RSSの普及で、サイトの更新チェックは革命的に楽になった。もうお気に入りのサイトに「出かける」必要なんてない。家にいながらにして新しい記事だけを選んで読める。だが裏を返せば濃密だったお気に入りサイトとのつながりは、どんどん薄くなっている。私たちはいまやRSSという細い蜘蛛の糸でかろうじてつながるガンダダだ。
毎日ネットサーフィンしていると、お気に入りサイトは雪だるま式にふえる。「あ、いいな」と思ってブックマークしても、巡回先が広がるにつれ気がつくと二度と見てなかったりする。ネット上にあふれる情報量は、すでに1人の人間の処理能力をはるかに上回っているからだ。
そこで革命を起こしたのがRSSだった。RSSのおかげで私たちは、いちいちサイトへ出かけなくてすむ。新しく書かれた記事だけを選択的に読める。「アクセスしてみたら更新してなかった」なんて空振りがないから、そのぶんチェックできるサイトの数は飛躍的にふえた。
事実、私はRSSリーダの「Headline-Reader」を使っているが、いまやこれがほぼメインブラウザ化している。愛用していたタブブラウザとの使用比率は、6:4から7:3くらいになっている。
だがここでひとつ問題がある。RSSリーダを使っていると、お気に入りサイトが引っ越しても気づかない可能性があるのだ。ブログ「デジモノに埋もれる日々」のCK氏は、「URLというブランド力 - 機械処理を介して繋がる人々」の中で、自サイトの固定客が体験した笑えない笑い話をこう披露している。
「私の旧ブログ(Doblog版)を定期的に巡回してくださっていた方がいました。仮にAさんとします。Aさんは、私のブログが新MT版に場を移していることに、数ヶ月もの間気が付かなかったというのです」(一部、改行した)
Aさんはティッカー型のRSSリーダを使っていた。で、「そういえば最近、デジ埋のエントリがないな~」と不審に思いながらも、なんと引っ越したことに数ヶ月も気づかなかったらしい。んー、ありえるわ、これ。
さてそこで素朴な疑問がわく。私はRSSってあんまりくわしくないんだけど……。たとえばURLが変わったとき、新しいURLを含めて書き込んで、新サイトへ自動的に飛ばすようにできないんだろうか? 技術的には案外カンタンそうに思えるが、そういやこういの、だれも言ってなくない? どうなのよこれ?
またCK氏はRSSが登場する以前には、「サイト引っ越しましたよ」「はい、ブックマーク変更しておくね」てな管理人と固定客のコミュニケーションがあった、とも指摘する。いわれてみると確かにそうだ。
考えてみれば、これって便利になった現代のコミュニケーションすべてにいえる気がする。
たとえば私の仕事なんかも、いまどきはメールとファックス、電話ですべて完結する。打合せのために編集者の方が拙宅へお見えになったり、私が編集部に出かける機会はめっきり減った。顔をつき合わせたコミュニケーションはなくなり、ネットワークとツールがそれを補完している。
もちろんどっちがいい悪いの問題じゃない。これにはメリット、デメリットが両方ある。
RSSを使えばより多くのサイトをチェックできるのと同じく、メールで打ち合わせがすむおかげで、こなせる仕事量は物理的にふえた。時間も有効に使える。ただしそのかわり相手の顔を見て、体温を感じながらでなければ生まれない新しい発想や切り口は、芽を摘み取られているかもしれない。
記者が地べたを這いずり回って取材することを「足でかせぐ」という。そんなふうにして書いた原稿は、「記者の足音が聞こえてくるような記事」なんて呼ばれる。また人間が泥臭く努力することを称し、「汗をかく」って表現が使われる。
その意味じゃ現代のコミュニケーションは汗をかかなくていいし、足でかせぐ必要もない。人間が動き回って人との距離を埋める行為を、ネットワークが瞬間的に代替してくれる。
人は便利さに慣れるともう後戻りできない。特に私みたいに不精なヤツはなおさらだ。この流れは止めることは不可能だろう。
とすればそんな世界に放り込まれた私たち現代人は、いままで以上に精いっぱい感性を研ぎ澄まし、心が磨耗しないよう覚悟を決めておく必要がある。いつも相手の顔を脳裏に描き、あちらの気持ちをイメージしなければならない。匿名論争でもお題になった、「相手の立場になって考える」ってやつだ。
でなければ、あなたと私をつなぐRSSという名のガンダダの蜘蛛の糸は、いつぷっつり切れてしまってもおかしくはない。
