メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

「つるの恩返し」に見受けられるメタファー

2012年07月05日 | メガヒヨの日々つれづれ

昔話には暗喩がつきものである。
長く語り継がれる話には、人生の教訓を含んだものが多い。

日本昔話の定番、「つるの恩返し」
この話が、世の男性陣にパートナー女性とのつきあい方、距離の保ち方などを示し導き続けていることには間違いがない。

またいつの世も存在する、ある種の女性を妻とすることに対して忠告を発しているようにも見受けられる。

このヒロイン、おつうの機織りへの執着心、集中力。
これは一体何なんだ!?
三日三晩寝ないで織り続けって…恩返しの範囲を超えてますから!
まさしくメガヒヨと同じ、職人属性のオンナでしょう!!
いったん手が動き出すと、もう止まらないっての…。

この手の人間が一番忌み嫌うもの。
そう、それは妨害、中断である。

妻は楽しくトンカラリ♪と機を織っているってのに、
「おーい、メシまだか?」
とか言ってくる旦那さん。日本の長い歴史の中に、どれだけいたことか。
内心「この織物の売上で家が成り立っているんじゃないの? メシくらい自分で何とかしろ!!」
とか思いつつ、耐え忍び笑顔で従う妻。
こういう人も大勢いたはずである。

夫のマイペースぶりは拍車がかかる。
深夜、「やっとこれで作業に集中できる。」と機に向かう妻に対し、容赦なくちょっかいを入れてくる。

「おーい、体こわすぞ。早く寝ろ。」

夫としては気を遣ったつもりであっても、妻の積もりつもった怒りに対して油をそそぐ行為以外なにものでもない。

「今やらずして、いつ完成出来る?
この織物なしに、どうやって生活していく?
黙っていればいいものを、足を引っ張ってくるなんて!!」

この様な溜まりにたまった怒りがとうとう爆発して三行半。
こういう光景って職人属性の女性が存在する限り、いつの世でも見かけられるのかも…。


一般的には「近親者といえども見てはいけない」タブーを語ったと思われるこの昔話。
重ねて言うがメガヒヨにとっては、ある種の女性の存在に関する警告をうたったものに見えて仕方ないのだ。
なぜなら、自分がまさしくそうだから。
先日のお芸術作品作成での没頭ぶりを顧みるにあたり、そう思えてならない。
昔話はまさに真実を語っている。
日本人が長い時間をかけて得た教訓は伊達ではないことが、己の身を通してよく分かった。