井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

トレッキング3日目・チャムチェ(1,430m)→バガルチャップ(2,160m)

2009-12-21 20:18:12 | アンナプルナ・サーキット
今日は標高差6百メートルほどを登らなければならない。
体調は良いが少し疲れが出ている。
トレッキング3日目なのでそろそろ疲れが溜まってきているようだ。
昨夜の眠りも少し浅かったような気がする。
もっとも、最近は旅に出て熟睡したことがないので、浅い眠りもいつものことだ。

7時まで寝袋に入って横になっている。
起きると直ぐに荷物をまとめる。
隣のベットの上に広げてある荷物を一つずつザックに詰めて忘れ物のない様にする。

7:30分、朝食を食べる。
今朝のメニューはパンケーキにトマトスープ。
パンケーキはホットケーキを考えてもらえばいい。
トマトスープはちょっと酸味があって食欲をそそってくれる。

7:55分、出発する。
10分くらい歩くとチャムチェの街となる。
街といっても数軒の宿があるくらいだが、それでも街なのです。

吊り橋を渡ってここからが急な坂道を延々と登っていく。
首が痛くなるくらい上を向くが、ズーッと崖のような岸壁が続いている。
この上まで登らなければならないようだ。

一歩一歩を確実に登っていくが、幾ら登っても上には到達しない。
1時間半ほど歩いて、やっと、空が開けてきたと思ったら、対岸に猿がいるとみんな立ち止まって見ている。
私も立ち止まってみると数匹の猿が対岸の崖を降ってくる。
写真を撮ろうと思ってカメラを構えるが、望遠にしてもブレてうまく写せない。

ここで、日本人を見かける。
この人は写真家の星野さんだ。
昨日、Oくんが写真家の星野さんと一緒になって名刺をもらったといっていた。
星野さんという写真家は、私の記憶には星野道夫さんしかいないが、彼はこの世にはいないので、もちろん違う方だ。

体型は小太り、身長も小柄な人で口ひげを生やしている。
挨拶だけして、先に歩いていく。

ここから、1時間ほどでタルに着いた。
タルの街が見えたときには、本当にホッとした。

        
      ビビさんの話だと、タルの辺りは昔湖だったので広い川原になっているという。

なるほど、タルの街は広い川原の左岸にゆったりと広がっている。
こんなに広い川原は、初めて見た。
水の色が空色に光り輝いている。

このタルの町外れにあるホテルで昼食を取る。
      
     ホテルの庭には色とりどりの花が咲き、裏には滝がある。

手入れに良くされた庭のテラスで昼食を取る。
暖かく風が気持ちよく身体の汗がスーッと引いていくのが分かる。
このホテルで1時間半も休んでしまう。
見知った顔がドンドンホテルの前を通り過ぎていく。

11:50分、タルのホテルを出発する。
直ぐ先の方に吊り橋が見えてくる。
      
      この吊り橋は長くてなかなか立派な橋だ。

この先は、ダラダラと登っていくだけだといわれたが、なかなかどうして、細かなアンジュレーションがあり、登ったり降ったりが続く。
私の足は、午前中の登りですっかり参っている。

登りはだましだまし登って行く。
すると、大きな荷物を背中に背負ったボッカさん達が歩いてくる。
      
     このおじさんが背負っているのはビニー製の配管だ。
     3メートルくらいの長さのものを10本ほど背負っている。
     いったい何キロあるのだろうか?
     この荷物を額で支えて歩いていく。

さて、ネパールの人達はポーターもそうだがみなさん荷物は額で支えて持ってい
く。
それが、不思議でならない。
ガイドさん達は普通のザックを使っているが、ポーター達もみなさん荷物に紐を掛け額で支えて歩いていく。
足元を見るとゴム草履だったりする。
それでも、岩場などもヒョウヒョウと歩いていく。

このビニール管を横に束ねて担いでくるボッカさんもいる。
狭い道幅一杯になって歩いてくるので、上からロバや人が歩いてくると横になってそれらを通している。
私達も追い抜くときは、その横になった時を狙って追い抜いたりする。

1時間ぐらい歩いたところで、道路の工事現場にぶつかる。
巻き道が遙か上の方に見える。
あそこまで登るのかとガッカリしていると、向こうの方から工事現場を強行突破しようとしているボッカがいる。
道の上で工事をしており、そこから岩が落ちたりしているので危ない。

