やはり夏は暑いです。先週は土日と勤務先で行事がありまして、お休みがなく、暑さで参りそうです。そうは言っても、もう一週間もしないうちに立秋。でもね、思うのですが8月7日がそうなのは、旧暦そのままなんでしょ。新暦になると一ヶ月ほど遅れるってことだから、9月7日あたり。そうすれば季節も、ああそろそろ秋かなってもんでしょ。私、ぜひこれらの日は新暦にあわせて一ヶ月ほど先にすべきと思います。8月7日すぎれば残暑だって、これはおかしいよ。
とまあ、それはさておき暑さで音楽を聴くことも、毎年のことですが、憂欝になってしまう。爽やかな暑さを吹き飛ばすような音楽があればいいのですが…。それで4月以来のベートーヴェンであります。まあベートーヴェンは聴く音楽がたくさんあるのですが、聴く曲と聞かない曲があったりして。例えば、私はピアノ三重奏はあまり聴きませんねえ。そして今回取り上げる、三重協奏曲も、それほど聴かない曲です。食わず嫌いか好き嫌いが激しいか…。
このトリプル・コンツェルトといえば、真っ先に思うのは、カラヤンとリヒテル、オイストラフ、ロストロポーピッチの組合せによる録音です。ちょうど、私が音楽を聴き始めたときに、このレコードが発売され、話題になっていたので強烈な印象が今でもあります。また、幼心に三重協奏曲とは、協奏曲の三倍であり、あたかも、ゴジラ映画の、「三大怪獣地球最大の決戦」のような凄さを感じておったのでした。これは凄い曲だし、カラヤンと三人がやるとは凄くないわけがないと、妙に興奮したものでありました。
しかし、そんな印象とは別に、この曲は世評ではベートーヴェンにしては凡作と言われ、三人の独奏者によるカデンツァもなく、ピアノはあまり存在感がなく、みかけほどの凄さは感じません。またカラヤン盤もふーん、あっそう、ってところでしょうか。うーん、なかなか難しいですねえ。まあ、そんな前置きは置いといて、今回はこのピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲ハ長調作品56。演奏は、フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送交響楽団。ピアノはゲザ・アンダ、ヴァイオリンはウォルフガング・シュナイダーハン、チェロがピエール・フルニエ。1960年5月ベルリンでの録音。カラヤン盤に優るとも劣らないメンバーによる競演であります。
この演奏、三人のソリストたちの演奏が前面に押し出ている。いわばピアノ三重奏のバックにオケが伴奏をしているって印象が強いのです。カラヤン盤と比較すると、カラヤン盤はどうもオケの比重が大きい。カラヤンが主導権を持つことに終始しているのです。フリッチャイの指揮は、この三人の引き立てることがたいそうよくできています。いつの間にか、オケの存在を忘れてしまう。そうと思えば、オケの充実した響きが現れる。独奏を上回る充実ぶりを披露する。このあたりの駆け引きが絶妙でもありますねえ。そして、三人の独奏がこればまた素晴らしい。特に、フルニエとシュナイダーハンの二つの弦は、暖かみもあるし、私は好きであります。
第1楽章、出だしのオケの響き、今から思えば古色あふれる音色がいいですねえ。フリッチャイの緊張感あふれる指揮もいい。そしてチェロ、そしてヴァイオリン、ピアノが加わり、その正に競演、それにオケも加わり、壮大かつ奥の深い演奏が展開。でも、カデンツアが欲しいですね。私的には、第2楽章以降の方が好ましい。特に短いですが、第2楽章最初のチェロ協奏曲でのフルニエのチェロの伸びやかで情感あふれる演奏とオケの絡みはいいですよ、そしてピアノとヴァイオリンが加わり、まさにピアノ三重奏。シュナイダーハンのヴァイオリンも控えめな情感をもちながらも、実に味わい深い響きに魅了されます。そして、第3楽章、少々陳腐さを感じるところもある曲ですが、アンダのピアノも存在感をアピールしつつ、三つの楽器とオケの4つがともに充実した響きで、四つどもえの協奏、いや競奏を展開していきます。ここの緊迫した演奏は、いいですし、やはり、こんな凄い演奏になるのは、ベートーヴェンの曲の力もあるのか、と思ってしまいます。
今日は、神戸は雨でした。比較的涼しく過ごしやすかったです。一方では台風が発生して、来週末までに近づくかもしれませんねえ。
