吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

海北友松展(京都国立博物館/2017年4月11日~ 5月21日)

2017-05-16 13:55:09 | 日々美しいものに触れようよ
 正しくは『開館120周年記念特別展覧会 海北友松』だそうだ。



 本人も『誤って絵師になった』と言っているように、浅井長政の家臣であった父の戦死をきっかけに、仏門に入り絵画を学んだとのことだが、心の中では斬り合いが好きで好きで堪らなかったのであろう。絵画の線が『裂帛の気合い』なのである。


 ※屋根の線が素晴らしい『楼閣山水図屏風』。

 ルーチョ・フォンタナの作品のように鋭く画布を切り裂いている趣の線です。


 ※キャンバスを切り裂くルーチョ・フォンタナのアート

 友人であった斎藤利三(明智光秀の家来)の遺骸を取り戻すために槍と刀で武装し、警備の雑兵を追い払ったり、武勇にあこがれ実践した、・・・そういうヒトなのである(しかし、この事件がキッカケで利三の娘にあたる春日局に取り立てて戴けたのだからオモシロイ)。



 一般には『龍の絵師』として知られている海北友松ですが、私は線の特徴が最も現われている舟の描写が好きです。スッと引いた一本の線で舟を表現するその巧みさ。・・・イイなあ。

 しかし、この人、デッサンに関しては・・・・ちょっと?と首を捻るような作品も多い。
 さらに、有名な『月下渓流図屏風』にしても水墨画のはずなのに一部緑の色を使ったり、前述の『楼閣山水図屏風』にしてもバックの金色はどうかと思う。
 けっこう『ヘン』な絵も多いのですが、これは観るヒトの好みにもよりますね。


 ※月下渓流図屏風・・・一見して『湿度の高そう』な日本の自然を描いた名作・・・椿や土筆の部分だけなぜか緑色等に着色されている。

 力強い線の美学を楽しんできては?一見の価値アリです。


 <おまけ>

 ※この時期、美しい庭園の散策も楽しめます。