工事作業をしている人が下を歩く人に気が付いて工事の手を休めた。
それを見ていたビビさんが、あのボッカがこちらへ渡ってきたら私達も巻き道へ上がらずにそのまま歩こうという。

ボッカが無事に歩いてきたので、直ぐに私達も歩いて工事現場をやり過ごす。
これだけのことだが、20分以上は得した気分になる。
私は、巻き道を登らないで済んだことにホッとした。

14:25分、ダラパニに着く。
最初の予定では、この街で泊まる予定だったが、もうすこし先へ足を伸ばすことにしたのだ。
このダラパニは、マナスルへの分岐点となる町なのだ。
タルから歩いてくると韓国人や欧米人のトレッカーとすれ違った。
これらの人達は、マナスル方面のトレッキングを終えて降ってきてるという。

マナスルを初登頂したのは、日本人なのだ。
そういう意味では、縁のある山なのだが、その姿は雲に隠れて見えなかった。

ダラパニから疲れた身体に鞭打ってダラダラした坂を登っていく。
太陽が山陰に隠れたせいか風が冷たくなってくる。
その中を半袖のTシャツ1枚で歩いていた。

腕が冷たくなったが、背中には汗をかいていたのでそのまま歩いていた。
(後で考えるとこの時フリースでも着込んでおけば良かったのだ。)
15:40分、山陰に陽が落ちかかった時、やっと、バガルチャップの宿に着いた。
日が陰ると急に寒くなってくる。

      
      バガルチャップの宿。      

宿の部屋にはいると急に体が震えだしたのであわてて寝袋を出して潜り込む。
汗で濡れたTシャツを脱いで長袖のシャツに着替える。
さらにフリースを着てパーカーも着る。
それで、寝袋に潜り込んだが身体の震えが止まらない。

1時間ほどして、やっと体が温まってきた。
トイレに行くと、また震えが来る。
軽い風邪を引いたようだ。
そのまま寝袋に入って夕食までの時間寝ることにした。

夕食の時間になったので食堂へ行くとストーブが焚かれている。
ちょっと当たるとストーブの暖かさが身体にしみ込んできてホッとする。

日本人2人組がテーブルに座っているので挨拶をして自己紹介をする。
一緒のテーブルに座って話をしていて、ふと、隣を見ると横に座っているOさんの様子がおかしい。
椅子からずり落ちそうな姿勢で頭が下がっている。

向かい側に座っていたNさんが、「どうした?」と声を掛けながら身体を起こそうとしたが、意識がないようだ。
目の焦点も定まらずうつろな顔をしている。
2~3度身体を揺すって声を掛けるとやっと気が付いたようだ。

この異変に付近にいたガイド達も気が付き、騒がしくなる。
わたしとNさんで取り敢えず横になってもらおうとしたが、本人はトイレに行きたいという。
Nさんやガイド数人がトイレまで付き添っていく。
私も気になったのでトイレまで一緒に行ったが、どうやら大丈夫のようだ。

トイレから出てきたOさんをそのまま部屋まで連れて行ってベットに寝せる。
Nさんが大丈夫ですと行ってガイド達を引き上げさせる。
OさんとNさんの隣が私の部屋だったので、何かあれば壁を叩いてくださいといって私も食堂へ戻る。

私も食堂で暖かいものを食べたので少し身体が暖まってくる。
でも、食堂を出ると風が冷たく体が震えだしてくるので早々に部屋へ戻り寝袋に潜り込む。
ガタガタと震えながら寝袋の入っていると少しずつ身体が暖まってくる。
そうこうしているうちにウトウトと寝てしまったようだ。


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    今日の行動
     7:55 チャムチェ発
    10:30 タルで昼食    
    14:25 ダラパニ着
    15:40 バガルチャップ着

 具合の悪くなったO氏は67歳だという。
今日の行程はけっこうきつい行程だった。
私もきついと感じたほどだ。
O氏は心臓や血圧などにも異常はないという。
でもあのように急に意識を失うことがあるのだ。
高齢者としては、このような異国でのトレッキング、どこでなにがあるか分からないので体調の変化には十分に気を付けなければいけないことだと思う。