(DG POCG3079 FERENC FRICSAY EDITION 1993年)
とまあ、それはさておき暑さで音楽を聴くことも、毎年のことですが、憂欝になってしまう。爽やかな暑さを吹き飛ばすような音楽があればいいのですが…。それで4月以来のベートーヴェンであります。まあベートーヴェンは聴く音楽がたくさんあるのですが、聴く曲と聞かない曲があったりして。例えば、私はピアノ三重奏はあまり聴きませんねえ。そして今回取り上げる、三重協奏曲も、それほど聴かない曲です。食わず嫌いか好き嫌いが激しいか…。
このトリプル・コンツェルトといえば、真っ先に思うのは、カラヤンとリヒテル、オイストラフ、ロストロポーピッチの組合せによる録音です。ちょうど、私が音楽を聴き始めたときに、このレコードが発売され、話題になっていたので強烈な印象が今でもあります。また、幼心に三重協奏曲とは、協奏曲の三倍であり、あたかも、ゴジラ映画の、「三大怪獣地球最大の決戦」のような凄さを感じておったのでした。これは凄い曲だし、カラヤンと三人がやるとは凄くないわけがないと、妙に興奮したものでありました。
しかし、そんな印象とは別に、この曲は世評ではベートーヴェンにしては凡作と言われ、三人の独奏者によるカデンツァもなく、ピアノはあまり存在感がなく、みかけほどの凄さは感じません。またカラヤン盤もふーん、あっそう、ってところでしょうか。うーん、なかなか難しいですねえ。まあ、そんな前置きは置いといて、今回はこのピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲ハ長調作品56。演奏は、フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送交響楽団。ピアノはゲザ・アンダ、ヴァイオリンはウォルフガング・シュナイダーハン、チェロがピエール・フルニエ。1960年5月ベルリンでの録音。カラヤン盤に優るとも劣らないメンバーによる競演であります。
この演奏、三人のソリストたちの演奏が前面に押し出ている。いわばピアノ三重奏のバックにオケが伴奏をしているって印象が強いのです。カラヤン盤と比較すると、カラヤン盤はどうもオケの比重が大きい。カラヤンが主導権を持つことに終始しているのです。フリッチャイの指揮は、この三人の引き立てることがたいそうよくできています。いつの間にか、オケの存在を忘れてしまう。そうと思えば、オケの充実した響きが現れる。独奏を上回る充実ぶりを披露する。このあたりの駆け引きが絶妙でもありますねえ。そして、三人の独奏がこればまた素晴らしい。特に、フルニエとシュナイダーハンの二つの弦は、暖かみもあるし、私は好きであります。
第1楽章、出だしのオケの響き、今から思えば古色あふれる音色がいいですねえ。フリッチャイの緊張感あふれる指揮もいい。そしてチェロ、そしてヴァイオリン、ピアノが加わり、その正に競演、それにオケも加わり、壮大かつ奥の深い演奏が展開。でも、カデンツアが欲しいですね。私的には、第2楽章以降の方が好ましい。特に短いですが、第2楽章最初のチェロ協奏曲でのフルニエのチェロの伸びやかで情感あふれる演奏とオケの絡みはいいですよ、そしてピアノとヴァイオリンが加わり、まさにピアノ三重奏。シュナイダーハンのヴァイオリンも控えめな情感をもちながらも、実に味わい深い響きに魅了されます。そして、第3楽章、少々陳腐さを感じるところもある曲ですが、アンダのピアノも存在感をアピールしつつ、三つの楽器とオケの4つがともに充実した響きで、四つどもえの協奏、いや競奏を展開していきます。ここの緊迫した演奏は、いいですし、やはり、こんな凄い演奏になるのは、ベートーヴェンの曲の力もあるのか、と思ってしまいます。
今日は、神戸は雨でした。比較的涼しく過ごしやすかったです。一方では台風が発生して、来週末までに近づくかもしれませんねえ。
(DG POCG3079 FERENC FRICSAY EDITION 1993年)
ところで、このフリチャイ盤、私は持っていませんが、是非入手したいですね。まあ、ベートーヴェンのチェロ協奏曲と思って聴けばいいのですから。それにしても、少ない主題を使って曲を作り上げる手腕というのは、さすが変奏曲の達人、ベートーヴェンですね。