモ、コガモ、そしてキンクロハジロは秋になって10月下旬までには再び戻ってきているが、このオオバンの姿はなかなか見られなかった。それが11月下旬の朝出かけた時、多くのマガモに混じりようやく1羽の姿が見られた。これで年間を通じて、雲場池の水鳥たちが、いつやってきていつ去っていくかがわかってきた。
さて、このオオバン、池面を泳いでいる姿は、なにかぎこちなく、マガモやカルガモなどは滑るように移動していくのであるが、このオオバンは首を前後に振りながら前に進んでいく。
陸に上がったときの歩き方も、体に似合わない大きな足を持て余しているように感じる。カルガモやマガモの方がよほど歩き方が上手である。
飛び立つところを見ることは稀だが、水面をかけるようにして飛び立つところを一度だけ撮影できた。
このオオバンはいつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育社発行)に次のように紹介されている。
「クイナ科の中では大型。額板白色。嘴峰40~52mm、翼長194~220mm、尾長52~62mm、跗蹠36~52mm、頭頸部黒。背以下の上面、翼、尾は石板黒色で次列風切の先端に白色はんあり。下面灰黒色。嘴白色。脚暗青緑色。幼鳥は上面かっ色を帯び下面は淡色。
広く欧亜大陸及び北アフリカに分布する。我国では北海道・本州中部以北(南限千葉県)で繁殖し冬期多くは中国南部・フィリピンなどに渡るが本州中部以南には冬季も少数滞留する。広い湖沼に生息し遊泳は巧みである。」
雲場池では、入り口にある小さい池にいることも多く、大きい方の池との間を徒歩で行ったり来たりしている姿をよく見かけた。潜水は得意なようで、大きな水かきのある足が役立っているようである。
よく似た種の「バン」はくちばしが赤く、オオバンとの区別は容易である。バンの姿はラウンドアバウトから雲場池に通じる道路沿いの別荘地内で一度だけ見かけたことがあるが、雲場池で見ることはなかった。
以下、雲場池で撮影した写真を紹介する。
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雲場池を泳ぐオオバン(2020.1.24 撮影)
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雲場池の縁でマガモのペアと一緒のオオバン(2020.1.24 撮影)
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マガモ♂とすれ違うオオバン(2020.2.9 撮影)
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カルガモとオオバン(2020.2.25 撮影)
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小雪の降る中の2羽のオオバン(2020.3.17 撮影)
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雲場池のオオバン 1/4(2020.3.11 撮影)
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雲場池のオオバン 2/4(2020.3.5 撮影)
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雲場池のオオバン 3/4(2020.2.22 撮影)
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雲場池のオオバン 4/4(2020.2.22 撮影)
潜水は得意なようである。次はその連写画像。
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潜水するオオバン(2020.3.17 撮影)
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飛び立つ2羽のオオバン(2020.3.14 撮影)
雲場池の入り口にある小さい池と雲場池との間は歩いて行き来していて、時々その姿が見られた。体には不釣り合いに見える大きめの足には独特の形をした水かきが見える。
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歩くオオバン(2020.1.26 撮影)
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歩いて雲場池に向かうオオバン(2020.1.22 撮影)
冒頭紹介したように、夏の間姿を消していたオオバンは、マガモ、キンクロハジロに遅れること1ヶ月余、11月下旬にようやく姿を見せた。
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秋になり戻ってきたオオバン(2020.11.24 撮影)
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マガモと共に泳ぐオオバン(2020.11.24 撮影)
今日、原稿を書き終わって投稿予約をして準備をしていたところ、ヤフーのホームページに「あなたにおすすめの商品」ということで、今回のテーマの「オオバン」のぬいぐるみが登場した。
そのページの写真は次のようなもので、余りのタイミングの良さに驚いたが、さしものAIも公開前の情報は得られないであろうから、偶然の一致というところであろう。
それにしても「オオバン」がこれほど親しまれているとは思わなかった。意外な発見である。
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