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毎日ネットサーフィンしていると、お気に入りサイトは雪だるま式にふえる。「あ、いいな」と思ってブックマークしても、巡回先が広がるにつれ気がつくと二度と見てなかったりする。ネット上にあふれる情報量は、すでに1人の人間の処理能力をはるかに上回っているからだ。
そこで革命を起こしたのがRSSだった。RSSのおかげで私たちは、いちいちサイトへ出かけなくてすむ。新しく書かれた記事だけを選択的に読める。「アクセスしてみたら更新してなかった」なんて空振りがないから、そのぶんチェックできるサイトの数は飛躍的にふえた。
事実、私はRSSリーダの「Headline-Reader」を使っているが、いまやこれがほぼメインブラウザ化している。愛用していたタブブラウザとの使用比率は、6:4から7:3くらいになっている。
だがここでひとつ問題がある。RSSリーダを使っていると、お気に入りサイトが引っ越しても気づかない可能性があるのだ。ブログ「デジモノに埋もれる日々」のCK氏は、「URLというブランド力 - 機械処理を介して繋がる人々」の中で、自サイトの固定客が体験した笑えない笑い話をこう披露している。
「私の旧ブログ(Doblog版)を定期的に巡回してくださっていた方がいました。仮にAさんとします。Aさんは、私のブログが新MT版に場を移していることに、数ヶ月もの間気が付かなかったというのです」(一部、改行した)
Aさんはティッカー型のRSSリーダを使っていた。で、「そういえば最近、デジ埋のエントリがないな~」と不審に思いながらも、なんと引っ越したことに数ヶ月も気づかなかったらしい。んー、ありえるわ、これ。
さてそこで素朴な疑問がわく。私はRSSってあんまりくわしくないんだけど……。たとえばURLが変わったとき、新しいURLを含めて書き込んで、新サイトへ自動的に飛ばすようにできないんだろうか? 技術的には案外カンタンそうに思えるが、そういやこういの、だれも言ってなくない? どうなのよこれ?
またCK氏はRSSが登場する以前には、「サイト引っ越しましたよ」「はい、ブックマーク変更しておくね」てな管理人と固定客のコミュニケーションがあった、とも指摘する。いわれてみると確かにそうだ。
考えてみれば、これって便利になった現代のコミュニケーションすべてにいえる気がする。
たとえば私の仕事なんかも、いまどきはメールとファックス、電話ですべて完結する。打合せのために編集者の方が拙宅へお見えになったり、私が編集部に出かける機会はめっきり減った。顔をつき合わせたコミュニケーションはなくなり、ネットワークとツールがそれを補完している。
もちろんどっちがいい悪いの問題じゃない。これにはメリット、デメリットが両方ある。
RSSを使えばより多くのサイトをチェックできるのと同じく、メールで打ち合わせがすむおかげで、こなせる仕事量は物理的にふえた。時間も有効に使える。ただしそのかわり相手の顔を見て、体温を感じながらでなければ生まれない新しい発想や切り口は、芽を摘み取られているかもしれない。
記者が地べたを這いずり回って取材することを「足でかせぐ」という。そんなふうにして書いた原稿は、「記者の足音が聞こえてくるような記事」なんて呼ばれる。また人間が泥臭く努力することを称し、「汗をかく」って表現が使われる。
その意味じゃ現代のコミュニケーションは汗をかかなくていいし、足でかせぐ必要もない。人間が動き回って人との距離を埋める行為を、ネットワークが瞬間的に代替してくれる。
人は便利さに慣れるともう後戻りできない。特に私みたいに不精なヤツはなおさらだ。この流れは止めることは不可能だろう。
とすればそんな世界に放り込まれた私たち現代人は、いままで以上に精いっぱい感性を研ぎ澄まし、心が磨耗しないよう覚悟を決めておく必要がある。いつも相手の顔を脳裏に描き、あちらの気持ちをイメージしなければならない。匿名論争でもお題になった、「相手の立場になって考える」ってやつだ。
でなければ、あなたと私をつなぐRSSという名のガンダダの蜘蛛の糸は、いつぷっつり切れてしまってもおかしくはない。
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デモネ、フラクタル的な本当に重要な生態系を生み出しているネットワークでは、希薄な細いつながりの方が重要なんですって。っと、マーク・ブキャナンの受け売りを宣伝してみたりする。
ところで、引っ越しするときに、一年後の日付で「引っ越ししました」というエントリーを行うと、常にRSSリーダーのトップにそのエントリーが登場します(一部のBlogサービスと、RSSリーダーを除く)。
これで解決(笑)
ちなみに、僕は、三ヶ月更新がないBlogをRSSリーダーから排除するようにしています。
自分でチェックしにいき、そこで引っ越しを知ったりしますが、それでも気がつかないで引っ越しされていた人とは、「縁があるなら再び」という心境で消しています。
RSSって基本はブックマークなんですよねぇ。
RSSリーダーにURLのRSSテキストを保存するという形ですので、引越しの転送というのは、
RSSの規格作りこみで想定していたかどうか、です。
想定していなければ登録しなおしをしなければいけません。
私のHPの場合、RSSさえ存在しなくてもいいぐらい更新頻度がないです・・・(;。;
ただ・・・言い訳させていただくなら・・・もの作りですから、薄く、というのができないのです(;。;
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http://left13.jp
巡回先が多い中、RSSリーダーを使うことのメリットは、概要が表示されることにより、興味のない記事を読む必要が無い、ということだと思います。
おかげで100以上あった巡回先を、「更新があった」という理由だけで読む事がなくなり、時間が有効に使えるようになりました。
どうも使いこなす気ができません。
慣れみたいなものがありますね。
私はブラウザになってしまうのですが・・・・
サイトの引越しのことについてなんですが、普通のHTMLサイトよりブログの引越しの方が困難ですね。
ブログの体験は人それぞれかもしれませんが、私の使っている無料のgooブログはコメントやトラックバック、ログをそのまま違うレンタルブログなどに残せないようになっていますからね。
ああ。自分のサーバーか自由度のあるレンタルサーバーでブログを始めればよかった(;´Д`)
えっ、一年後の日付で? ほー、そうなんですか。それはいいことを聞きました。みなさん、更新がないと削除されてるんでしょうね。私は3月にブログ始めたばっかりなんで、いまのところリーダーにはたまる一方です(笑)
>KMさん
あ、規格を策定したときに、転送を想定してたかどうかなんですね。なるほど。や、そういえば、転送みたいなことを書いてる記事って読んだことがないなあと思って。KMさんとこは、RSSが不必要なほど更新がないんですか?(^^; まあ量より質ですよね(^-^)
>えっけんさん
初めまして。登録していただいたんですね。ありがとうございます。あ、「概要」ですね。なるほど。私、初めてリーダー使ったとき、概要というものの意味がわからなくて、「どうせ読むのにいちいち出てきてめんどくさいな」とか思ってました(^^; で、概要が出ない設定にしたままです<いま気づきました(笑) そういえば私の場合は、タイトルだけ見て読むかどうか決めてますね。概要、使ってみようかな。
>王ニートさん
ありゃ、リーダー、だめでしたか。慣れればやみつきになりますよ(^-^) RSSに対応してないサイトは見る気がしなくなっちゃうんで、逆に困りますけど(笑) あー、gooブログってエクスポート(?)できないんでしたっけ? ありゃりゃ、私もそうです(^^; まあ先のことは……いいや(笑) それではまた。
私のところは、ほとんど作品紹介やイベント情報での更新が主で、日記やブログを書くことはあまり・・・。
私の信条は、『作者よりも作品』なので。
一時期、次の作品に出るキャラクターが書いていると仮定したブログを作っておりましたが。
・・・あと1度の更新を残して・・・。
>まあ量より質ですよね(^-^)
そうなのですよねぇ。もの作りでしたら、
作った人を評価してもらうより、作ったものを評価してもらいたいと思っております。
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http://left13.jp
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/92_14545.html
ところでこの記事、日経BP版ガ島通信@炎上でコメント欄撤廃、と何か関係あるんでしょうか?トラックバックされてましたけど...
ああ、KMさんとこは作品情報が主みたいですね。
>師の愛さん
それ書く前に検索して調べたんですが、「かんだだ」でも大量にひっかかったんでどっちが正しいのか不明でした。たとえば商業用のこんなのもあるし。こっちの表記は「カンダダ」ですね。
http://www.anystyle.jp/ibunko/ibunko20030110/bungei/b013.html
トラバ? ごめんなさい、意味がよくわかりません(^^;